8/21 小林私になりたいという題目で私の話
大学1年生の時、処方箋でもらった睡眠薬でパキッた先輩が「お前はシャフじゃなくて障害者でもなくて無能な健常者!!!」とさらに上の先輩をタコ殴りにしていた。
今、その言葉がまじで身に染みている。
私は創作のできない短編小説書きであった
才能が欲しい。
これは、なんらかの技術でも、カリスマみたいな人間性の分野でも、はたまたシンプルに顔でもいい。
なんでもいいからとにもかくにもソレをくれと明確に思ったのは、就活を終えてからに思う。
就活という社会の歯車感が強いワードは好きじゃないと前にも書いた気がする。
就活にまつわる何らかの心境の変化を話すことが凄くダサく感じてしまう。一般大学生みたいだから。
一般大学生にも才能に生きる人にも社会不適合者にも、なんにもなれなかった私の負け惜しみである。
運良く新卒入社の会社の給料がいい、それだけが取り柄の、しょーもないインテリ。
飲み会ですべらない話なら無限にある。
90歳の祖父が腹上死した話、知人が死刑囚になってた話、友達に性器が2本生えてた話、母がシンガポールに家出した話。
しょーもない飲み会をそこそこ面白くする自信はある。
しかしこれは、才能ではない。
題材が面白ければどう話したって面白くなる。私が過去短編小説を文芸サークルに寄稿してきた際、ウケたり賞を取れたのは飲み会で話してウケる話を題材にしたものだけだった。
私の文章が面白いわけじゃない。ネタがそもそも面白いのだ。
結局、私本人の面白さや才能ではなく、私の経験というコンテンツの面白さなのだ。
私の、私自身の振る舞いと言葉で周りを感動させたいのに。
私はアーティストには興味がないはずだった
音楽は昔から聞いていた。
音楽系のアーティストになりたいと思ったことは1度もないが、音楽に心を動かされることが何度もあった。
好きなアーティストはいくらでもいる。めちゃめちゃライブにも行っていた。
東京進出してからずっとライブに行っていたポルカドットスティングレイ、山中拓也が茶髪にするまでちょこちょこ地方遠征までしていたTHE ORAL CIGARETTES、この1年とっても好きなNEE、ずっとずっと全部大好きな笹川真生、最近活動再開したHello Sleepwalkers。
でも、憧れのアーティストって居なかったなあと今、気づいた。
多分、私は初めて「憧れのアーティスト」を見つけて、それが小林私なんだと思う。
今までそんな感情が私の中になかったものだから、これがいかに気持ちの悪い感情であるのか検討もつかない。
凄く気持ちが悪くて痛いオタクなことを言っていると思うが、初めて、曲を聴いてアーティストの人間性を知りたいと思った。
私は初めて音楽だけでなくアーティストに興味を持った
先に言っておくと、私が小林私の曲に初めてあったのは(多分)2020年頃で、そのくらいからよく聞いていた。
ただ、明確に酔っ払って鍵アカで「小林私になりて〜〜〜」とツイートし始めたのはちょうど去年の末くらいかららしい。
このタイムラグには、前述の就活が影響している。
今まで私にとって、音楽とアーティストは切り離されたものだった。だからアーティストの私生活に興味がなかった。
どういった経験をしたらこんな歌詞を書くのだろうと思いを馳せたことはあるけれど、それは私が文字を書く人間であるから、触れてきた文学に興味を持っただけだ。
小林私の人間性に興味を持ったのは、よく弾き語りでカバーするからだと思う。
私が聞く音楽と一緒だから、彼はなぜこの曲をカバーするのか、この曲をどんな文脈で知ったのか、そういう人生の系譜とか日常に初めて興味を持った。
私は元々本家至上主義なのでカバーを聞かない、だからカバーに惹かれたのは初めてだし、ましてやその選考理由に興味を持つのだって初めてだった。
配信というスタイルもあれだったかもしれない。音楽と語りという人間性の吐露が並立している。
話してて知らなかったアニメとか音楽は触れたし、そんなに詳しくなかった某ゲームにも詳しくなった。
今まで興味のなかった音楽の裏側に引きずり込まれた気分だった。
曲だけじゃなくて、本人を調べ出す。
配信をしていて、オタクで、Twitterをやっていて、インスタライブも時々する。
昔、そこそこ売れてるバンドの男の子とリアルで付き合いがあったことがあるけれど、それより何故だか小林私をぐっと身近に感じる。
まあもちろん、面識がない人を身近に感じるのは普通にキモイ。わかった気になるのももっとキモイ。
全然違うはずで、全然知らないはずの人に何故か「親近感」みたいな名前をあてがう謎の感情を抱いています。
私(大衆のひとりに過ぎない)との共通点、つまり聞いてた曲だとか見てたアニメとか、そういうのがある度に不思議な気分になる。
別個人だから当然なんだけど、どうしてこの人は私と全然違って、こんなにかっこよく活動できるんだろうか、と。(注 かっこよく、という単語はなんだかしっくりきていない。別の表現がある気がする。)
こうなりたいとは思えない。音楽活動を私自身がしたいわけではないから。
こうなりたかったとは少し思う。なにかになりたかった。「小林私」と名乗れる人になりたかった。
私は新しいものを作れないので感情ひとつ名付けられない
音楽だけじゃなくてアーティスト自身に、こんなにじわじわと鮮烈に惹き付けられたのは初めてで、感情の整理にこまってこれを書いている。
私に見えてる部分でしかものを言えないが、しかし人間性や思考が素敵だと思うし、憧れる。
もちろん表にみせていない部分もあるだろうし盲信はしていないが。←こういう保険の張り方、自分でも姑息だと思う
アーティストの音楽性以外に興味があるのは、なんと言うのだろうか。
言葉が出てこない。文芸部だったのにな。
やはり、経験がないことは、私には書けないみたいだった。
初めて本人含めて丸ごと惹き付けられたアーティスト、小林私へ。
ド深夜の最悪のオタクの自慰行為的隙あれば自語りを捧ぐ。
了