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「山田尚子監督と言ったら『たまこラブストーリー』ですよね」という人は少数派だとわかっております。でも好きなんです。
今夜のテレビ番組「情熱大陸」、映画「きみの色」が絶賛上映中の山田尚子監督がご出演されますね。
山田尚子監督作品で何が好き?と聞かれたら、きっと「聲の形」ですとか、「けいおん!」であるとか、「リズと青い鳥」と答えるのが普通ですよね。
でも、私は映画「たまこラブストーリー」が死ぬほど好きなんです。
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元になったテレビシリーズ、「たまこまーけっと」は、元京都アニメーションの黄金コンビ、山田監督と吉田玲子さん脚本による作品で、ファンタジックかつ人情味のあるほんわかした日常系の物語です。しかしこの映画はその直球タイトルの通り恋愛物語で、テレビストーリーから路線が変わっています。
冒頭にテレビシリーズのファンタジー部分を引きずったエピソードが入りますが、「それとは違うんですよ」と言わんばかりにオープニングからやり直す力の入れようです。
全般に山田監督らしいとても繊細な演出だと思います。
しっかり見ていないと誤解しそうなシーンがあったりとか、撮影時のレンズによると思われる微妙なボケだとか、片岡知子さんによる音楽だとか。
正直、当時は山田監督や京都アニメーションに注目していたわけではなく、「たまこまーけっと」を視聴したきっかけは片岡さんとマニュアル・オブ・エラーズが音楽をされていたのが理由でした。片岡さんがやられていたユニット、インスタント・シトロンが好きだったのです。あとマニュアル・オブ・エラーズといえば京浜兄弟社。80年代からの老舗音楽制作グループです。
決して有名とは言えない片岡さんを起用されたのは、音楽好きの山田監督らしいな、と思います。
話としては地味な部類になると思います。
でも、ファンタジー世界の住人だった女の子が、恋をすることで現実にやってくるようなストーリーがとても好きなのです。
主人公役の洲崎綾さんの演技について、どこか非現実的なものというか、非人間的なお人形さんのようなものを感じていたのですが、恋の戸惑いを経て、様々な意味で主人公のリアリティや人間としての解像度が上がっていく感じが、丁寧に描かれていると感じています。
あー、どうも理屈だけでこの作品の魅力を説明できないです。
とにかく、この作品がとても愛おしく感じるのです。
ぜひ機会があったら、多くの人に観てほしいと思います。
そして、2014年の作品であり10年前とそれほど古くはないのに、主人公の父親役である藤原啓治さん(なんと作中で藤原さんの歌が聞けます)と音楽の片岡知子さんが亡くなられているのが悲しいです。
以上、「たまこラブストーリー」のご紹介でした。