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さだまさしさんのお庭から vol.3 沙羅
『献灯会』
祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらはす
沙羅と言えば「平家物語」の冒頭を思い出す方も多いでしょう。目を閉じて吟じたくなる、静謐で美しい名文ですよね。
沙羅(シャラ、サラ)は仏教において三大聖木と呼ばれる樹木のひとつで、沙羅双樹とも言われます。
お釈迦様が入滅する時に横たわった場所が、2本の対になった沙羅の木の下だった為にそう呼ばれるようになったという言い伝えがあります。淡い黄色の花を咲かせていた沙羅の木は悲しみで一旦枯れてしまう、しかし再び真っ白な花を咲かせては次々と舞散らしお釈迦様を覆いつくした、と。
インド原産の沙羅は寒さに非常に弱く、日本では育ちません。国内では新宿御苑など数ケ所の温室にあるようですが、花が咲くのはとても稀なことらしいです。
ところで、実は日本で沙羅と呼ばれている植物は別に存在します。夏椿(ナツツバキ)という、初夏に白い花を咲かせるツバキ科の植物です。
夏椿が沙羅と称されるようになった理由は諸説あるようです。一説によると、昔、ある僧侶が「仏教に繋がりの深い日本にもきっと沙羅双樹があるはずだ」とあちらこちらを探し回り、やっと見つけた夏椿を本物だと思い込み、それが広まった為だとか。
お寺の境内に植えられることの多い夏椿の花の寿命は僅か1日。朝に咲き、夜には花全体がポトリと落ちます。
『献灯会』の沙羅はきっと夏椿ですね。