憎いね三菱なんて笑い話では済まされない

 今年8月に自ら命を絶った三菱電機の新入社員の遺族の代理人が同社に対し上司のパワハラが原因で精神的に追い詰められ、自殺に至ったと労災申請し、損害賠償も請求する旨を発表した。
 このパワハラをおこなった30代の上司はなんと教育担当の主任だったらしく、新入社員に対し「死ね」とか「この窓、飛び降りるのに丁度いい」などの目を覆いたくなる暴言を吐き続けていたらしい。
 何故この上司はこのような卑劣な行為をおこなったのだろうか?恐らくそれは日本のムラ社会の組織に蔓延る体罰、あらゆるハラスメントを「教育的指導」という便利な言葉で覆い隠せる背景があるからと推察する。
 私事で大変申し訳ないが、私も中途で入社した営業会社で今回の被害者と同じような体験をし、体調を崩した事がある。
 暴言を浴びせ続けられると、不思議なものでそれを受けてる側は一種の刷り込みで、ひょっとして言われ続けている、という事は言われ続ける自分に落ち度があるのでは?と自分自身に疑いを持つようになる。そしてここは非常に重要なところだが、まだ社会にはそれをしっかりオープンに相談したり、彼らをしっかり守るセーフティーネットが整備されているとは言い難い。そうすると全て自分の脳内で上司からの暴言とそれを言われるできない自分だけが支配し、もし上司から教育と称した暴言を浴びせられている事を例えば同僚や、学生時代の仲間に知られたら、敗けという負い目を感じながら生きていかなければならない、というある種の被害妄想が自分自身を更に追いつめるのだ。
 学校内でのいじめや会社、組織内でのハラスメントに対し、識者たちから「そこから逃げろ」という言葉を耳や目にする。しかし、先述した通りそれを受けてる時の人物の世界は暴言を浴びせる上司とそれを受けてる自分自身だけ、という状態になり、逃げるという選択肢がそこには存在しなくなるのだ。
 そういう意味で一連の上司の行為をメモをしていた彼の行動はとても勇気のあるものだった。会社は恐らく非を認めたがらないだろうが、そこを認めない限り何も始まらないし、国には企業を指導するだけでなく、彼らをしっかり守れるセーフティーネットの確立を急ぐよう求めたい。

いいなと思ったら応援しよう!