女だからできる会話@イスラム社会。
先日、私の仕事相手方であるパキ某州政府の役人からWhatsAppでメッセージが届きました。珍しいなあと思って見てみたら、「イスラマバードの〇〇モールに入っている△△というブランドが今週末からセールよ!」とのこと。私がローカル女性と同じようにシャルワール・カミーズ(インドのパンジャブドレスみたいな、膝丈のチュニックにパンツを合わせたもの)を着ているのをいつも"地元に馴染んでいてよろしい"と評価してくれる方なので、女友達への情報共有のようにメッセージを送ってくれたようです。
イスラム社会で働いてみて、女であることに不便を感じることは日常茶飯事ですが(仕事の相手方の男性たちと食事に行っても同じテーブルに付けない、男性と二人では日帰り出張にすら行けない、等々)、たまには女で良かったことも無いわけではありません。
一つはこうした働く女性たちとの特別な絆。女性人口の10%ぐらいしか賃金をもらって働いていない国ならではのマイノリティ会話(と言う名の愚痴)は貴重です。
もう一つは開発事業の裨益者である女性たちに直接話を聞くことができること。
男子禁制の部屋で、女性たちと本人及び家族の健康の話を聞けるのは、私が女であるからこそ。男性がいない場で話される内容は、男性通訳を介して聞く言葉とは大きく異なることもあるので、本人たちから語られる言葉の重みを感じて、女で良かったと思うことの一例です。普段は外出さえも許されない、抑圧されたイメージのムスリマたちですが、外出できない慣習を逆手に意外と家内では男性を使っていたり、案外頑固に自分の考えを通していたり。それを表に出す時には「夫が決めたのでダメなんです」という言い訳を使っているだけのことも、彼女たちとの「女だけ内緒話」で初めて知ったことでした。
ま、そうは言っても、イスラム圏で女が働くのは、やっぱり楽なことじゃありません。信頼して仕事を一緒にしている男性からも「女の幸せというのは家庭の中にしかない」と真顔で言われたりするし、「あなたのことではないけれど」という枕詞はありながらも、女が仕事をして自己実現を求めるのはただの我儘だ、という発言をされたりもします。日本だって働く女たちをとりまく環境は褒められた状況ではありませんが、こんな男性中心社会で働いていたら、女同士の絆も深くなりますね、確かに。
イスラム圏で働き始めてまもなく1年。まだまだ地元の女性たちとの会話に入れる機会は限られていますが、もっと彼女たちの心のうちを知りたいものです。