【マッチレビュー】20204J1第29節 セレッソ大阪vsガンバ大阪
〈システム〉
ガンバ大阪のフォーメーションは4-2-3-1。前節の時点でケガから戻ってきた半田がこの大一番でスタメンに復帰し、ボランチには鈴木とダワンのコンビ。この試合の2列目にはウェルトン、山田、アラーノが並び、ワントップに宇佐美が入った。一方のセレッソ大阪は3-4-2-1のシステムで試合に臨んだ。
〈前半の展望〉
因縁の大阪ダービーとなった一戦。セレッソは3バックシステムを採用し両ワイドにウイングバックを配置してピッチを幅広く使ったサイドに揺さぶりをかける攻撃でガンバのゴールに迫って行く。ガンバはサイド攻撃に対する守備としてサイドハーフがウイングバックにマークに行けるような状態を作り、サイドバックが引っ張られてしまった場合においてもボランチが空いたスペースをカバーに入って埋めてサイドにボールを展開されても落ち着いた対応が出来ていた。
攻撃に関してはまず個人の突破が見込める点で最初はウェルトンがいる右サイドから何回か突破を試みるシーンはあり、他には前節の東京ヴェルディ戦でのゴールのように中を狙いにしていく形をとっていくようにも見えた。6分ごろに収まりはしなかったが山田がボランチの裏のスペースでフリーになれているときがあり、そこに入れば一発でチャンスに持っていける可能性はあった。
しかし、実際の試合局面に関してはセレッソは序盤からかなり積極的に前からプレスに行きガンバはこのハイプレスに非常に苦労しまともに前にボールを付ける展開はほとんど見られなかった。サイドバックにボールが入ったときに味方が捕まり出せるコースがなくスペースに出しても出てから動いているので先に相手に触られてしまっていた。ガンバはビルドアップのときに右サイドから左サイドにボールを移動させたときにボランチが2人とも右に寄ってしまっているという現象が起きているため、左に回したときにパスコースが無くなりセレッソはそこを狙いにプレスをかけに来ており上手く組み立てが出来ていない状況に陥っていた。
ハイプレスに遭ってガンバは思うようにビルドアップが展開できない中で、セレッソはサイドからの攻撃で何度もシュートチャンスを作り出していく。16分には右サイドから中に入り込んでからの連携でキーパーと1対1の場面を作られてしまったが一森がビッグセーブを見せてピンチを切り抜ける。28分には今度は左のライン間のスペースを使われてエリア内でピンチを迎えるも、一森がここも好セーブで相手にゴールを許さない。これら以外でもガンバはセレッソに押し込まれることが続き幾度も危ないシーンに遭ったが一森の活躍もあって何とか失点は免れた。
逆にガンバは時間が経過してもセレッソの守備をかいくぐることは出来ずに一向にチャンスを作り出せない。中盤での関わりが少なく関わり方も直線的で相手に読まれやすいのでコースがなく、ただ苦し紛れのロングボールを蹴るだけになっていた。前半は1本もシュートを打てないままハーフタイムを迎える。
〈後半の展望〉
後半開始早々の48分、セレッソ側の遠目の位置からのフリーキックでマークを外してしまいフリーでシュートを打たれて失点を許し、立ち上がりからガンバは先制点を取られる。前半の試合内容から鑑みるに失点するのは時間の問題だったが後半の早い段階でセレッソにリードを奪われることとなった。
前半においては基本的に絶えずセレッソは前線からのハイプレスを仕掛け、それが功を奏してガンバは全く何もすることが出来ていなかったが、後半は流石にセレッソもプレスのペースを落としてある程度は構える守備の仕方を取るようになった。前半と比べるとセレッソのプレスが弱まったので、ようやくガンバも余裕が出てボールが少しずつ回るようになってくる。61分にはバイタルエリアでフリーになった宇佐美がこの試合ガンバにとって初めてのシュートを放った。65分には左サイドに人を集めておいて右サイドにボールを展開し、そこから半田と鈴木がダイレクトプレーの連続でセレッソの守備を崩してエリア内に入り中に速いボールを入れたが入り込む選手がおらずここはクリアされた。
得点は奪えず試合は終盤に差し掛かってきたが、ここにきて中間ポジションでやっとボールを受けられるようになってチャンスを作り出していきやすくなり、77分には途中出場の坂本が中盤で受けて前向きの宇佐美に預け、宇佐美のスルーパスに抜け出した同じく途中出場の山下がゴールを狙うもシュートは枠を捉えきれない。更に82分には相手の攻撃をストップしてカウンターに出て、中盤の空いたスペースに坂本が受けてそのまま反転ターンで前を向いてドリブルで運び敵を引き付け、左サイドでフリーになったウェルトンへボールを渡す。受けたウェルトンは正対する相手を上手くブラインドに使って外から巻いてくるシュートでネットを揺らし遂にガンバが同点に追いついた。かと思われたが、パスが出たタイミングでウェルトンがオフサイドの位置にいたことでVARの結果ノーゴールとなり、得点は取り消された。結局このまま試合はタイムアップし0-1とガンバが敗北を喫した。
〈まとめ〉
大事な大阪ダービーということもあってこの試合にかける期待は他の試合以上にあったのだが、特に前半は低調なパフォーマンスに留まり、全体的な試合内容的にも完敗と言わざるを得ない。はっきり言って非常に不甲斐ない結果に終わってしまい、またしても勝利を挙げられず苦しい状況が続き今シーズンもあとわずかだが、とにかくまず一つ勝ちを収めたい。