日本では「櫛」はどんな意味を持っていた? 「くしの日」に考えること
9月4日は「くしの日」ということになっています。今回こちらで扱うのは「髪を梳く」方の「くしの日」です。
言うまでもなく語呂合わせでの記念日ですね。制定したのは美容週間実行委員会が中心となった美容関係者、だそうです。この日の前後7日間が「美容週間」ということになっています。
もしかしたら、特にそんなこととは知らずにこの期間に美容院に行った人もいるかもしれませんね。
さて、「櫛(くし)」というのは髪を梳く道具ではあるのですが、日本では古来よりもう少し特別な意味を持つものとしても扱われていました。
それは読みの「くし」というのが「苦しい」「死」を意味する「苦死(くし)」ということから、あまり縁起の良いものとしては思われていなかったためです。
そのため、誰かにプレゼントにするための贈り物としては向いておらず、「くし」という言い方を避けてあえて「かんざし」という言い回しをして贈ったりしていたそうです。
このあたりのことについては、有名なゲーム「ペルソナ4ザ・ゴールデン」でも似たような取り上げ方をされていますので、知っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
また、道に落ちている櫛を拾うことは「苦と死を拾う」ということにつながるため、拾うときには一度足で踏んでから拾う、というやり方をしたのだとか。
(Wikipediaより)
何かひとつプロセスを挟むことで縁起の悪さを祓う、というやり方がいかにも日本っぽいですよね。
今では髪を梳くのは櫛を使うよりもヘアブラシを使う方が一般的だと思います。そのため昔ながらの櫛はちょっとした芸術品のようでもあり、プレゼントにも良さそうに思ってしまうのですが、日本での扱われ方を思うとやはりちょっと躊躇ってしまいますね。
ちなみに古事記で有名な日本の神、伊邪那岐命と伊邪那美命に関わる逸話として、伊邪那岐が伊邪那美から逃げるときに櫛の歯を後ろにして投げつけたところ、それがタケノコへと姿を変え、伊邪那美がそれを食べている間にうまく伊邪那岐が逃げおおせた、というものがあります。
櫛が「別れ」を意味する呪力を持つものとして扱われているのも、こういうところから来ているのでしょうね。
ただ、江戸時代には「櫛を送る」という行為がプロポーズの意味を持っていたこともあるそうです。
贈る際にどういう意味を込めたか、をきちんと相手に伝えれば一つの贈り物として櫛は悪くないかもしれませんね。
今回は「くしの日」にまつわることとして、日本の「櫛」がどのような意味を持って扱われてきたかを見てきました。
何かしら知識に+になりましたら幸いです。
それでは、また。