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思い出の音楽①~ジャズの入り口~

2020年3月18日㈬

私の音楽好きはお父さんの影響が大きいと思っている。お父さんは学生時代にバンドとライブハウス店長を経て、卒業してから数年音楽プロデューサーをしてレコードを何枚か出したらしい。小さい頃から家に山のようにレコードがあり(本人曰く約6000枚)、車ではいつもお父さんの好きな音楽がかかっていた。お父さんの一種の英才教育によって兄・姉・私3人とも絶対音感がある。保育園のとき通園バスもあったが私は保育園を行くのをしぶってお父さんが車で送ってくれて毎朝、山下達郎の「こぬか雨」をきいていたのを今でも覚えているし、「こぬか雨」はだいたい歌える。

小学校ではピアノを習ったがあまりにも練習をしないので辞めて、お母さんがなぜかかわりにボーカルレッスンに習わせてくれた。おかげでカラオケは得意だし、大勢でいくとしっかりなりきるので盛り上げ役にもなれたりした。

中学校では何の迷いもなく吹奏楽部に入ってクラリネットを担当した。演奏会をたくさん聞きに行ったりもしたが、個人的にはビッグバンド演奏ににとても惹かれた。

高校生になるとお父さんにおすすめのCDを貸してもらい、ジャズのスタンダードナンバーをたくさん聞いた。お父さんいわく、3大女性ジャズボーカリストは「エラ(エラフィッツジェラルド)、サラ(サラヴォーン)、カーメンマックレー」らしい。私はエラフィッツジェラルドが大好きになった。高校生のとき、英語の勉強にも凝っていたのはちょうどよく、ジャズの曲名や歌詞も分かるのが楽しかった。

お父さんがレコードで聞かせてくれたエラフィッツジェラルドとルイアームストロングの "Can't we be friends?" という曲は印象的だった。

『友達になろう』という題名は、恋人同士のふたりだったが、彼が彼女に別れを告げる、そのときの言葉。多感な高校生のとき、この婉曲的な恋の終わりの言葉にある種の感動を覚えた記憶がある。

塾の英語で習った構文を題名で見つけたときはちょっと興奮した。

"These foolish things remind me of you "

"remind A of B "は"BにAを思い出させる"という、重要イディオムとして必須だった。これを発見したとき、ジャズのスタンダードで英語の教科書が作れるんじゃないかとひとりでちょっとわくわくしていた。それに「こんなばかげたことで、あなたを思い出すわ」なんて、大人の香りがする、と当時のJKの自分はだいぶ背伸びをしたかったのだと思う。三十路になってきくと、この2曲は身に染みるようになってしまったことに、大人になったなあと感じる。

最近になって、Sex And The City (SATC)を見ていたらエラフィッツジェラルドの歌声をきいた。シーズン1、最終回に主人公キャリーがバツイチ男ビッグと別れるシーンだ。

"No regrets"

あなたと突然分かれてしまったけど、後悔はないわ
わたしの心の中で永遠にあなたはわたしのもの

「後悔はないわ」

なんて良い曲なんだろう。

高校生から今まで、エラフィッツジェラルドの音楽は私の一部になった。

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