本当に相応しいか?

 政党にとって最高顧問という存在はその党の理念を体現する人物でなければならない。
 立憲民主党の理念は立憲主義を守り、草の根からの民主主義を実践する、とある。加えて新しい立憲民主党の新?代表の枝野幸男氏は自身の代表選での政見に新自由主義的社会からの脱却、を掲げていた。
 新しい立憲民主党の最高顧問に、菅直人、野田佳彦両元首相が充てられる人事が発表された。私はこの2人が先に上げた理念を体現するに相応しい人物だとは残念ながら思えない。
 まず菅直人元首相だが、彼は副総理時代の2010年の参院の内閣委員会で自民党の古川俊治議員の質問に対して「議会制民主は期限をきったあるレベルの独裁」という発言をした。この党が立憲主義を守り、草の根からの民主主義を本気で実践するならもう10年も前の話だと片付けてはいけないものだと思っている。
 そして野田佳彦元首相、彼は政権交代前には財務省をシロアリと称し、シロアリを駆除するまでは等と言っていたが菅内閣で財務相に就いてからはすっかり財務省とベッタリになり、ついに自身が首相になった時は財務省の勝事務次官と新自由主義社会よろしくばりの政策を次々打ち出していった。
 なぜ立憲民主党がこの2人を最高顧問に充てたのだろうか?実は立憲主義とか新自由主義的な社会とかよく分からない言葉を使ってばかりなのが原因の1つだと思われる。勿論辞書に書いてある意味を説明できる、という意味ではこの言葉がよく分からない、というのは正しくないのかもしれない。そうではなくこの言葉が最大公約数の言葉になっていない、つまり人間の生活に根づいていないという事なのだ。
 私も経験があるが、人は得てして難しい言葉を使うと何か分かったつもりになってしまう事がある。そのつもりが気づかない間に理念とは欠けはなれた旗を立てたのだとしたらそれは不幸でしかない。

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