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BECKを超える?驚愕のバンドマンガ『特攻の拓』

『特攻の拓』が終わるというニュースが入ってきましたね。
大部分の人は「まだ続いていたんだ…」という感想でしょうが…苦笑

それを記念して?
当時の中高生を混乱させた、当作の問題シリーズ『バンド編』を紹介しましょう。

まずこの『特攻の拓』という作品についてサラッと。
まぁ僕もはっきり覚えていないのですが、ヤンキー大好き少年マガジンに連載されていた不良マンガです。

とりあえず「特攻」は「ぶっこみ」と読みます、それだけ覚えておいてください。
いじめられっ子、今でいう陰キャ全開の主人公が何故か武闘派ヤンキー集団に一目置かれすったもんだする、そんな話だったはず。

んで古来よりヤンキー文化はバンドと密接に結びついていまして…
流石にもう「エレキは不良」という時代ではないですが、BOOWYやX JAPANなどロックバンドのヒーローはそのままヤンキーのヒーローでもありました。

ちなみに僕のような明らかに“シマウマ側”の陰キャ人間が、その方面の方々に取り入る手段としても「ギターを弾ける」というのは有効でしたw

そんなわけでヤンキー漫画で”バンド編”が描かれるのは自然な流れなのですが、当時リアルタイムで読んでいた中高生の感想として、このシリーズは“訳が分からない”というものが多かった印象です。

今回わざわざブックオフで買ってきて読み直してみた結果、その理由がハッキリ分かりました。

というか凄すぎる…

作者およびスタッフのバンド・楽器に関する嗜好・知識の方向性と、ストーリーが絶望的に合っておらず、そこで生じた”ギャップ”がカオス状態を生んでおります。

と、いうわけで内容へ。


このシリーズの中心人物が『天羽”セロニアス”時貞』

セロニアスモンクから来てるんすかね…ハーフでミドルネームは”洗礼名”だそうですw

複雑な家庭環境を持ち、ジミヘンを尊敬する超絶テクを持ったギターキッズ、BECKの竜介とほぼ同じスペックです。

 



このお方…超絶ボンボン


広い部屋に、親の金でたーーーっぷり買ってもらった機材が溢れております…

三田佳子の息子と思っておけばイメージが湧きますね。

個人的な意見ですが、ボンボンのヤンキーってメチャメチャダサいと思うんですが、まぁそうなるには理由がありまして…この家系…

死の商人

だそうで。

そりゃグレるよねーーーー仕方ないよねーーーー納得ですーーー(棒読)

で、そのお父様は他界されているそうですが、その親父の遺品に…こんなものがあったそうで…

“BOSS OD-1”

OD-1にヤバいもん入れて輸出でもしてたんでしょうかね…

「親父はこれが何かも分かってなかった」とか言ってますが、そもそも何かわからなかったら買わんだろ…

おそらくこのお家だと、遺品整理の席で高い壷や絵画に混ざっての“BOSS OD-1”

そしてローランド社員が泣いて喜ぶんじゃないかという位にOD-1を絶賛w

そんな天羽サマ、ギターについて全く知識のない主人公・拓に熱く語り始めます(いるよねーこういうヤツ)。

ちなみにこの当時リアル中坊なミー、既にギターを少しやっていたんですがフェルナンデスが最高のギターブランドと思ってました(だってhideや布袋が使ってるんだもんw)

んでフェンダーやギブソンも知識として知っている程度。
今と違ってネットもないので、『バンドやろうぜ』と『GIGS』が主な情報源な一般的なギターキッズの知識はこんなもんでしょう…

だから当時はここで出てきたギターが全く分かりませんでした。

だって、この天羽サマのメインギター…

“サドウスキー”

さすがボンボン

以外の感想が出てこないわけですが…

ちなみに色は『紅玉緋色』

あっ、読み方は…ルビーヴァーミリオンです。

「オールハンドメイドですごく暖かい音色でタッチが出る」

なんだろう…この間違ってはいないがズレている感想…

まぁボンボン高校生ギターキッズのレビューらしくはありますww

ジャクソンやヘイマーならともなく、サドウスキーなんて『バンドやろうぜ』とか『ヤングギター』にはあまり登場しませんからねぇ…
このマニアックな内容が、当時の標準ギターキッズのはるか上に行っていたことが、ギター好き・バンド好きな読者も離れてしまった元凶だと思います。

さて、ざざざーーーーっと飛びまして。

色々あってこのヤンキー達が集まってライブをします…会場は…

たしかこの頃にX JAPANや布袋なんかが東大寺でフェスをやったのが大きなニュースになっていたのでそれから来たものだと思います。

ざっくりと流れを言うと、天羽サマが大怪我を押してステージに立ち鬼気迫る演奏をします
ハイ、メチャありがちパターンです。

というわけでストーリー自体はどうでもいいのですが…このライブがとにかくツッコミどころ満載…

まずこの自作エフェクター。

『ブースター⇒オーバードライブ⇒ディストーション⇒ファズ』を直列w

いいですねーーーリアル中坊感あふれる夢のエフェクター

ちなみにこのエフェクターをフルでオンにしたことで、レンタルPA業者が奮発したと思われるオールドマーシャル(プレキシ)を飛ばします



さらっと紹介しておくとこのリーゼントが天羽サマのライバル、チューブスクリーマーを愛するストラト弾きでございます。


バンドマンガって何故か悪玉はストラト弾きが多いんだよな…

そんなこんな前座がワチャワチャした後でいよいよ天羽サマがステージへ。



さすがカリスマ…プラグインすると飛んだマーシャルが復活しますw


でも…オールドプレキシにサドウスキーを直アン…

何か…

“あんまり良い音しなさそう”

なんですが…苦笑

そして彼が紡ぐ1曲目…

ジョー・サトリアーニの『フレンズ』

えっと… 

サトリアーニのギターインストで盛り上げれるヤンキーが凄ェ!!

つか当時のギターキッズ、ヴァイやイングウェイはともかく相当マニアックに聴いてる人じゃないとサトリアーニなんて知りませんて…

ちなみにこの演奏に触発されて、明らかにT.M.スティーヴンスがモデルの黒人ベーシストが禁断のチョッパーをはじめます


注釈も趣深い…w



天羽サマは最後に『新世界』という中二病全開なタイトルのオリジナル曲でオーディエンスを興奮のるつぼと化し、愛機を親友である拓に放り投げてライブは終了します。

ボンボンと友達になっておくとサドウスキーがもらえるみたいです

いーなー拓・・・

と、いうわけで…シリーズ最後のページにこのライブのセットリストが載っているのですが、これが驚愕…

イングウェイ『ブラックスター』ではじまり、ニルバーナ、エアロの後に…クールス&永ちゃん

その後ジョニーBグッドとストレイキャッツやってからのー、エクストリーム『デカダンス』

んで天羽サマ登場

先述のサトリアーニの後はストーンズ、ジミヘンやってピストルズバージョンの『マイウェイ』

そして…外道www

異常な振り幅…付いていくヤンキーマジで音楽偏差値高過ぎww

気志團あたりに丸々再現ライブしてほしいっすねこれ。

ということで、こういう20年前位に流行ったテキストレビューっぽい記事、やっぱいいですね。

書いてて楽しかったです。

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