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仙波書房とラジオ、そして新番組

ひとり出版社「仙波書房」の営業方法が、他出版社と大きく異なるのはメディアでの展開だと思う。
特にラジオでの周知活動を積極的に行っている点が大きい。

新刊の告知は新聞広告が有効的だが、起業したての出版社には力がなく、その代替は最初ラジオとなった。
起業、そして発行準備段階の2021年時には、本の舞台になる「川越」に地域コミュニティ局が開局されたところも大きい。

仙波書房では発行4ヶ月前からFAXを利用した書店への新刊告知活動に合わせ、一般の方への周知方法としてラジオを活用することにした。
メディアでは発売後の商品告知が一般的であるが、商品ができていないデモ版の段階でサンプルを用いた本の企画趣旨、魅力を伝え、共感者を生むことを目指し、まずは商品、コンセプトを押し出していった。

起業したばかりの出版社の発信力は当時まだ弱く、その拡がりを待つ前に情報をSNS上で拡散し、地道に繰り返すことで網の目を拡げていく活動を行った。
これまでの出版営業経験上、取次、書店営業が中心でメディアへの営業活動は皆無であった。
ただ、知人関係との繋がりもあり、書籍発行3ヶ月前から様々な番組にゲスト出演し、ひとり出版社、新刊についての紹介を繰り返すことができた。

人々の関心が高まる様な書籍内の工夫の他、ひとり出版社における本づくりや、苦労話などは、意外と反応がよく、結果的に多くの番組に出演することとなった。
ラジオはFM「ラジオ川越」をはじめ、FM「NHKさいたま放送局」、FM「チャッピー」など、これまでに3局15番組にゲスト出演。
地域に特化したゆるい建物本の周知にメディアとしてのラジオはマッチした印象を強く受ける。

それから、ラジオは後にゲストとしての番組参加だけではなく、自ら番組を持ち、パーソナリティとして本の紹介を行える場をつくり、情報発信を行ってみた。
番組内には毎回15分程度の本の紹介コーナーを設け、年に数回自社本の紹介も加え、さらに番組内において本のCMも挿入してみた。
自社本の宣伝をラジオで行うことは、出版社勤務時代には想像もしていなかったが、これが意外と効果高かったと後に感じる。

しかし、月に2度放送の30分番組を1年超続けたが、音源制作、編集作業の偏りと、負荷もあり、本業に影響が出始めていた。
そんな中、ラジオ番組の制作を見直そうとするタイミングで、パーソナリティKyokoさんと知り合う。
新たなコーナー番組を担当してみては…ということで、彼女が担当する生放送の番組内において、仙波書房のコーナー番組を新設された。
月に一度、それも10分程度なら、それほどの負荷がかからないのではないかと…

生放送番組の1コーナー内で仙波書房 発行の『川越の建物 蔵造り編』を元に蔵造りの屋根、壁、窓などをテーマに蔵造りの魅力を語った。
これまでの収録番組と異なり、生放送番組内でのライブ感が楽しめる構成と、蔵造りの屋根、壁など部位に特化したテーマでの話は建物の特徴を伝えることや、番組の切り口としても面白さを感じ、よい機会でもあった。

そして、再びパーソナリティKyokoさんから再度声がかかり、新番組「Like water…」内のコーナー番組を担当することになった。
今度は川越のラジオ局ではなく、東京の池袋FMで…
出身地川越のラジオ局「ラジオ川越」では川越の本や、建物に関する内容を中心に番組を進めてきたが、池袋FMではどのような内容で番組を構成しようか、悩む……

さて、来年発行予定の仙波書房の新刊『花名所と文学 東京さんぽ(仮)』。
これは梅、桜、躑躅、藤、菖蒲など季節の訪れを感じる花と、東京都内の花の名所を明治から昭和初期の文学や紀行作品の描写と共に当時の文化や歴史を通し、東京の変遷を知るという内容で準備を進めている。

この本の準備で欠かせないのが、当時の東京の文化や風習を知ること。
調べる中で、明治・大正の東京の行事などにも触れる機会があり、本の企画と同じように、花ではなく、行事を文学作品を通して、現在と過去の東京像を伝えるという内容でラジオ番組ができないか…と考えるようになった。
ラジオ番組の放送は第三週の土曜日の深夜ということで、月に一回の放送になる。
なら、その月の行事ひとつについて取り上げ、概要説明と、その行事に関連する文学作品の部分朗読(著作権切れ作品)と、その背景説明を通し、東京の文化や歴史を伝えることができないかと、番組の骨子を検討してみた。

その結果、『仙波書房の東京歳時記』というコーナー番組に決まり、各季節ごとの東京の行事や、文化を文学作品内の描写から紹介する。
11月は先日の11日(土)一の酉、来週23日(木)に二の酉を迎える「酉の市」を、武田鶯塘(おうとう)の『夜の四季』という大正8年の作品を通して、紹介。  
初回放送は11/18の土曜日。
よかったら、ご視聴ください!

ラジオ新コーナー番組 『仙波書房の東京歳時記』

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