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(今日の言葉4)武者小路実篤が今も語りかける、苦難を乗り越える言葉

皆さんは、苦難に直面したとき、どうしますか?恐れに支配され、身動きできない状態が続くこともあるでしょう。また、なぜ自分だけがこのような目に遭うのかと運命を恨むこともあるでしょう。

今月の「致知十月号」(致知出版社発行、2024年10月)では、「理想に向かい歩み続けた人生に学ぶ」と題し、武者小路実篤(下部参照)が紹介されています。この記事では、武者小路実篤記念館の伊藤陽子副主幹・主席学芸員が実篤の数々の言葉を紹介しています。

その実篤の言葉の一つに、

「この世にはいろいろの不幸がある、しかしその不幸からよきものを生み出そうとし又生み出し得るものは賢い人である」

「致知十月号」2024年 57頁

というものがあります。
この言葉は、ノーベル物理学賞を受賞したアインシュタインの言葉

“In the middle of difficulty lies opportunity.”(困難の中にチャンスがある)

と通じるものがあります。苦難に遭遇した時、苦悩にのまれるか、それともチャンスと見るかは自分次第です。

では、実生活において苦難に直面した時、私たちはどのような行動をすれば良いのでしょう。

私は、中村天風の言葉

「たとえ身に病があっても、心まで病ますまい。たとえ運命に非なるものがあっても、心まで悩ますまい」

を大切にし、まず、心を平静に保つようにしています。そのテクニックとして、天風は、困難に出会っても努めて「笑う」ようにしようとも言われます。そして、その困難は人生にとって、私たちが成長するために与えられた試練だと考え、感謝することまでできるようになったら、事態は好転するという天風の実体験に即した行動を取ります。

武者小路実篤は、このような言葉も遺しています。

「いかなる時にも/自分は思う/もう一歩/今が一番大事な時だ/もう一歩」

「致知十月号」2024年 59頁

と。
まさに「今、ここ」という時点が大切であり、「今、ここ」がどん底の状態でも、そこに幸福の種子が隠れていると思わないといけません。

そして、悲しみや苦難に直面した直後、心や身体が動かなければ休めばいい。しかし、時の流れが心や身体を癒し、少しずつでも前向きに気持ちを切り替えることができたのなら。

実篤の詩にある一歩、そしてもう一歩と歩みを進めれば、やがて大きな苦難を乗り越えることができます。私たちはその苦難を越える度に成長を遂げ、偉大なる幸福な人生に一歩ずつ近づいていくことができるのです。

武者小路実篤(むしゃこうじ さねあつ/1885〜1976年)
※一般的には「むしゃのこうじ・さねあつ」。「むしゃこうじ・さねあつ」は、実篤本人が名乗っていた読み方に基づいています。

明治43(1910)年に友人・志賀直哉らと雑誌『白樺』を創刊し、以後、60年余にわたって文学 活動を続けてきました。小説「おめでたき人」「友情」「愛と死」「真理先生」、戯曲「その妹」「ある青年の夢」などの代表作、また多くの人生論を著したことで知られ、一貫して人生の讃美、人間愛を語り続けました。
(調布市武者小路実篤記念館ホームページより)

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