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【マッチレビュー】2024J1第37節 アルビレックス新潟vsガンバ大阪

〈システム〉
 ガンバ大阪のフォーメーションは4-2-3-1。半田、中谷、福岡、黒川の4バックに鈴木とダワンのダブルボランチ。右から山下、山田、ウェルトンという2列目の並びでワントップに坂本が入った。一方のアルビレックス新潟も同じく4-2-3-1のシステムで試合に臨んだ。

〈前半の展望〉
 新潟はまずは積極的にディフェンスの背後を狙ってくる姿勢を見せる。開始1分にも満たない時間帯にフォワードが抜け出しを図ったが、ガンバは福岡がラインを止めてオフサイドを誘い難を逃れる。また、4分には釣りだされた半田の背後を取られてクロスを上げられたが、2列目の選手もしっかり戻って対応し事なきを得た。
 立て続けに裏に抜け出され少しヒヤッとしたが序盤はガンバがボールを保持して攻勢をかける展開に。プレスが掛かりにくいようにそれぞれのギャップにポジションを取ってリズムよくボールを回していき複数の関わり合いによるコンビネーションからチャンスメイクしていく。8分には前に預けた中谷が前線に上がって攻撃に参加したことで相手の守備に混乱が生じ右サイドでマークがずれて最後はその上がってきた中谷がシュートを放った。13分の攻撃では今度は左サイドでウェルトンがダワンとのワンツーで相手の守備を崩していき、ウェルトンの落としにオーバーラップしてきた黒川がクロスを上げ山田と山下が入り込んだが惜しくも合わなかった。ゴールには繋がらなかったが選手同士が良い距離感を保ちながら攻撃を仕掛けることが出来ており、一度ミスして攻撃が失敗してもサポートが早いのですぐに守備に転じてボールを即時奪回し攻撃し直すことも出来た。
 15分には前からのプレスで相手にボールを蹴らせてそれを確実にマイボールにし、空いた中盤のスペースに黒川が入り込んでフリーでボールを受け裏に抜け出した坂本へスルーパスを送り、坂本はキーパーと1対1の状況になったが決めきることが出来なかった。それでも18分、中盤でボールを拾った坂本がディフェンスの背後へ走りこむウェルトンにパスを送り、ここはカットされたがルーズボールを鈴木が拾って黒川に繋ぎ黒川のクロスに中でフリーとなった山田が合わせてネットを揺らしガンバが先制点を挙げる。立ち上がりの流れを掴み何度も新潟ゴールに迫っていたガンバがその流れのまましっかりとゴールを奪った。
 幸先よく先制点を取ったガンバだったが、20分にボールを奪ってからの縦パスをカットされそこからの攻撃でエリア内深くまで入り込まれ中への折り返しに対して入ってくる選手もフリーにさせてしまったが相手が体勢を崩していたことが幸いしてシュートは枠を逸れ窮地を脱する。
 得点以降ガンバは少しペースダウンし反対に新潟にペース掴まれ打って変わって新潟の攻撃を受ける時間が長くなる。初めはガンバの方がセカンドボールを拾えていたが新潟側に拾われることが増え、奪ってからのボール保持に苦戦しペースを取り戻せなかった。前半終盤には新潟のコーナーキックから3連続であわや失点という場面を招いたが一森のスーパーセーブとディフェンス陣の踏ん張りによりゴールを許さず1点リードのまま前半を折り返す。

〈後半の展望〉
 後半も開始直後から新潟は攻め立ててガンバはそれに耐えるような展開が続く。再び自分たちの時間を取り戻したいガンバは54分、中盤での攻防を制してマイボールに収め左サイドのウェルトンに展開しウェルトンはシンプルに駆け上がってきた黒川を使って黒川のクロスに先制点同様に山田が合わせに行ったが相手のマークに遭い上手くヘディングすることは出来なかった。
 守備に関して敵に後ろを取られていることが多くなってきておりボランチの背後のスペースに入られてそこにボールが入ってきたり、シンプルにロングボールでディフェンスラインの裏のスペースを狙われたりと守備陣形が崩れボールホルダーに対しても十分にプレスに行けていないことで簡単に危険なところを使われてしまっていた。印象的な場面では55分、最終ラインの背後にボールを落とされピンチとなったが福岡が素晴らしいカバーリングで危機を脱した。
 同点ゴールを挙げたい新潟は積極的に人数をかけてプレスに出てきており、前からの守備でガンバを嵌めにこようとしている中で、ガンバとしてはそこを剥がせれば前方にはスペースが出来ているのでチャンスを作れる可能性があった。簡単に逆サイドにボールを振ってボールサイドを変えることが出来ればその分プレスにくるタイミングが遅れるので攻撃しやすくはなるしガンバもそれを試みていたようにも見えた。ただ、大外に選手がおらず幅を使った攻撃が出来なくなって狭いところで繋ごうという状況に陥っておりプレスをかいくぐることが出来ず前に付けられずに後ろに下げることが多くターゲットがいないのでロングボールを回収され押し込めない状態だった。何度かワイドにボールを展開して良い形を作れたこともあったが、回数的には少なく足も止まってきてリズムを取り戻すには至らなかった。
 勢いを増す新潟の攻撃に圧されて耐え凌ぐ形が続いた感じになったが、それでも最後まで集中力を保ち新潟の攻撃を跳ね返して試合終盤は交代選手が上手く時間を稼いで時計の針を進め新潟にゴールを割らせないままタイムアップ。1-0とガンバが勝利した。

〈まとめ〉
 試合全体を通してみれば苦しい時間帯の方が長かったと思うが、前半のペースを掴んでいた段階の中でチャンスをしっかりとモノにし、守備陣が奮起してクリーンシートで勝ちを収められたことは大きい。リーグ戦はあと1試合を残すのみとなり、ホームで迎える最終戦是非とも勝利しシーズンを締めくくってほしい。

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