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【マッチレビュー】2024J1第34節 川崎フロンターレvsガンバ大阪

〈システム〉
 ガンバ大阪のフォーメーションは4-2-3-1。半田、中谷、福岡、黒川のディフェンスラインに鈴木とダワンのダブルボランチ。2列目は山下、宇佐美、ウェルトンの3人が並びワントップの位置に坂本が入った。一方の川崎フロンターレは4-4-2のシステムで試合に臨んだ。

〈前半の展望〉
 川崎は試合の入りが悪くプレスが掛かり切っておらず開始直後からガンバは坂本がスペースにフリーで受けてシュートを放つ。これを防がれた後のコーナーキックでもファーサイドでフリーになった宇佐美がボレーシュートを打つも惜しくも枠を外れた。川崎の守備の隙を突くガンバは7分、鈴木が裏に抜け出す半田に浮き球のパスを送り、川崎ディフェンスは誰も付いていけず半田はフリーで背後を取り中に折り返し、これをウェルトンが確実に決めてガンバが先制。試合の入りが悪くエンジンがかかっていない川崎を序盤から攻め立てガンバが早々にゴールを奪う。
 立ち上がりから川崎はいまいち守備が安定しておらず前からプレスをかけに来たときも強度は低く連動性もあまり出ておらずガンバはそこまでプレッシャーを感じずに相手を剥がすことが出来た。また、川崎の中盤とバックラインの間でスペースが空きやすい状況になっており坂本がそこでフリーになる機会が多く起点は作りやすかった。これ以外にも山下の足の速さを活かした攻撃が何度かあり、15分には自陣のエリア付近でボールを奪ってそこから宇佐美が一気に背後に抜ける山下へパスを出したが、少しボールが長く山下に渡りきらなかった。続く21分には坂本からサイドの裏を狙う山下へスルーパスを通し、これが渡って山下のマイナスに折り返したところに宇佐美が合わせたがキーパーに防がれゴールとはならなかった。先制点を挙げて以降もガンバは川崎のゴールに迫り追加点を奪えるチャンスは十分にあった。
 ただ川崎も攻撃面に関しては最初から上手くハマってチャンスを作り出せていた。主に左サイドからの攻撃がベースとなり、マルシーニョの個としての強さが発揮されドリブルで仕掛けるシーンもあれば、川崎らしいテンポよいパス回しによる複数での連携からガンバの守備を抜けていくシーンもあり、シュートにまで持っていく機会が序盤からあった。川崎の外国人選手であるマルシーニョやエリソンの強さに対してガンバはそこで相手に優位に立たれることが比較的多くなるべく彼らにボールを渡らせたくはなかった。
 時間が経過していくにつれて次第に川崎ペースになってきてガンバは耐える状況が続く。守備は機能しており川崎の中盤を上手く抑えることは出来ているが、攻撃で違いを出す展開を見せる回数が減っていった。ウェルトンの負傷交代があってから岸本が代わりに入って右に入り山下が左に回ったが山下の縦の突破が無くなってしまい攻撃に転じられず川崎にボールを持たれる時間が長くなる。川崎の動きに翻弄されてエリア内に入られることも増え危ないシーンも多く作られたが最後の部分は許さず1点リードで前半を終える。

〈後半の展望〉
 後半も川崎がボールを支配して攻勢に出る試合展開となりガンバはボールをキープする時間を出来るだけ長く作りたかったが上手くポゼッションを高めていけない。山下の裏への動きやウェルトンの前への推進力で川崎陣地の深いところまで入っていくことが出来ていた前半の序盤の様子とは違って、今の状況では高い位置にボールを持っていく手段が乏しく川崎を自陣に押し込むことが出来なくなっていた。
 攻勢を強めていく川崎は後半途中から一気に4枚を同時に入れ替えて勝負に出る。ガンバはこの交代があった直後にメンバーチェンジで川崎のマークの確認がズレて中盤のプレスが弱くなったところを突いてダワンがやや強引ながらもエリア内に持ち込んでシュートを打ち久々のチャンスを作り出す。しかし、選手交代で川崎の動きがより活発になり前線が流動的なプレーでガンバのマークを攪乱しゴールに迫っていく。70分にはガンバの左サイドをダイナミックな動きとワンタッチプレーで突破されてガンバはピンチを迎えたが、何とか戻って得点を許さない。
 しかし81分、前線へのロングフィードを家長に上手くコントロールされてディフェンスの背後にボールが入り、この折り返しを頭で合わせられて遂にガンバは失点し終盤に相手に追いつかれた。最初のロングボールを送った選手にプレスをかけにいくことが出来ず、その後も足が止まってマークを外してしまったことが原因となってしまった。今まで踏ん張っていたガンバだったが、とうとう耐えきれずに同点に追いつかれることとなった。その後はスコアは動かずに試合終了。1-1の引き分けに終わった。

〈まとめ〉
 立ち上がりからゲームに入り切れていなかった川崎を攻めて幸先よく先制点を奪い、その後も守備が安定していなかった川崎を攻め立てることは出来たが、追加点を取れなかったのが響いた結果となった。今季通して決定力、チャンスメイクはガンバの課題となっており、残りの数試合少しでも上の順位で追われるように流れが来ている中で点差を付けていけるようになってほしい。

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