「指輪物語」などに見る海外小説の読みづらさ 海外作品はこんな感じで読んでみて
AmazonPrimeで配信予定のドラマ版「ロード・オブ・ザ・リング」の予告映像が出ましたね。
映画「ロード・オブ・ザ・リング」、そしてその前日譚にあたる「ホビット」よりもさらに昔の話、全ての元凶である“指輪”を生み出した冥王サウロンが、まだ冥王になる前くらいからの物語を描くそうです。
配信開始は9月ということでまだまだ先なのですが、「指輪物語」ファンとしては今から楽しみですね。
ところでこの「指輪物語」、原作の小説を読んだことのある方はいらっしゃいますでしょうか。
「昔、映画の公開がされていた頃にちょっと気になって手に取ってみた」
なるほど、なるほど。そういうきっかけで初めて「指輪物語」に触れた方、そこそこいらっしゃるかと思います。
それでは……
最後まで読めましたか?
この「指輪物語」に限らず、海外の小説・物語というのは僕ら日本人にとっては実はすごく読みづらいんです。
今回はこのあたりのことを少し話そうと思います。
トールキンは大学教授
まず「指輪物語」に限って言うと、作者のトールキンは元々作家や小説家ではありません。
語学・文学を専攻していた大学教授なんです。
論文などをまとめる力はあったとしても、人に読ませるような物語を書いたりすることに長けているわけでは無いんです。
「指輪物語」の第1巻、半分もいかないでギブアップしたという人、多いんじゃないでしょうか。
人物の説明、情景描写がとにかく多いんです。
「〇〇は何色の服を着ており、大きさは何々くらいの木の家に住んでいる。普段は何々をして暮らしており、好きなものは何々である。友人は■■と△△で…」
だいぶ簡略化して書いてますが、こんな感じの文章が登場人物の数だけ延々と続きます。物語の途中で新しい登場人物が出れば、その人についても同様です。
もうですね、疲れてしまうんですよ(笑)。
「漫画で読む『指輪物語』とか無いの~?」
と言ってしまいそうになります(まぁ、映画を見るのが早いが…)。
物語はいつ始まるの!?
おそらくあちらの人の考えでは、
「文字だけで話を読んでもらうんだから、登場人物がどんなやつか分からないと、話が理解できなくなるだろう?」
というふうなことに近い考えがあるんじゃないかと思います。
海外の小説はほんとにこんな感じのが多いです。
物語本編はだいたい早くて本の1/3、ほとんどは半分くらいのところから始まります。なので、最初の数ページを読んだら、あとはいきなり半分くらいの個所から読み始めていいぐらいです。
日本人はセリフや行動からキャラクターを読み取る
日本の文学・小説・ライトノベルなどで、ここまで細かくキャラクターの説明を書いてしまうようなことはほとんどありません。
それは子供の頃からアニメや漫画を見て育っていることもあり、ちょっとしたセリフや行動からだいたいのキャラクター像を想像することができるんです。
服装にしてもそう。別に挿絵が無かったとしても、
「頭より先に体が動くタイプだな。ラフで動きやすい恰好してるのかな」
「真面目で堅そうなやつだな…スーツでも着てるか?」
「深窓の令嬢って感じだな。ひざ丈まであるくらいのスカートはいてんだろうな」
などなどこれまで見てきた作品に、近い人物像を見てとれます。
それよりも物語をどんどん動かしていかないと、読者がまず食いついてくれない、ということの方が日本の作家としては気にかかるところでしょう。
海外小説は面白そうなところから読めばいい
間違えないでほしいのですが、海外小説は面白いものがたくさんあります。
読みづらくなっているのは翻訳のせい、と思われている方もいるようなのですが、そうではなく上記で挙げたようなことが主な理由です。
なので、パラパラとめくって「ちょっと面白そうだな」と思ったところから読み始めると良いと思います。
実は僕も指輪物語は途中で断念してしまいました。
でももったいないですよね。世界で認められているような作品を途中で諦めてしまうのは。「面白い」「つまらない」の判断はやはり最後まで読んでからしたいものです。
もし海外の物語に触れる機会があれば、しんどいところは飛ばしてしまって、読み易いところから読んでみてください。