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『縮減社会』の社会システムデザイン

(文:SELF編集部 かつ しんいちろう)

人口推計は、予測統計の中でも的中率が高い統計と言われている。日本の人口は2004年の12,784万人をピークに急激な減少局面に入っている。2040年には、団塊の世代(出生数 260~270万人/年)及び団塊ジュニア世代(出生数 200~210万人/年)が高齢者と なっており、我が国の人口ピラミッドはいわゆる「棺おけ型」になる。いわゆる『縮減社会』である。

今の社会を引っ張る大人たちは、高度経済成長時代を生きてきた。思考パターンはその時代に築かれている。人の思考パターンは、過去の経験に引きずられる。同じく人の行動パターンも、過去の経験の引きずられる。

環境が変わるときにこの特性は危険だ。これまでのままのイメージで、これまでのままの設計をしてしまい、出来上がったときには「なんでこんなことになったのだ。」と愕然とする。

わたしたちの暮らしを支える行政のシステムは、これからどのようにしたらよいのか? 総務省では2017年から2018年にかけて「自治体戦略2040構想研究会」を開催して、新しい行政サービスの姿と対応を考えている。


その報告書のサブタイトルは、「人口減少下において満足度の高い人生と人間を尊重する社会をどう構築するか」。我が国がどのような姿になるかがジャンル別に描かれている。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000562116.pdf

都市部においては高齢化とスポンジ化が進み、様々な社会インフラの維持が難しくなっている。社会課題は増えるが、人口の減少とともに公務員の数も減る。(今は会計年度職員をドンドン増やしている自治体も多い。)

ただ減っていく様子と課題を並べるだけでなく、対応策を考え、既に実施している分野もある。それが、自治体の利用する基幹システムの標準化だ。これまでは、各自治体ごとに開発していたり、いくつかの自治体で共同利用する形をとっていたが、2026年度までに標準化することが決まっている。

自治体のシステムだけでなく、学校も自治会も商店街も『縮減社会』の対応したあり方が問われている。運営のしくみは短期間で変更が可能だが、建物は50年以上残るので慎重な検討が必要だ。

鹿児島県内でも最近市役所や町役場の老朽化と合併特例債*1の利用期限(2025年)到来に伴う建替えが進んでいる。

合併特例債とは、合併した市町村が新しいまちづくりに必要な事業に対する財源として、「新市建設計画」に基づき、借り入れすることができる地方債のことです。
事業費の95%まで借り入れでき、毎年度返済する元利償還金の70%が普通交付税によって措置されるため、有利な財源とされます。

姫路市ホームページ「合併特例債とは何ですか」

もう訪れていて、その度合いがますます加速する『縮減社会』に対応した社会システムのデザインをわたしたちは心がけなければならない。特にいわゆる箱物と呼ばれる大きな建物は重要だ。少ない財源の中、墓標を作ってはならない。

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