見出し画像

2度目のラマダン、D-19

5月17日からRamadan Mubarak... と人に会うたびに口にして、パキスタンで2度目のラマダンに入りました。今年も去年と同様、職場にローカルスタッフがいる間の平日8~14時(政府に合わせて時短勤務)は私も飲食は控えていますが、経験知というのはすごいもので、14時になれば水・お茶が飲めるから大丈夫という安心感でほぼ普通に過ごしています。

そんなパキスタンでの生活もついに残すところ19日。3週間を切りました。支援していた研修等の活動は無事に全て終わり、私にとっての最後の大仕事である最終報告書も何とか書き上げたので、後は本当にあれこれまとめて帰るだけ。私たちがセキュリティ上の理由で立ち入ることができなかった地域で、毎月のように研修やモニタリングを実施してくれていたローカルスタッフたちが事故やテロに巻き込まれることなく無事に活動を終えられたことで、私の緊張もようやく解けたような気がしています。

初めてのイスラム教の国。 
初めてのリモートでの事業監理。 
これまで住んだ・働いた国の中ではダントツで治安の悪い国。
そんなパキスタンでのお仕事でしたが、ここまで1年7カ月の間、自分でも予想していた以上にこの国を楽しみ、好きになって帰ることになりそうです。15年前のインドでの最悪の駐在生活の記憶から、南アジアは避けてきていたのですが、妙なご縁でここに来て、この国に関われたことがとてもラッキーだったと思います。

帰国を前に、イスラマバードから車で1時間もしない所にある、世界遺産のタキシラ(Taxila)遺跡に連れて行ってもらいました。
紀元前3世紀~5世紀ぐらいのガンダーラ文化、ギリシャ人渡来~仏教伝来~仏教芸術の振興~仏教衰退の歴史をたどった一日。 この国のとても豊かな文化に触れられたようで、現在のこの国の様々な社会課題はさておき、古い仏教遺産を保全・管理しているイスラム教徒の人たちの寛容やDedicationにも感動してきました。 はるか昔の3世紀にはこの地を治めていたアショカ王が「異教徒には親切にせよ」と説いたというガンダーラの世界。 何十年か前の日本の歌では「誰もが行きたがるがあまりに遠い」と言われていた愛の国ですが、その歴史を今もつないでいる人たちの健康に資する活動ができたことは、私にとってこれからも大きな誇りになりそうです。

この国を離れる日まであと19日。 清々しい達成感と少しの寂しさがあるので、カウントダウンは極力せずに、自然体でパキスタンでの生活を最後まで楽しんで行きたいと思います。 
(トップの写真はTaxilaの山奥にある遺跡にある、5世紀頃の仏教寺院の壁面に彫られていた仏陀像。たった10年ぐらい前に発掘されたばかりだそう。1500年前に彫られたものがよく残っていたものです。)