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ゼネコンのブラックランキング!ブラックと言われる理由や回避方法
建設業界は日本の基幹産業として重要な役割を担う一方で、労働環境の厳しさが常に指摘されています。2024年に入り、大手ゼネコンの清水建設が上場以来初の大幅赤字に転落するなど、業界全体が転換期を迎えています。
人手不足や資材高騰による工事費用の上昇、働き方改革への対応など、様々な課題が山積する中、各企業の労働環境にも注目が集まっています。特に大手ゼネコンでは、過重労働や下請けいじめといった問題が度々報道され、改善が求められています。
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ブラックと言われるゼネコンランキング
2024年上半期、建築・不動産業界において従業員からの不満の声が特に多かった企業をご紹介します。
※本稿は各ニュースメディアの情報や、各転職サイトの口コミや評判を参照して作成しております。内容に誤りがある場合は速やかに修正しますので、ご連絡ください
【清水建設】上場以来初の営業赤字、過労死問題
【大成建設】施工不良と大規模手直し
【鹿島建設】リニア談合事件で摘発
【大林組】労務費高騰による業績悪化
【住友不動産】長時間労働への不満が多数
【明和地所】非効率な残業、強圧的な社風
【竹中工務店】偽装請負問題
清水建設
清水建設では2021年に29歳の男性社員が過労自殺という痛ましい事態が発生しました。労働基準監督署の調査では、実際の労働時間が過少申告されており、残業時間を短くすることが評価対象となっていたことが判明しています。これを受けて調査委員会が設置され、長時間労働が常態化していた実態が明らかになりました。
2024年には会社全体の経営状況も急速に悪化し、575億円の黒字予想から一転、330億円の赤字に転落。この急激な業績悪化の主因となったのが、麻布台ヒルズプロジェクトでの大幅なコスト増加です。同プロジェクトは清水建設が初めて手がける300メートル超の超高層ビル建設でしたが、新型コロナウイルスの影響による工期遅延や資材価格の高騰が重なり、想定以上のコストが発生しました。
特に建設資材の価格は30%以上も上昇し、設備関連では変電設備が64%増、自家発電装置が45%増、空調機器が40%増と、予想をはるかに超える高騰となりました。さらに工期遅延を取り戻すため建設作業員を大量投入せざるを得ず、人件費も大幅に膨らむ結果となりました。
この状況は他のプロジェクトにも影響を及ぼしており、既存の工事案件でも採算が急速に悪化。その結果、多額の工事損失引当金を計上することを余儀なくされました。会社としても「想定を超える資材・労務費高騰や労働環境の改善を踏まえた慎重な受注判断」を行う方針を示していますが、当面は厳しい経営状況が続くと予想されています。
このように清水建設の事例は、建設業界全体が抱える人手不足、資材高騰、働き方改革という三重苦を如実に表しており、業界の構造的な問題を浮き彫りにしています。
大成建設
大成建設において2023年3月、札幌市内の高層複合ビル建設で深刻な施工不良が発覚しました。地上26階建ての建物で、鉄骨部分約80カ所、コンクリート床で245カ所もの精度不良が見つかり、15階まで組み上がっていた建物の解体・建て直しを余儀なくされました。
この問題の発端は、発注者であるNTT都市開発の担当者が現場巡回中に鉄骨柱のボルト穴のズレを発見したことでした。さらに重大なことに、現場事務所は計測値などのデータを改ざんし、工事監理者に虚偽の報告を提出していたことも判明しています。
建物は当初2024年2月に竣工予定でしたが、この不祥事により2026年6月末まで延期となりました。損失額は240億円に上ると見込まれ、会社の信用も大きく失墜する事態となっています。取締役と常務執行役員が引責辞任に追い込まれましたが、業界内外から厳しい批判の声が上がっています。
また、同社では過去にも新国立競技場の工事現場で23歳の新入社員が過労自殺するという痛ましい事件が発生しており、労働環境の改善やコンプライアンスの徹底が急務となっています。
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鹿島建設
鹿島建設は2018年、リニア中央新幹線工事の談合事件で公正取引委員会から刑事告発を受けました。大手ゼネコン4社と共謀して受注予定企業を決定し、見積価格を調整していた疑惑が持ち上がりました。この事件では他社が容疑を認める中、鹿島建設は否認の姿勢を示しましたが、最終的に有罪判決を受けています。
また2020年には、現場社員の過労死問題が発生しました。都内工事事務所に勤務していた若手社員が急逝し、労働基準監督署から長時間労働に起因する過労死との認定を受けています。この事態を受けて会社は「鹿島働き方改革」を打ち出し、労働時間管理の徹底と長時間労働の削減に取り組んでいますが、成果はまだ見えていません。
さらに下請け企業との関係でも問題が指摘されており、下請け社員への過度なプレッシャーや厳しい納期設定が原因で精神疾患を発症するケースも報告されています。特に2016年の高級ホテル建設工事では、下請け企業の現場責任者が過労自殺する事態となりました。
大林組
大林組では2024年、建設資材の価格高騰と慢性的な人手不足による労務費の上昇が深刻な経営課題となっています。特に設備工事において、変電設備が64%増、自家発電装置が45%増、盤類が41%増、空調機器が40%増と、予想を大幅に上回る価格上昇が発生しています。
従業員からは「労働時間が長過ぎる」「朝6時に自宅を出て夜12時前に帰宅する生活」「ワークライフバランスを犠牲にして働いている社員しか目にしない」といった深刻な声が上がっています。また、「転勤が多すぎてライフプランを立てられない」という指摘も多く、働き方改革が進んでいない実態が浮き彫りになっています。
さらに2024年からの労働時間規制適用により、一か月の残業時間が45時間に制限されることになりました。しかし現場では人手不足が深刻で、この規制を守りながら工期を遵守することが極めて困難な状況に陥っています。人材確保のために賃金を引き上げざるを得ず、それが更なる労務費増加を招くという悪循環に陥っています。
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住友不動産
住友不動産では2024年上半期、従業員からの労働環境に関する不満が12件も報告されており、大手不動産企業の中で最も多い件数となっています。特に問題視されているのが極端な長時間労働と休日出勤の常態化です。
従業員からは「昭和気質が根強く残っており、出張時は残業の概念が完全に無くなる」「休日であっても早朝7時台から深夜11時台まで社内から電話がある」「日曜日でもほぼ休めない」といった深刻な声が寄せられています。また、労働時間管理が適切に行われておらず、サービス残業が常態化しているという指摘も多数あります。
さらに組織文化の面でも課題が山積しており、「男尊女卑の風潮が強い」「若手人材の流出が著しく、集まると転職の話しか出てこない」といった声も報告されています。高収入を得られる一方で、それに見合わない過度な労働を強いられる状況が、若手社員の離職率上昇につながっているとみられています。
グループ会社の住友不動産販売でも同様の問題が報告されており、両社を合わせると18件もの不満の声が寄せられています。この数字は他社と比較して突出して多く、早急な改善が求められる状況となっています。
明和地所
明和地所では2024年、非効率な残業体制と古い企業文化が大きな問題として浮上しています。特に問題視されているのが、上司の出退勤に合わせた勤務を暗黙の了解として強要する体質です。従業員は上司より早く出社し、上司が退社するまで待機することを求められており、実質的な長時間労働を強いられています。
また、「念のため」という名目で帰宅できない管理職が多数存在し、それが部下の残業時間を増加させる要因となっています。有給休暇の取得にも厳しい制限があり、「有休を申請できないため、仮病を使うしかない」という声も報告されています。
組織運営の面では、「社長という圧倒的存在のもと、怒りや詰めで組織の統制を図る、古風でトップダウンな文化」が根付いています。この強圧的な体質により、非効率な業務プロセスが改善されないまま放置され、必要以上の残業や休日出勤を引き起こしています。
営業職においては休日出勤を含めた残業が特に深刻で、数字が厳しい時期には「深夜まで営業会議という名の詰めを行う」という実態も報告されています。また、「実力のない古株が役職に就く体制」も指摘されており、組織全体の硬直化が進んでいます。
竹中工務店
竹中工務店では2019年12月、建築工事現場で施工図を作成していた設計者から偽装請負の状態で働かされていたとして、損害賠償を求める訴訟が提起されました。この問題では、同社と子会社のシステム会社、人材派遣会社の3社が訴えられる事態となりました。
問題の発覚後、大阪労働局が現場事務所の調査を実施。調査の前後で竹中工務店の社員が「偽装請負はどこでもやっていることだから気にしないように」と発言したことも明らかになり、コンプライアンス意識の欠如が浮き彫りになりました。
その後、大阪労働局は職業安定法44条で禁止されている労働者供給に当たるとして、竹中工務店とシステム会社に是正指導を行いました。この一連の出来事により、建設業界における重層的な下請け構造と不適切な労働者派遣の実態が改めて注目を集めることとなりました。
さらに問題なのは、この事態が発覚した後の対応です。会社は派遣契約への切り替えを提案しましたが、不信感を抱いた従業員がこれを拒否すると、一方的な解雇という形で事態は収束しました。この対応は、労働者の権利を軽視する企業体質を如実に表すものとして、厳しい批判を受けています。
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ブラックなゼネコンによくある特徴
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建設業界において問題のある企業には、共通する特徴が見られます。主な問題として以下の項目が挙げられます。
極端な長時間労働と残業の常態化
下請けいじめと重層的な労務構造
パワハラや古い企業体質
休暇取得の困難さ
コンプライアンス意識の欠如
限界を超える長時間労働の実態
建設業界における長時間労働は深刻な問題となっています。2024年の調査によると、建設業の年間実労働時間は1,986時間で、全産業平均と比べて月22.3時間も長い状況です。特に大手ゼネコンでは、この2倍以上の残業が発生するケースも報告されています。
工期が厳しく設定される中、天候による遅延を取り戻すため土日返上での作業を強いられることも多く、現場の施工管理者は慢性的な長時間労働に追い込まれています。さらに問題なのは、残業時間の過少申告が常態化していることです。上限規制を超えないよう、実際の労働時間を少なく報告せざるを得ない状況が続いています。
近年では働き方改革関連法の適用により、建設業でも時間外労働の上限規制が厳格化されましたが、人手不足と納期遵守の板挟みとなり、依然として長時間労働は解消されていません。
下請けいじめの構造的問題
建設業界における下請けいじめは深刻な構造的問題となっています。特に2023年以降、建設資材の価格高騰や人件費の上昇にもかかわらず、元請け企業がコスト上昇分を適切に転嫁せず、下請け企業に負担を強いるケースが多発しています。
この状況下で下請け企業は、赤字覚悟で工事を請け負わざるを得ない状況に追い込まれています。2023年の建設業における倒産件数は1,224件に達し、廃業を含めると4,000件を超えると言われています。特に問題なのは、工期の短縮や追加工事の要求を、適切な費用支払いなしで強要されるケースが後を絶たないことです。
また、元請け企業の担当者から過度なプレッシャーを受け、下請け企業の社員が精神疾患を発症するケースも報告されています。建設現場という閉鎖的な環境の中で、下請け事業者や再下請け事業者、そして労働者に至るまで徹底的なパワハラが行われ、何も言えない状況が作り出されています。
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根深いパワハラと古い企業体質
建設業界では体育会系の気質と年功序列の風土が根強く残っており、これがパワハラを生む温床となっています。2024年の調査では、建設業界における新入社員の約6割が何らかのパワハラを経験したと回答しており、その深刻さが浮き彫りになっています。
特に問題なのは、パワハラが組織文化として容認されている点です。「長時間社員の前で説教をする」「過去のパワハラを美談として語る」といった行為が日常的に行われ、上司の言動に異を唱えることができない雰囲気が蔓延しています。年配の社員が多く、仕事量に対して社員が少ないことから、職場全体がピリピリとした雰囲気になりやすい状況です。
さらに現場では、経験の浅い若手社員が自分よりも年上のベテラン職人に指示を出さなければならない場面も多く、こうした状況も人間関係を難しくする要因となっています。会社からのプレッシャーと現場の職人との板挟みになり、メンタルヘルスを損なう若手社員も少なくありません。
有給休暇取得を阻む現場の実態
建設業界における休暇取得の問題は深刻さを増しています。日本建設産業職員労働組合協議会の調査によると、2021年11月の場合、カレンダー上の休日が10日あったにもかかわらず、実際の休暇取得日数は内勤で9.6日、外勤ではわずか8.0日にとどまっています。
特に施工管理職では、現場の進捗状況や天候に左右される工期との兼ね合いで、計画的な休暇取得が極めて困難な状況が続いています。休日出勤が常態化しており、月に2日以上の休日出勤を強いられるケースも珍しくありません。
さらに問題なのは、有給休暇の取得に対する暗黙の圧力です。多くの現場では「工期が厳しい」「人手が足りない」という理由で、有給休暇の取得が実質的に制限されています。中には「有給休暇を申請できず、仮病を使わざるを得ない」という声も報告されており、休暇取得を巡る職場の歪んだ実態が浮き彫りになっています。
プロジェクトの完了時や異動時に与えられる「節目休暇」はありますが、多くのプロジェクトは長期間に及ぶため、実質的な休息機会が極めて限られているのが現状です。この状況は、社員の心身の健康や家族との関係にも深刻な影響を及ぼしています。
コンプライアンス意識の欠如
建設業界では法令違反や不正行為が後を絶ちません。2024年の建設業界における重大なコンプライアンス違反の件数は、前年比で30%増加しています。特に問題となっているのが、施工データの改ざんや労働時間の過少申告、下請け取引の不適切な処理などです。
たとえば大成建設の札幌の建築現場では、鉄骨の精度不良を隠蔽するためにデータを改ざんし、虚偽の報告を行っていました。また、清水建設では実際の労働時間を過少申告するよう指導があったことが明らかになっています。
さらに深刻なのが、談合体質の根強さです。リニア中央新幹線工事を巡っては、大手ゼネコン4社による組織的な談合が発覚し、公正取引委員会から課徴金納付命令が出されました。にもかかわらず、「業界の慣習」として違法性の認識が薄い状況が続いています。
このような状況の背景には、閉鎖的な業界構造と古い企業体質があります。内部通報制度は形骸化し、違法行為を指摘する声は封じ込められ、結果として重大な不正が発覚するまで問題が放置される事態が繰り返されています。
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ブラックなゼネコンに就職しないためには?
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就職活動において、ブラックなゼネコンを避けるためのポイントをまとめました。就職先を選ぶ際には、以下の観点から慎重に企業を見極めることが重要です。
転職エージェントからの紹介
労働時間と残業の実態確認
有給休暇の取得状況調査
現場環境と安全管理体制
社員の定着率と年齢構成
コンプライアンス体制
デジタル化への取り組み
転職エージェントの活用で信頼できる企業を見つける
転職エージェントの活用は、ブラック企業を見分ける有効な手段となっています。特に建設業界に特化した転職エージェントは、業界の特性や各企業の内情に精通しており、表には出てこない情報も把握しています。
建設業界で定評のある大手転職エージェントでは、企業の労働環境や職場の雰囲気、離職率などの詳細なデータを蓄積しています。さらに、実際に転職した方からのフィードバックも豊富に持っているため、企業の実態をより正確に把握することができます。
特に重要なのが、エージェントによる企業の選別です。優良な転職エージェントは、労働基準法違反や不当な待遇が疑われる企業とは取引関係を持たない方針を採用しています。そのため、エージェントが紹介する企業は、一定以上の労働環境が担保されていると考えることができます。
また、給与水準や勤務条件の交渉においても、エージェントの支援を受けられることは大きなメリットです。建設業界特有の労働条件や手当についても、経験豊富なエージェントがアドバイスを提供してくれます。転職後のミスマッチを防ぐためにも、信頼できる転職エージェントの活用を検討することをお勧めします。
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企業の労働時間データを確認する重要性
就職先を選ぶ際には、企業の労働時間に関する具体的なデータを重点的に確認することが重要です。企業が公開している情報だけでなく、労働基準監督署への違反歴や是正勧告の有無なども調べる必要があります。
情報開示が不十分な企業や、残業時間などのデータを公表していない企業は要注意です。2024年の調査によると、労働時間データを積極的に開示している企業ほど、実際の労働環境も良好である傾向が明らかになっています。
特に注目すべきは、残業時間の月別推移と休日出勤の実態です。繁忙期と閑散期の差が極端に大きい企業や、休日出勤が常態化している企業では、ワークライフバランスの確保が困難になる可能性が高くなっています。
有給休暇の取得状況を見極める
有給休暇の取得状況は、企業の労働環境を判断する重要な指標となります。建設業界の平均有給取得率は50%程度ですが、良好な職場環境を持つ企業では70%を超える取得率を達成しています。
特に注目すべきは、取得率の部署間格差です。内勤と外勤で大きな差がある企業や、特定の部署だけ極端に取得率が低い企業は、業務の偏りや人員配置に問題がある可能性が高くなっています。2024年の調査では、部署間の取得率の差が30%以上ある企業では、社員の離職率も高い傾向が明らかになっています。
また、連続休暇の取得制度の有無も重要な判断材料です。プロジェクトの節目での長期休暇制度や、年末年始やゴールデンウィークでの大型連休の確保など, 具体的な制度の整備状況を確認することが大切です。
さらに、有給休暇の取得に関する上司の理解度も重要です。「取得しやすい雰囲気がある」「休暇を取得した社員が評価されている」といった声が多い企業は、実質的な取得のしやすさという点で優れていると言えます。
現場の安全管理体制を確認する
建設現場の安全管理体制は、企業の体質を見極める重要な指標です。2024年の建設業労働災害防止協会の調査によると、労働災害の発生率は企業によって大きな差があり、特に安全管理費用の投資額と事故発生率には強い相関関係が見られます。
具体的な確認ポイントとして、まず安全衛生管理体制の整備状況があります。専任の安全管理者の配置や定期的な安全パトロールの実施、作業員への安全教育の充実度などが重要です。優良企業では、建設機械の定期点検や最新の安全装置の導入にも積極的に投資しています。
また、事故発生時の対応体制も重要な判断材料となります。過去の重大事故の公表状況や、事故後の再発防止策の実施状況などから、企業の安全に対する姿勢を読み取ることができます。隠蔽体質のある企業では、軽微な事故でも報告されないケースが多く、重大事故につながるリスクが高くなっています。
さらに、熱中症対策や高所作業の安全確保など、作業環境の改善への取り組みも注目すべきポイントです。2024年からは建設業にも厳格な時間外労働の規制が適用され、これに伴う安全管理体制の強化も求められています。
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社員の定着率と年齢構成を分析する
社員の定着率と年齢構成は、企業の労働環境を判断する上で重要な指標となります。建設業界全体の平均離職率は4.6%ですが、ブラック企業と言われる企業では新入社員の離職率が10%を超えるケースも少なくありません。
特に注目すべきは、入社3年以内の若手社員の定着率です。2024年の調査によると、良好な労働環境を持つ企業では若手の離職率が2%以下に抑えられているのに対し、問題のある企業では20代の離職率が15%を超える傾向が見られます。
年齢構成にも注意が必要です。建設技能労働者の年齢構成を見ると、2014年に343万人いた技能労働者は2025年には218万人まで減少すると予測されています。この人手不足に対して、若手育成に力を入れている企業では20代の社員比率が20%以上を維持していますが、ブラック企業では10%を下回るケースが多くなっています。
また、管理職の年齢構成も重要な判断材料です。若手の管理職登用が進んでいる企業では、新しい働き方や技術革新への対応も積極的である傾向が見られます。一方、高齢の管理職が多い企業では、古い企業体質が残りやすく、パワハラなどの問題も発生しやすい傾向にあります。
デジタル化への対応状況を見極める
建設業界におけるデジタル化への対応は、企業の先進性と労働環境の良さを判断する重要な指標となっています。2024年の調査によると、デジタル技術の導入が進んでいる企業ほど、労働時間の削減や業務効率の改善に成功していることが明らかになっています。
具体的な確認ポイントとして、まず施工管理へのデジタル技術の活用状況があります。ドローンによる測量や三次元測定技術の導入、遠隔での現場管理システムの整備など、先進的な技術を積極的に取り入れている企業では、現場作業の負担が大幅に軽減されています。
また、業務のペーパーレス化も重要な判断材料です。従来の建設業界では膨大な書類作成が必要でしたが、クラウドシステムやタブレット端末を活用している企業では、書類作成の負担が30%以上削減されているというデータもあります。
さらに注目すべきは、若手技術者の育成にデジタル技術を活用しているかどうかです。仮想現実や拡張現実を用いた技術訓練を導入している企業では、若手の技術習得が効率化され、早期戦力化にも成功しています。一方、アナログな作業が中心の企業では、若手への負担が大きく、離職率も高くなる傾向が見られます。
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まとめ
建設業界は2024年、大きな転換期を迎えています。大手企業の経営危機や労働問題の表面化により、業界全体の構造改革が急務となっています。特に働き方改革とデジタル化への対応は、企業の将来性を左右する重要な要素となっています。
就職活動においては、表面的な企業規模や知名度だけでなく、実際の労働環境や企業文化を丹念に調査することが重要です。具体的な労働時間データ、有給休暇の取得状況、安全管理体制、そしてデジタル化への対応状況など、複合的な視点から企業を評価する必要があります。
一方で、建設業界全体が抱える人手不足や技能継承の課題に対して、先進的な取り組みを行う企業も現れています。若手育成に力を入れ、新しい技術を積極的に導入する企業では、着実に労働環境の改善が進んでいます。こうした企業の存在は、建設業界の未来に明るい展望を示しているといえるでしょう。
これからの建設業界で活躍するためには、従来の慣習にとらわれない柔軟な思考と、新しい技術への適応力が求められています。就職先を選ぶ際には、この業界の変革期をチャンスと捉え、自身の成長につながる環境を見極めることが大切です。
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