見出し画像

プロジェクトの炎上は未然に防げないのか?

定期的に周りで炎上しているプロジェクトの話を聞きます。
できるだけ助けてあげたいとは思うのですが、私のリソースも無限ではないので、どうしても横目で見ることしかできず、心苦しい時が多くなります。

なにより、炎上は体に悪いのです。
できることなら、炎上しない方が良いに決まってます。
炎上はまず、PMやリーダーの時間を削っていきます。
忙しくなったPMやリーダーの指示は不明確になり、メンバーが右往左往し始めます。
そして、とにかく残業が増えるけど、成果にはつながらない状態になります。
なにをやっても発注者の指摘が止まらず、合意形成ができない。
基準が明確でない否定が続くと、判断が怖くなって何も決断できなくなります。
このあたりまで来ると、精神的な支障をきたし始める可能性も高くなってきます。

別に発注者側もプロジェクトを炎上させたいなんて思っていないはずです。
どこかで発注者とプロジェクト側の認識がズレていくことが、炎上の原因なのかもしれません。
最近「もしかしたら、炎上する案件は最初から認識がズレてるのでは?」とすら思い始めました。

どこまで参考になるかわかりませんが、今回は私がプロジェクト開始前に意識していることを書き出してみようと思います。

企業の特徴把握

発注企業の業種や会社規模などを調べます。
業種が重要インフラ14分野だったりすると、守らなければならない規約があったり、手堅い運用が求められることが多くなります。
あと、社訓みたいなのがあればそれも読んで、会社雰囲気をつかんでおきます。

プロジェクト体制

プロジェクトは座組みが9割といっても過言ではありません。
過去に炎上しなかったメンバーが集まれば、今回もほぼ炎上しません。
なので、プロジェクト参加者の特徴や、顧客重要人物の特徴が事前にわかるなら出来るだけ入手します。
特にPMと開発・構築のキープレイヤーの過去案件の対応実績は早めに入手しておきます。
過去案件でけっこう炎上している場合は、発注者との折衝などをフォローした方が良い可能性が高いです。
また、発注者の意思決定スピードなども早めに把握しておくと、こちらの情報を出すスピードも決まってきます。
意思決定に時間がかかる場合は、前倒しで情報提示していかないとスケジュールが遅延する可能性が高くなります。

システム構成

運用設計案件の場合、システム構成図が手に入ればその情報で基盤運用はおそよ見当をつけることができます。
その中から設計に時間がかかりそうなものをリスクを洗い出しておき、時間がかかる項目は早めに設計に取り掛かるようにWBSを組みます。

運用体制

リリース後の運用体制が見えている場合、そこのリスクも洗い出します。
既存の運用チームが運用引き取る場合、スキルセットが足りているか、足りていない場合、どのようなフォローがいつごろから必要かを検討します。
このあたりも早めに発注者に提示しておかないと、意外と調整に時間がかかる内容だったりします。

会議設計

マスタースケジュールから、毎週の打ち合わせで何を話すかを詳細にブレイクダウンしていきます。
実は、ここが一番大切です。
この会議設計で、相手の出方がどうなりそうなのか、こちらのカードの切り方はいくつあるのか。
そういったパターンをいくつ想像できているかによって、実際の打ち合わせでの心の余裕が変わってきます。
また、いつのタイミングで何が完成していなかったら、どのような対策が必要なのかについても、可能な限り洗い出ししておきます。
この準備だけが、打ち合わせに余裕を生みます。

他チームや発注者との役割分担

手順書をだれが作るのか。
運用テストに実際の運用チームが参加してもらうように調整する。
などの重要な役割分担はごく初期にいったん合意して、実際に作業に入る直前にもう一回合意します。
少し面倒なやつだと思われても、認識違いがあるよりはよっぽどマシです。

行動指針の確認

チーム参加者とプロジェクトの行動指針を決めます。
これはチームメンバーとワイワイ話しながら決めてもよいでしょう。
「15分調べてわからなかったら聞く」など、明確な行動指針をメンバーに渡しておけば、自走してもらえる可能性も高くなりますし、タスクを持ったまま途方に暮れるという状況も防げるので一石二鳥です。

まとめ

徒然なるまま書いてみましたが、やっぱり事前準備が大切な気がしてきました。
予定と実績を管理するためには、まずは予定を出来るだけ具体的に設定する必要があります。
この詳細化した予定を丸ごと発注者と合意してしまえば、少なくとも開始時点~初期段階での認識齟齬はなくなります。
認識に齟齬がなければ、あとは実績さえ積み重ねればよいのです。

この記事が誰かの参考になって、世の中から炎上案件が少しでも減りますように。


運用設計の教科書と運用改善の教科書という書籍を出しています。
ご興味のある方は、ぜひ手に取ってみてください。



いいなと思ったら応援しよう!