フクロウのライトが、わたしの夜を見守ってくれる
例えば、「MY NIGHT, MY LIGHT」というコンセプトの照明を発想してみましょう。あなたなら、どんな「わたしだけの光」が欲しいですか。
学生たちが90分の授業の中でつむぎだしたアイデアをご紹介しましょう。そう、学生たちの投票で1位になったのが、フクロウライト。部屋の中を飛んできて、止まり木で光ればサイコーとのことですが。ネコの目が光るのも含めて、Animalightとして売り出すという発想も出ました。
MY LIGHTに重点を置いたアイデアもありました。女性ふたりのチームが考えたもので、「夜→怖さ→助けてくれる明かり」という連想です。棒状のケミカルライト(サイリウム)で、夜道のためにバッグにしのばせたいとのこと。
吸盤ライトという案も出ました。充電式LEDで、家の外装のどこにでも、貼り付けられます。夜の飾り照明にできれば、わたしらしいイクステリアになるというのです。
自分の部屋の天井と壁が液晶になっていて、天の川が光ってくれればいいというロマンチック派もいました。プロジェクターで同じ効果を上げたいというチームもあって、こうした案は照明とディスプレイの境目を消してしまえというアイデアですね。
部屋の中に、繭のようなソファがあって、その中を照明空間にするという発想も出ました。光源は、読書用、太陽光、月明かり、プラネタリウムと変化することができます。
天井からつり下げた照明器具が、満月、三日月など、月の満ち欠けを表しながら毎夜、変わっていくという案もありました。このチームはネーミングが凝っていて、「未知駆け」。「昨日とは違う今日を振り返り、明日を楽しみに目を閉じる」という就寝時のライトです。
小さなLEDの入ったパネルが100枚ほど板状になっているライトは、光がパネルごとに変化し、部屋を彩るという照明です。
MY NIGHT MY LIGHTという照明案で、わたしがもっともステキだなと思ったのは、大きな丸い、できれば弾力性のある素材で作ったライトです。ひとりが寂しいなと感じる夜は、その大きな照明を両手と両膝で抱きしめるというアイデア。シンプルですが、コンセプトを鮮明にカタチにしています。
今回の照明企画でもはっきり分かりますが、発想は、論理的な問題解決と、感性的な飛躍の双方が力を合わせて実現します。それぞれの案、前者と後者のあんばいぐあいは、ほんとにいろいろです。発想は、一本道ではなく、あれこれ、自由なのですね。