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清水建設がヤバい・ブラックと言われる理由とは?潰れるといわれる原因も紹介

清水建設は1804年の創業以来、日本の建設業界を代表するスーパーゼネコンとして数々の歴史的建造物や最先端施設を手掛けてきました。しかし2024年、上場以来初の営業赤字を計上し、業界内外から大きな注目を集めています。

「やばい」「ブラック企業」という評価がある一方で、高待遇や充実した福利厚生を評価する声も多く、その実態は複雑です。本記事では、最新データと具体的な事例から、清水建設の現状と今後の展望を徹底的に分析していきます。

※本稿は各ニュースメディアの情報や、各転職サイトの口コミや評判を参照して作成しております。内容に誤りがある場合は速やかに修正しますので、ご連絡ください

清水建設はブラック?やばいと言われる理由9選

2024年に入り、清水建設について「やばい」という評価が急増しています。主な理由として以下の9つが挙げられます。

  • 上場以来初の大規模赤字

  • 過労自殺事件の発生

  • 長時間労働の実態

  • パワハラ問題の存在

  • 下請けいじめの構造

  • 原価管理の甘さ

  • 技術継承の課題

  • 採用基準の厳しさ

  • 古い企業体質

上場以来初となる大規模赤字転落

清水建設は2024年3月期、営業損益で330億円の赤字を計上する見通しを発表しました。1961年の上場以来初めての営業赤字であり、期初予想から885億円もの大幅な下方修正となりました。

特に建築部門では、完成工事総利益率(粗利率)が前期の4.1%からマイナス3.3%へと急落しています。この背景には、麻布台ヒルズを代表とする大型建築工事での採算悪化があります。資材価格や労務費の高騰を請負代金に転嫁できず、さらに工期遅延による追加コストも重なりました。

この事態を受けて同社は執行役員以上の報酬を最大3割返上する方針を決定。また、株価も大きく下落し、5月には900円を割り込む水準まで低下しています。

過労自殺事件の発生により露呈した労務管理の問題

2021年8月に発生した29歳男性社員の過労自殺は、清水建設の労務管理体制の深刻な欠陥を浮き彫りにしました。

男性は下水処理施設の工事を担当しており、月の平均残業時間が100時間を超えていましたが、会社の評価制度により残業時間を過少申告せざるを得ない状況に追い込まれていました。

長時間労働の実態が明らかに

労働基準監督署による調査では、清水建設の現場における長時間労働の実態が明らかになっています。公式データでは平均残業時間が月32.8時間とされていますが、実際には社内パソコンのログ時間を操作するなどして、残業時間を過少申告している事例が複数確認されました。

特に問題なのは、会社が設定した「時短目標」が社内評価の対象となっており、目標達成のためにサービス残業を強いられる構造が存在したことです。個人のパソコンを持ち込んで作業を続けたり、休日に自主的に出勤したりするケースも報告されています。

パワハラ問題の根深さ

清水建設では体育会系の気質年功序列の文化が根強く残っており、パワハラ問題が後を絶ちません。特に中高年の管理職による若手へのパワハラが多く報告されており、「長時間の説教」「過去のパワハラを美談として語る」といった行為が日常的に行われているとの指摘があります。

会社はコンプライアンス研修などを実施していますが、「形式的な対応に終始している」「実効性に乏しい」との声も多く、根本的な解決には至っていない状況です。

下請けいじめの構造的問題

清水建設では下請け企業への不当な圧力が大きな問題となっています。2023年から2024年にかけて建設資材の価格が30%以上高騰し、人件費も上昇する中、これらのコスト増加分を適切に下請け単価に反映せず、下請け企業に負担を強いているケースが報告されています。

特に問題視されているのが、工期短縮や追加工事の要求を、適切な費用支払いなしで強要するケースです。発注者からの要求をそのまま下請けに転嫁し、しわ寄せが最も弱い立場の企業に集中する構造が形成されています。

原価管理の甘さが露呈

麻布台ヒルズプロジェクトで明らかになったのは、清水建設の原価管理体制の脆弱さです。同社の蜂屋経理部長は「超大型ならではの歩掛かりなどが、今になって初めて分かった」と述べており、高さ330メートルの超高層ビル建設における原価管理の甘さが指摘されています。

この問題は麻布台ヒルズだけに限らず、22年以前に受注した複数の大型建築工事でも同様の事態が発生。資材価格や労務費の高騰を見込めず、工事損失引当金の計上を余儀なくされています。

技術継承の深刻な課題

清水建設では熟練技術者の高齢化若手技術者の育成が大きな課題となっています。建設技能労働者の年齢構成を見ると、20代の割合はわずか10%程度にとどまり、30~50代の中年層と60代以上のシニア層が大半を占めています。

この状況は特に超高層ビルなどの大規模プロジェクトで問題となっており、麻布台ヒルズのような前例のない規模の工事では、経験やノウハウの不足が工期の遅延や原価管理の甘さにつながっています。また、熟練技術者の引退により、貴重な技術やノウハウが失われる危機に直面しています。

厳しすぎる採用基準の弊害

清水建設の採用基準は極めて高く、特に技術職では東京大学や京都大学などの国立大学、または早稲田大学や慶應義塾大学などの難関私立大学出身者が多数を占めています。この高い採用基準は優秀な人材の確保につながる一方で、実務経験や現場感覚を持つ人材の採用を難しくしています。

また、中途採用においても学歴や資格を重視する傾向が強く、実践的なスキルを持つ人材が入社しにくい状況を生んでいます。この結果、理論は優れていても現場での対応力に欠ける社員が増加するという問題が指摘されています。

古い企業体質と意思決定の遅さ

清水建設では昭和的な企業体質が根強く残っており、環境変化への対応の遅さが指摘されています。特に問題なのが、上意下達の意思決定構造です。現場からの改善提案や警告が経営層に届きにくく、麻布台ヒルズプロジェクトでも、原価上昇の兆候が早期に把握できなかったとされています。

また、年功序列の人事制度により、若手の登用が遅れがちです。管理職の平均年齢は50歳を超えており、新しい技術やワークスタイルの導入に対して保守的な姿勢が目立ちます。

清水建設はヤバくない!優良企業である6つの理由

前章に記載した一方で、清水建設には多くの優れた特徴があります。

  • 安定した高水準の給与体系

  • 充実した福利厚生制度

  • 技術力の高さと豊富な実績

  • 女性活躍推進への積極的な取り組み

  • デジタル化投資の拡大

  • 安定した財務基盤

業界トップクラスの給与水準

清水建設の給与水準は建設業界でもトップクラスを誇ります。2024年3月期の平均年収は982万円で、全産業平均の461万円を大きく上回っています。特筆すべきは、この水準が一部の上級管理職だけでなく、中堅社員層にも及んでいることです。

新卒入社3年目で年収600万円、10年目で800万円を超えるケースも珍しくありません。また、残業代は全額支給が原則とされ、資格手当や現場手当なども充実しています。近年の業績悪化にもかかわらず、基本給の水準は維持されており、社員の生活水準を重視する姿勢が見られます。

手厚い福利厚生制度

清水建設の福利厚生は、住宅支援制度を中心に非常に充実しています。独身寮は月額2万2000円程度で利用でき、既婚者向けの社宅制度も整備されています。さらに、育児や介護などの理由がある場合は、住居を自由に選択できる柔軟な制度も導入されています。

また、財形貯蓄制度や社員持株会など、資産形成支援も充実しています。年間休日は124日と業界平均を上回り、有給休暇の取得促進にも力を入れています。特に近年は、育児休暇や介護休暇の取得しやすい環境づくりにも注力しています。

国内トップクラスの技術力

清水建設の技術力は、国内外で高い評価を得ています。特に超高層ビル建設では、高さ日本一となる麻布台ヒルズ森タワー(330メートル)を完成させるなど、卓越した実績を持っています。耐震技術や環境配慮型建築の分野でも、数々の革新的な技術を開発してきました。

研究開発費は年間約140億円と業界でもトップクラスの投資を行っており、建築・土木分野での特許保有数も国内トップレベルです。また、技術研究所では約200名の研究者が最先端の建設技術の開発に取り組んでいます。

女性活躍推進への積極的な取り組み

清水建設は女性技術者の採用と育成に特に力を入れています。2024年の新卒採用では女性比率が25%を超え、特に技術職での女性採用が増加しています。現場でも女性技術者が活躍できるよう、専用の施設整備や勤務時間の配慮など、きめ細かな支援体制を整えています。

また、育児との両立支援制度も充実しており、育児休業からの復職率は95%を超えています。女性管理職の登用も積極的に進めており、2026年までに女性管理職比率を10%まで引き上げる目標を掲げています。

デジタル化への積極投資

清水建設は建設業界の中でも特にデジタル技術の導入に力を入れています。2024年からは年間200億円規模のデジタル投資を実施し、施工管理のデジタル化や遠隔施工技術の開発を進めています。

具体的には、ドローンによる工事進捗管理、人工知能を活用した施工計画の最適化、仮想現実技術を用いた施工シミュレーションなど、最新技術の導入を積極的に推進。また、若手技術者の育成にもデジタル技術を活用し、効率的な技術伝承を実現しています。

盤石な財務基盤の維持

2024年の営業赤字にもかかわらず、清水建設の財務基盤は依然として極めて健全です。自己資本比率は40%を超えており、業界トップクラスの財務健全性を維持しています。また、保有する政策株式の含み益は約7000億円に達し、緊急時の財務バッファーとして機能しています。

さらに、受注残高は2兆円を超える水準を維持しており、中長期的な収益基盤は安定しています。格付機関からの評価も高く、資金調達面での優位性も保持しています。

清水建設が潰れると言われる理由5選

市場関係者の間では、清水建設の経営状況を懸念する声も出ています。主な理由として以下の要因が指摘されています。

  • 麻布台ヒルズの巨額損失

  • 建設資材価格の高騰

  • 人件費上昇による収益圧迫

  • 大型プロジェクトへの依存

  • 受注価格の硬直性

麻布台ヒルズの巨額損失が経営を圧迫

麻布台ヒルズプロジェクトでは、当初の想定を大幅に上回る900億円の誤算が発生しました。これは単なる一時的な損失にとどまらず、他の大型プロジェクトにも同様の問題が潜在している可能性を示唆しています。

特に問題なのは、この損失により今後の大型プロジェクト受注への影響が懸念されることです。発注者からの信頼低下や、リスク管理体制への不安から、新規案件の受注が減少する可能性も指摘されています。

建設資材価格の高騰による収益構造の悪化

建設資材の価格高騰は、清水建設の収益構造を根本から揺るがしています。2024年に入り、鉄鋼材が前年比30%以上の上昇、設備関連では変電設備が64%増、自家発電装置が45%増と、主要資材のコストが急激に上昇しています。

特に問題なのは、既存の工事契約では資材価格の上昇分を請負金額に転嫁できないことです。工期が長期にわたる大型プロジェクトでは、この価格上昇リスクが経営を圧迫する大きな要因となっています。

人件費上昇による利益率の低下

建設技能労働者の人手不足が深刻化する中、人件費の上昇が止まりません。2024年の公共工事設計労務単価は全国平均で23,600円と、過去12年間で最高値を更新。特に大都市圏では、単価の上昇幅がさらに大きくなっています。

また、2024年からの働き方改革関連法の本格適用により、時間外労働の上限規制が厳格化。これにより、工期遵守のために必要な人員を増やさざるを得ず、人件費の更なる上昇が避けられない状況となっています。

大型プロジェクトへの過度な依存

清水建設の経営を圧迫している要因の一つが、大型プロジェクトへの過度な依存です。超高層ビルなどの大規模工事は工期が長く、市場環境の変化による影響を受けやすい特徴があります。麻布台ヒルズのような巨大プロジェクトでは、一度問題が発生すると損失が膨大になりやすい構造となっています。

また、大型プロジェクトは初期投資も大きく、資金繰りの面でもリスクを抱えています。2024年からの新中期経営計画では売上高目標を下方修正していますが、これは大型案件への依存度を下げる方針の表れとも言えます。

受注価格の硬直性が収益を圧迫

建設業界特有の商習慣により、清水建設は適正な受注価格への見直しが難しい状況に置かれています。デベロッパーとの長期的な関係維持を重視するあまり、コスト上昇分を適切に価格に転嫁できていません。

特に問題なのは、一度決定した請負金額を後から変更することが極めて困難な点です。資材価格や人件費が上昇しても、発注者との価格交渉は難航するケースが多く、結果として収益性が悪化する悪循環に陥っています。

まとめ

清水建設は現在、大きな転換点を迎えています。上場以来初の営業赤字という厳しい状況に直面していますが、高い技術力と安定した財務基盤を持つ優良企業としての本質は変わっていません。

今後は大型プロジェクトへの依存度を下げ、収益性の高いリニューアル工事への注力や、デジタル技術の活用による生産性向上など、新たな成長戦略の実現が期待されます。また、働き方改革の推進や若手育成の強化により、持続可能な経営基盤の構築を目指していくことになるでしょう。

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