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【マッチレビュー】2024J1第35節 ガンバ大阪vs名古屋グランパス

〈システム〉
 ガンバ大阪のフォーメーションは4-2-3-1。ディフェンスラインの4枚は変わらずで、この日は美藤が先発しダワンとダブルボランチを組む。また、2列目には食野が久しぶりのスタメンに名を連ね山田、山下が並びワントップに坂本が入った。一方の名古屋グランパスは3-4-2-1のシステムで試合に臨んだ。

〈前半の展望〉
 名古屋はウイングバックがサイドに張って高い位置を取りガンバのサイドバックを引っ張り出し、サイドバックを引き付けた後ろのスペースにトップ下の選手が狙っていく形でサイドからチャンスを掴む。そうしたプレーで得たコーナーキックから前半5分と早い時間帯で先制点を奪い、ガンバはいきなり相手にリードを許す厳しい立ち上がりとなった。
 早くも失点を許したガンバは主に右サイドから攻撃を組み立ててチャンスを伺っていく。ビルドアップのときに状況を見て半田が中に位置取りしてパスコースを確保し相手の背後に立ってボールを引き出す動きを見せて押し上げのサポートをし、相手の陣内に入っていくと前線の坂本やボランチの美藤も関わってスペースを突くランニングで良いところにボールが入る機会は何度かあった。名古屋の左サイドの方ではマークを釣りだしてスペースが大きく空くことが見られるのでそのスペースへの入りや入ったあとの連動した動きがあれば十分にゴールを狙える雰囲気はあった。そして21分、美藤が素晴らしいランニングで右サイドのスペースに抜け出し折り返しがファーサイドに流れたところに黒川が走りこんでシュートを放ち、ディフェンスに防がれたこぼれ球を坂本が押し込んでガンバが同点に追いつく。狙いどころとなっていた場所を上手く使ってガンバがスコアを振り出しに戻した。
 畳みかけたいガンバは26分、センターバックから一気にディフェンスの背後にボールを送りスピードのある山下が抜け出し折り返しに坂本が合わせに行ったが、ここは先に名古屋の守備に阻まれる。更には28分、今度は左サイドからのパスワークで相手陣内深くまで押し込んでいきバイタルエリア付近でボールを受けた坂本が上手くターンして前を向いてシュートを打ち、ブロックに当たってコースが変わったボールはそのままゴールに吸い込まれ続けざまの得点でガンバが逆転に成功する。
 前半のうちからスコアをひっくり返したガンバは3人目の関わりができて上手く形を作れることも出てくるようにもなってくる。前からの守備もハマって36分には高い位置からの山田のプレスでボールを奪い、ボールが流れたところを坂本が拾ってフィニッシュにまで行ったが惜しくもゴールとはならない。
 前半の終盤には相手に攻め込まれるが一森が安定したパフォーマンスでゴールを許さない。40分にはフリーキックの流れからピンチを迎えるが一森が連続して相手のシュートを防ぎアディショナルタイムに入った47分にはこぼれ球を相手に拾われフリーでシュートを打たれたが、ここも一森がファインセーブでゴールを死守し1点リードで前半を終える。

〈後半の展望〉
 一森の活躍もあって前半はリードを保ったまま後半に入れたガンバだったが、56分に再びコーナーキックから相手にゴールを奪われ後半も早めの時間に失点しスコアはイーブンとなる。
 前半から名古屋の守備は一貫しているが、名古屋はマンツーマンディフェンスで前からプレスをかけに行きガンバはこれに少々手を焼いている感じは否めなかった。半田が内側に入ってコースを空けたり黒川が1枚剥がしてドリブルで前に運んでいけたりと両サイドバックのプレーで回避することが何回かあったが、基本的にボランチにもマークが付かれており、そこを使いにくいせいで名古屋の守備にハマってしまう傾向にあった。
 しかし、58分に半田がサイドのスペースでフリーになってボールを貰いそこから背後に抜ける山下へパスを通し、山下は相手のタックルを躱して上手く相手の前に入り込みボールを折り返したが、中の選手の動きが足りずボールが繋がらない。その直後には中盤のスペースに降りた山田が受けて前線の食野にボールを付けて食野はボールを収めて左に流れる坂本へ繋ぐ。少しボールコントロールが乱れたところをディフェンスに触られボールが流れたが山下がフォローに入り2回シュートチャンスが訪れたが一つは相手のブロック、もう一つはポストに弾かれ勝ち越しゴールとはならない。また、70分には前線へのロングボールを名古屋のディフェンスが処理する瞬間を狙って坂本がボールを搔っ攫いエリア内に切り込むも上手くシュートは打てず得点は奪えない。
 時間経過による疲労でやや名古屋のプレスが弱まりガンバはスムーズにボールを回せるようになってきている。73分には坂本がスペースに顔を出してパスを引き出し右の山下と半田とのパス交換で崩し最後は抜け出した宇佐美にパスが通りシュートを放つも相手キーパーに防がれる。ただ前後半通して坂本が機転の利いたプレーを継続してチャンスを増やしていく。
 そして77分、相手のクリアボールを中盤で回収し鈴木が坂本に渡し坂本がマークを引き付け宇佐美にボールを落とす。宇佐美も少しタメを作ってディフェンスの注意を集めてから左で抜け出す福田へ丁寧なパスを送り、フリーで背後を取った福田がこれをダイレクトで合わせてゴールイン。終盤になってガンバが勝ち越し点をもぎ取った。これが決勝点となって3-2とガンバが勝利しホーム連勝を飾った。

〈まとめ〉
 この試合はセットプレーでの守備に課題を残すこととなったが、攻撃陣が上手く躍動し3ゴールを奪って見事に勝ちを収めることが出来た。特に坂本は攻撃のキーマンとなって素晴らしいプレーを見せ、怪我で苦しんでいた福田が決勝ゴールを挙げチームの雰囲気も非常に良いだろう。この調子を維持し次も勝利を手にしてほしい。

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