気になる中東情勢
12月6日のトランプ米大統領の「エルサレムをイスラエルの首都と認め、駐イスラエル米大使館を移転する」という発表の前後から、にわか勉強で中東情勢をたくさん学んでいます。日本でどれぐらい報道されているのかもわかりませんが、とにかくムスリムの国にいると、今回のこの米大統領による無茶な発言がどれほどムスリムの人々に否定されていて、今後の治安問題や下手をすると中東地域全域の不安定化にもつながりかねないことを実感させられます。 このノートを書いている今、イスラマバードでも宗教団体による反米デモが始まっています。当地の米国大使館は、デモや暴動の危険があるからと、昨日の午後から今日までスタッフを自宅待機にしているそうです。
折りしも明日12月9日はパレスチナのFirst Intifadaからちょうど30周年の日。 既にパレスチナのハマス幹部からは第3次のインティファーダ(詳細はWiki参照:イスラエルによるパレスチナ占領に対する抵抗運動)を呼びかける声もあり、テンションの高まりが懸念されます。エルサレム市内には30万人のパレスチナ人が居住しているのですから、暴動がいつ起こってもおかしくない状態。「インティファーダ」なんて言葉、昔々の学生時代に国際政治の授業で習って以来、自分が口にしたり書いたりする事態が起こるなんて思ってもみませんでした。
もう一つ、今回の一件で私が初めて知った言葉がAl Quds Al Sharifというもの。 これはパキスタンのアバシ首相が非難のコメントで、エルサレムというヘブライ語の名称ではなく、Al Quds Al Sharifというアラビア語での同じ地を示す名称を使っており、イスラエルによるエルサレムの占領に対する根強い反発を感じました。 中東の一部ではないけれど、パキスタンもさすがにOIC(イスラム協力機構)の一員の国だけあって、早い拒否反応でした。
Predominantly Muslimの国で暮らすようになって1年、イスラム教のことを学び、ムスリムの人々を知り、中東のニュースをこれまでになく注意深く見るようになってきたところで発生した今回の事案。イスラエルの新聞ですらも「このトランプの発言はエルサレムに和平ではなく血をもたらす」と警告するような意見を挙げています。欧米メディアでは、北朝鮮との交戦リスクよりも、もっと可能性の高いイスラム過激派による対米テロを懸念する声の方が大きくなりました。これから欧米も年末のホリデーシーズン、暴力の応酬にならないことを祈りつつ、しばらく様子を見たいと思います。