【マッチレビュー】20204J1第36節 ジュビロ磐田vsガンバ大阪
〈システム〉
ガンバ大阪のフォーメーションは4-2-3-1。半田、中谷、福岡、黒川の最終ラインに鈴木とダワンのダブルボランチ。山下、宇佐美、倉田が2列目に並びワントップに坂本が入った。一方のジュビロ磐田は3-4-2-1のシステムで試合に臨んだ。
〈前半の展望〉
試合の立ち上がりに早速ガンバは見せ場を作る。左サイドで黒川が倉田とのワンツーによりサイドを突破し中への折り返しはクリアされたが、こぼれ球を拾った倉田がコースを狙ったコントロールシュートを放ったが惜しくもクロスバーに嫌われゴールとはならなかった。更に6分にはコーナーキックから大外でフリーとなっていたダワンが合わせてネットを揺らし序盤から幸先よく先制点を奪ったかと思われたが、VARの結果オフサイド判定となりゴールは取り消され幻の得点となった。
ガンバの得点がノーゴールとなり、反対に23分、中盤でのボールの行き違いを磐田に収められてサイドに展開され、寄せに行った黒川に当たって少しコースが変わったクロスボールに対して上手く合わせられ相手に先制点を許してしまう。クロスを上げる選手、中への選手に付ききることが出来なかったことで失点する結果となった。
リードされる展開となったが27分、ノーゴールとなったときと同サイドのコーナーキックから今度はニアで半田が頭で合わせて失点直後すぐさまガンバが同点に追いついた。
嫌な流れになりかけたもののあっさりとスコアを振り出しに戻せたことでガンバが試合のペースを握りボールを支配しながら攻撃を仕掛けていく。中盤のところでは比較的空きやすいことが多く、そのハーフスペースに宇佐美や坂本がポジションを取ってそこから前向きの選手を使っていけたり、ドリブルで中盤のスペースを突いて運ぶことができれば磐田のマークにズレが生じてラインを崩すことができたりとチャンスメイクの形は見えた。
攻撃におけるサイドバックの関わりも多く40分には宇佐美のパスに抜け出した半田の折り返しから坂本がシュートを打つも相手のブロックに阻まれ勝ち越し点とはならなかった。46分には今度は左サイドで受けた黒川が裏に抜け出す坂本へ絶妙なパスを送りシュートにまでは至らなかったが左右どちらともサイドバックの存在が攻撃にアクセントを付けた。
そして前半の終了間際の54分、宇佐美がドリブルで左サイドの敵陣深くまで入っていき敵を引き付けてからヒールパスでスペースに落とし、上がってきた黒川がフリーの状態でクロスを上げ大外から山下が入ってきてダイビングヘッドで合わせて前半のうちにガンバが逆転に成功する。山下の移籍後リーグ戦初ゴールで1点リードで前半を終える。
〈後半の展望〉
後半も立ち上がりにガンバは中央で敵の注意を引いて空いた外のスペースに駆け上がってきた黒川が惜しいシュートを放ってサイドバックの攻撃参加が非常に効いていた。磐田の守備が徐々に遅れてきてくるようにもなって背後を取れることも多くなり更なる追加点を奪える雰囲気があった。そして62分に相手のハンドからPKを獲得し、宇佐美がこれを確実に仕留めてリードを2点差に広げる。続く67分には山下がスピードに乗ったドリブル突破で相手の前に入ってそのままゴールを決め一気に3点差にまでなったかと思われたが、ここはオフサイドを取られてゴールは認められなかった。
攻撃が機能し盤石な試合運びが出来ているようにも見えたが、守備の部分で磐田の右サイドからの攻撃を上手く封じ切れていないところがあった。前半の失点も右サイドからのものであり、後半開始早々にもサイドでフリーの選手を作り出されあわや失点というようなピンチを迎えた。磐田の中でもクルークスが非常に脅威の存在となっており左右両方の足から正確なクロスボールを供給し、それだけでなく強烈なシュートでゴールを狙ってくることもありガンバはここを潰しきれずにいた。
試合も終盤に入ってガンバはしっかりと試合をクローズしていきたかったが、磐田は選手交代を交えながらシステムも変更し攻撃的な形にシフトして点を取りに出ていく。ガンバはそれに対してマイボールの時間を確保しつつ逃げ切りを図りたかったが磐田の圧に押されてボールを持つことができず押し込まれる展開が続く。すると、87分に1点を返されると勢いに乗った磐田を止められず91分にも失点し終盤になってガンバは同点に追いつかれる。いずれも磐田の右サイドからのクロスから生まれた得点であり懸念していたところを消しきれずにやられてしまった。
それでもガンバは93分、前がかりとなっていた磐田の隙を突いて美藤がドリブルで運んで左に流れたジェバリに渡し、ジェバリはワンタッチで中にいた坂本に落としたところを坂本が決めきり再びガンバがリードを奪う。これが決勝点となって4-3でガンバが勝利した。
〈まとめ〉
何とか勝ち切ることができて勝ち点3を取ったことは喜ばしいことだが、終盤での2失点は大いに反省点となるものである。結局は最後まで磐田の右サイドを抑えることが出来なかった訳なので、この点に関しては修正していきたい。ただ、あのまま逆転されずに勝ち越し点を奪い勝利したのは価値あるものと言える。あとリーグ戦2試合勝ってシーズンを終えほしい。