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【マッチレビュー】FC東京vsガンバ大阪

〈システム〉
 ガンバ大阪のフォーメーションは4-1-2-3。佐藤とクォン・ギョンウォンがCBのコンビを組み右SBには高尾が入る。ネタ・ラヴィが先発に復帰し前線の頂点には宇佐美が入りジェバリはベンチスタートとなった。一方のFC東京は4-2-1-3のフォーメーションで試合に臨んだ。

〈前半の展望〉
 ここ数試合勝利から遠ざかっているガンバは普段のようにジェバリではなく宇佐美をセンターフォワードの位置に先発起用し、中盤以降での連携面を高めて攻撃に出ようとした。この狙いは随所にピッチ上に現れた。16分では後方からアンカーのネタ・ラヴィを経由して左サイドに振り、黒川の楔のボールを宇佐美が収めて3人目の動きで山本が前向きでボールを受け相手を崩すことが出来た。19分にはサイドにボールがある際に、相手のウイングが中に絞り切れずにいるため空いたスペースにダワンや降りてきた宇佐美が使いサイドに展開。そこから宇佐美は自身が下がったことで空いた前のスペースに走り込みシュートまで持って行った。23分にも宇佐美が中盤の位置に下がって受けてサイドの倉田に振る。倉田がドリブルで運ぶ間に、宇佐美が下がって出来たスペースに黒川がランニングで抜けたり山本、食野が関わったりと人数をかけてゴール前に迫った。攻撃のパターンとしてはジェバリがいるときと差はあまりないが、宇佐美の方が球離れは良いのでよりスムーズにスピーディーな攻撃を展開することが出来た。
 パスワークで崩していくだけでなくカウンターでも惜しいシーンはあった。10分、35分と自陣でボールを奪って素早く攻撃に転じ、いずれも山本のラストパスから得点チャンスになりえた場面であったが、どちらのシーンでも最後のところでチャンスの割にはいい形でシュートを打つことが出来なかった。前述の関わり合いによる崩しからの攻撃でもそうだったが、形としては良かったものの、しっかりと打ち切るという部分で物足りなさが出ていた。
 少し違いを見せることは出来ていた攻撃とは裏腹に守備ではあまり修正が施されていないように感じた。どこに追い込んでボールを奪うのかというチーム内での共有が出来ておらず、単発での守備になりパスに対してただ寄せに突っ込んでいる状態のため、一つ抜かれると対応が遅れ一気にシュートまで持っていかれてしまうことになっていた。ライン間のスペースを利用された攻撃でピンチを招くことが多くあった。
 そして37分、サイドからスペースにポジションを取っていたディエゴ・オリヴェイラにパスが出され、それをディエゴ・オリヴェイラはスルーして前に抜けて更にスペースを空け、そこに入ってきた原川を止めきれず失点し、先にリードを奪われてしまった。
 また、先制点を挙げられ動揺したのか43分には裏へのボールの対処が遅れ2点目を奪われ差を広げられた。前半終盤に立て続けに得点され2点ビハインドの状態でハーフタイムを迎えることになった。

〈後半の展望〉
 後半になっても状況はあまり変わらずFC東京ペースでゲームが進んでいった。中盤でフリーの選手を作ってしまうことが多く、この穴を修正出来ていなかった。開始早々にいきなりピンチを迎え、その後もスペースを突かれた攻撃で何度も相手に決定機を演出された。2点差を追いつこうとするために多少なりとも前がかりになるも、攻撃のアイデアが乏しくフィニッシュまで行けず、逆にカウンターで危ない場面を作られることが多かった。
 攻撃の手段としては前半と同様にサイドをメインに展開していったが、クロスに入ってくる選手が少なかったり、反対に人数が揃っていてもクロスを上げずに仕切りなおしたりとサイドで敵陣深くまで入り込んでもチャンスに繋がらないで詰まってしまうことが殆どだった。早めの時間帯でジェバリを投入し宇佐美が頂点だった前半よりかはクロスを上げやすい状況にはなったが、変化はなくクロスが入っても中で待つ選手と呼吸が合っておらず脅威にはなり得なかった。
 ジェバリが入ったことでより前線に楔のパスを入れてそこからのポストプレーで前向きに攻撃を仕掛ける回数を増やしていきたかったところであるが、ジェバリはいい位置にポジションを取ってはいるが、受けたあとのプレーが重たく後に繋げる部分まで持っていけなかった。ジェバリ自身の機敏な動きも求められるところだが、ジェバリの近くに味方がサポートできるように位置取りワンタッチ、ツータッチで貰えるようにするなど縦パスを通したあと、そこからすぐに攻めていけるようにもしたいところである。
 点差を縮められずに時間が過ぎていく中で77分、前線へのロングボールを弾かれたこぼれ球をセンターサークル付近で俵積田に拾われてドリブルでサイド深くまでボールを運ばれ、2人で囲んだものの、それも突破されてそのままゴールを決められ更なるリードを奪われてしまった。その後もガンバは反撃に出るも結局最後まで得点はできず0-3の敗北を喫した。

〈まとめ〉
 最近の試合では勝ち星を挙げられていないが、攻撃では左サイドの黒川のプレーでしかまともに機能していないこと、守備では中盤やライン間でスペースを空けフリーの選手を生み出してしまっていることが大きな要因となっている。いち早く現状を打破する手を打って嫌なムードを払拭して欲しいものである。

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