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薩摩会議 特別番外編 ドルフィンポート跡地にはハコモノではなく街を作ろう 第二部:「港街」のグランドデザイン Go! Kagoshima 門田晶子氏(後編

薩摩会議特別番外編として開催した「ドルフィンポート跡地にはハコモノではなく街を作ろう」というシンポジウム。第2部はGo! Kagoshima 代表の門田晶子さんと、SELF監事坂口修一郎との対談・後編です。

前編はこちら👇

サクラメント

門田:私の21年暮らした故郷は、カリフォルニア州のサクラメントという街です。ここは海の街ではないんですが、ゴールドラッシュで栄えました。採れた金をサンフランシスコへ運ぶための拠点となっていたサクラメントリバーという大きな川があって、そこが街の拠点となっています。

右側に橋がかかっていますよね。そこでやっているイベントも後ほど紹介しますが、大きな川で街が成り立った街です。先ほど田島さんが「旧市街地なんだよ」と仰っていましたが、ここも川沿いは「オールドサクラメント」と呼ばれています。歴史的に街ができたエリアってすごく味があっていいですよね。70年代にはすごく廃れたみたいで、オールドサクラメントを壊して道路にしようという流れがあったけれど、市民が反対運動を起こしたことで石畳みの街並みが残り、現在は観光拠点になっています。

サクラメントも市自体は50万人ぐらいの小さな都市なんですけれども、生活圏では260万人くらいいる、街の規模としては大きいほうですね。多様な都市として全米1位と言われています。

坂口:これはどういう意味で「多様」なのですか?

門田:ダイバーシティですね。実はサクラメントは、人種や文化的な背景があり、ウクライナの移民が世界で1番多い場所と言われています。ウクライナのスーパーがあったので、私もそこへ買いに行っていました。

サクラメントには「サクラメントキングス」というNBAのバスケットチームがあります。かつては郊外を拠点としていましたが、街中へ拠点を移すという計画が立って、駐車場も含めてこんな街の中に入れちゃったんですね(↓)。

2枚目の真ん中に見えるのが州都(キャピタル)、知事などがいる場所なんですが、その周りが森みたいで公園=キャピタルパークになっています。ここがドーンと見えるような街づくりをしていて、この景観を見えないようにする建物は建ててはいけないという決まりがあるんです。あと、その周辺には高層ビルは建ててはダメとなっていて、街の条例も厳しい。

坂口:日本だと銀座の中央通りがそうなっていますよね。

門田:そうですよね。だから日本でもそうやって景観を大事にする街づくりができるんだなと。

坂口:中央通りの場合だと、資生堂を超えてはいけないんですよ。資生堂のビルが57m。それを超えないようになっているので、その他のエリアの歌舞伎座などは建て直して高層ビルになっているんですが、中央通りだけ谷間みたいになっているんですよね。あそこだけ空が広く見える場所になっている。

門田:街並み綺麗ですもんね、銀座って。空大事。

門田:こちらの写真、先にキャピタルの建物が見えますよね。この道路を全部使ってファーマーズマーケットをやっています。カリフォルニアも鹿児島みたいに農業、畜産など一次産業の強い州なので、それを最大限に見せたいと。

ここに書かれている「Farm to Fork」は、「Farm to Table」という言い方もしますが、農家から食べるフォークまでを直につなげる、『産地直送』という意味です。サクラメントは街のブランディングとして「アメリカにおけるFarm to Forkの中心地になる」と宣言をしています。

このようにキャピタルの前の公園でもダイニングアウトできるようになっていたり、たくさんのイベントをやっているんですが、その中でも私が行きたくてたまらないのが、このキャピタル前のエリアから道路の先にある橋の上でのこの風景!これ、鹿児島でやりたくないですか?

相当準備するんですけど、こんなのあったら嬉しいですよね。こちらはタワーブリッジと言いますが、サクラメントのシンボル的な建物です。その下で食べるのはシンボリックで良いですよね。

坂口:この時、道路は封鎖するんでしょうね?

門田:封鎖するとネットでお知らせがあります。

坂口:この主催は、行政になるんですか?

門田:いいえ、レストランのオーナーやまちづくりに携わる人でプランニングコミュニティ(委員会)をつくり、行政も含めて計画しています。

坂口:Farm to Forkというコンセプトは行政が打ち出したのですか?

門田:これもおそらく街のみんなで考えたのではないかと思います。

坂口:でも行政が後ろで支えているということですよね。そうでないとできないですよね。

門田:サクラメントの市民は、行政とうまく付き合っているという印象があります。

門田:またサクラメントでは、以前から持続可能な視点でまちづくりに取り組んでいますが、例えば、上記のようなダウンタウンの土地開発のためのツールキットを作っています。これが面白いなと思って日本語にしてみました。

このツールキットを使うと、コンセプトプランから申請まで、行政の人と一緒に手取り足取り進んでいくことができます。サクラメント市は市街地の人口を10年で1万人に増やし、都市部・中心部を発展させる計画を打ち立てました。このようなツールキットを活用しながら、上手に発展していって素敵だなと思い、紹介させてもらいました。

楽しいところに人は集まってくる

門田:ということで、最後にドルフィンポートのあの地形に近い、オークランドの写真を置きながらお話できればと思います。今は妄想ですが、ここには「あったらいいな」がいっぱい散らばってると思います。

坂口:いやでも、これは現実ですからね。このお話を聞いていると、ちゃんとシンボルをつくって、既存のものがあって、うまくフレームをつくって、何があったら楽しいかなということを考えられていますよね。

門田:そうですよね。「何があったら楽しいか?」楽しいというのをもっと前面に出していいんじゃないかと思います。

坂口:やっぱり楽しいところに人は集まってくるし、そこの街の楽しみ方がありますよね。

先ほど、田島さんが「資源と素材は違う」と仰っていました。鹿児島には、素材がたくさんある。例えば、お茶にしても鰻にしても、素材は全部素材として出すけれど、資源として見ていない。源だと見ないといけない。それは無駄遣いであり、「この桜島の景観に失礼だ」とさえ仰っていました。

門田:それはありますよね。こんな宝のような資源を無駄にしちゃいけないということですね。

坂口:それが資源、源だということですよね。もう少し、このことを地域にいる人たちが認識することが必要です。当たり前すぎるんですよね。例えば、温泉がこんなにあることは私たちにとって当たり前すぎますよね。

門田:私たちの当たり前って凄すぎると思うんですよね。

坂口:当たり前のレベルが凄すぎて、逆にそれを卑下してしまうこともありますよね。それは本当にもったいないと思います。

ドルフィンポートの話は引き続き「何がドリームプランなのか?」「本当に楽しい地域・エリアって何なのか?」ということを、行政の人も含めて考えていきたいですね。

門田:それは声に出していかないと始まらないですもんね。みんな思いはあっても、声に出していかないといけないですね、

坂口:そろそろお時間なので、今日は知らない情報がたくさんあり、とても楽しい時間でした。これからもこのような対話が続けられたらと思っています。

野崎:次回は、鹿児島離島文化経済圏の山下賢太さんに来ていただいて「離島」をテーマにお話を伺います。

坂口:ドルフィンポートは島へ出ていく、『海の玄関口』ですもんね。

門田:そう!アジアの玄関口です!!

坂口:陸の玄関口が中央駅、空の玄関口が鹿児島空港、海の玄関口がドルフィンポート。その3つが素敵な形になっていくと、もっと楽しくなっていくだろうと思っています。


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