男の子と女の子、発想の違い
「未来の理想の道具」を小学4年生から中学2年生800人に、絵を描いてもらった(博報堂生活総合研究所・2017)。800枚の絵に描かれた道具は、13の機能にまとめられる。
1位は、男女ともに「万能系」の道具。ドラエもんのポケットのように何でも可能にする。2位は、男女差があった。男子は、思ったところへ行ける「移動系」の道具。女子は、自分の身代わりになる存在になる「代役系」の道具を欲しがっている。
3位は、男女とも自分の力を伸ばしてくれる「能力系」。4位は、男子が「代役系」の道具、女子が「移動系」の道具であった。
5位は、男女で違いがあり、男子は、好みのスペースづくりができる「空間系」の道具。女子は、タイムスリップができる「時間系」の道具を求めている。
2位と5位の結果から、男の子と女の子の発想を考えてみよう。男子は、世界を拡大し、自由にあちこちに移動したがっている。女子は、時間を操作し、身代わりになる存在を欲しいと思っているようだ。
現実に、男の子向けには、冒険の絵本や小説が多い。人形遊びのセットは、多くが、女の子向けに作られている。また、クリステヴァは、男性は線的に時間を捉え、女性は周期的に巡るとか反復するものとして時間を理解するという(『女の時間』勁草書房 1991)。
もちろん、性差は、生物的な脳の違いなのか、文化的な影響なのか、論議がある。いちがいにいえないのだが、800人の絵からは、こんな男女の発想の違いが見えた。