日本人書き英語からの脱却に。

この数年、日本人の書いた英語を手直しする作業が増えています。(日本の組織で働くようになったら不可避な作業…) 皆さんそれぞれ一生懸命書かれた報告書だったり、和文の方は内容も素晴らしいのだけれど、何とも英語が残念なので、私が「仕事で共有・ロゴ入りで印刷されても恥ずかしくない」レベルまで校正することが多くなりました。 国際機関にいた頃は、日本の翻訳業者が出してきた英和訳で使われる専門用語が間違いだらけのお粗末なことに嘆いてばかりでしたが、今は日本人の書き英語の酷さに涙することばかり。

この20年ぐらいほぼ英語で業務をしてきて、私が英語のペーパーを読む目はとても肥えてしまっているとは思うものの、それでも日本人の書き英語は読むに堪えないことが多すぎます。 昔は日本人の英語と言えば、文法は上手だけどボキャブラリーが乏しいから高校生の英語みたいだ、と評されていましたが、実は文法もそれほど正しくないです。 元イギリス領の国々で、英式教育を受けてきた途上国の官僚の書く英語と比べると、本当に子どもの書いた文章のようだな、と感じることも少なくありません。

とてもラッキーな偶然だったのですが、私はアメリカの大学院留学中に、修道院が運営する女性寮に住んでいました。(DV被害者のシェルターも兼ねたこの女性寮は、月に数日のシェルターボランティアをすることで破格の部屋代で住むことができて大変ありがたかった。)その寮の別室に暮らしていらしたのが修道院を退職したシスターたちで、そのうちの一人が元英語教師である経験を活かして、私たち留学生の英語論文をプルーフリードしてくれていました。

私も先輩たちのように、初めてこのシスターに課題の論文をプルーフリードしてもらったときに、「あなたの口語英語は流暢だし、論文の内容はとても論理的なのに、書き出しや接続語がHowever, thenやandなどで単純すぎるから、高校生の作文みたいになってとても残念ね」と指摘されました。 そこから2年、私の英語上達の目標は仕事やアカデミアで使える英語を書けるようになることとなり、他人の書いた論文を読むときにプロっぽく見えるフレーズを真似しようと書き貯めていたものでした。もちろんClarisworks(←時代を感じる!)のThesaurusでボキャブラリを鍛えることもぬかりなく。

しかし、そんな時代はふた昔前。今はとても便利なサイトもたくさん出ていますが、久しぶりにこれはすごい!と思ったのがマンチェスター大学の出しているAcademic Phrasebankhttp://www.phrasebank.manchester.ac.uk/
論文のための例文集ですが、もちろん仕事で書くメールや報告書の類をレベルアップさせるのにもとても役立つものばかり! 思わず書き英語のあまり得意でない日本人・パキスタン人の同僚たちにリンク共有してしまいました。

TOEICの点数をアップさせることも転職などを考えると大事ですが、何よりも「この人の文章は読む価値がある」と思わせられるような書き英語力をつけることが、英語の環境でホワイトカラー仕事をするには不可欠だと思います。英語が下手だからという理由だけで、あなたの書いた文章が軽んじられるのは悔しいこと。 このPhrasebankの活用、おすすめします!