【SELFの本棚】#58 「Transforming our world : 世界を変える」 持続可能経済協会,熊野英介ほか
2017年に「人間の尊厳と、多様な生命の尊厳を守る」ことを目的に企業経営者の有志で設立された『持続可能経済協会』。この本は、2部構成で、第1部が同協会の代表理事でありアミタホールディングス株式会社代表取締役会長である熊野英介氏による「あしたを変える未来設計の視座」。第2部が2022年11月28日に開催された最終フォーラムの基調講演や対談で構成されています。
NPO薩摩リーダーシップフォーラムでは、設立時から transforming ourSELF, transforming our world (自己変容を通した社会変革を)をメッセージとして伝えてきました。
どうやら世界はtransformする時期を迎えているようです。偶発性ではなく必然性を感じる本のタイトルです。
第一部の「あしたを変える未来設計の視座」では、人類がこれまでどのような未来を求めて活動してきて、その結果現在どのような立ち位置にいるのかをマクロ的に振り返った内容です。
「豊かで幸せな地球社会」という山を登っていたはずなのに、いつしか「個人の幸せ=マネー資本主義」という山を必死に登り、その過程で環境破壊や人と人が殺戮を行なう戦争、そして資源の奪い合いを行なってきたことが書かれています。
そして、今、その山の頂上に到達しつつある感があちこちで生じています。
著者は、ありたい姿として「働けば働くほど、作れば作るほど、買えば買うほど、暮らせば暮らすほど、自然資本と人間関係資本が増大する社会」を提唱しています。
第二部の生物学者の福岡伸一先生による生物の動的均衡のお話や酒井里奈さんによる発酵のお話、そして能楽師の安田登さんの能(脳ではなく)から考える持続可能性のお話も視座を変えるストーリーです。
さて、著者の熊野英介さんは、薩摩会議2024 Day2 新留セッション「学校 X Transformation」でゲストとしてお招きしています。明治維新以来の日本の社会構造がたどってきたこと、その中の教育システム、そしてこれから目指していく方向性など山極壽一先生も交えて色々伺えそうです。
薩摩会議もお楽しみに!