50 シジュウカラを見ながら考える
シジュウカラは、ヘビを見つけると「ジャージャー」と鳴いて、他のシジュウカラに危険を知らせます(京大白眉プロジェクト・鈴木俊貴特定助教)。ヘビが巣に近寄ってきたときには、この声で巣の中のヒナは、樹洞の巣を出て飛び立つのです。
ちなみにカラスがやってきたときは、「チカチカ」と鳴いて、ヒナは巣の中で頭を低くします。カラスのくちばしでつつかれないため。ヘビの場合は、巣に侵入するので、違う鳴き声で飛ぶことを促すのです。
これ、すべて研究のきっかけは、シジュウカラをじっと観察したことです。鈴木さんは、見て聴くということから、シジュウカラが言語を持っていることを推測します。
シジュウカラよりも大きくて強い鳥たちがエサ場を占拠して食べさせてもらえないときは、「ヒーヒー」とタカが来たぞというそうです。他の鳥は、大変だと飛び立って、そのすきにシジュウカラはエサにありつくと言います。他の鳥もシジュウカラ語を理解しているのです。そして何よりも、いま現在、空を飛んでいないタカを使って、ウソをつくシジュウカラに驚きます。
1.観察は、考える第一歩です。2.最初はともかく、見ているだけ。3.そのうち、同じような現象に気づきます。4.その現象の数を数えます。5.何が起きると、その現象が起きるかに絞って観察します。6.あるきっかけと現象の関係をきちっと押さえていきます…こんな手順でしょうか。生データにもとづいた思考。これは、強いですね。