自宅マンションの「査定」。一括査定サイトや、自分で査定する方法について
今回のテーマは
「一括査定サイトの付き合い方・使い方」です。
一言でいうと「安易に、一括査定サイトを利用するな」です。私は、一括査定サイトの利用は、基本はおススメしていません。
Q「ちょっと価格を知りたいだけなのですが」
おススメしません。
Q「でも、まだ不動産屋と会う気持ちにならないのですが」
おススメしません。
◆理由は2つあります。
1、営業の攻撃が激しい(問い合せした会社数の営業攻撃)
2、査定額が通常の価格よりも高値提案されやすい
この2つなのですが、
その理由について、少し詳しくお話しますね。
営業攻撃について
「まずは、売れる金額を知っておきたい」や「まずは査定から取り組むのかな?」という、何をしてよいか分からないけれど、不動産屋に直接コンタクトをとる段階ではない、と思っている人が一括査定サイトに手を出します。
つまり「価格を知りたいだけ」
そのような人にとっては、営業攻撃は本当に困ると思います。
営業の電話攻撃!
メール攻撃!
訪問攻撃!
DM攻撃!
は、覚悟してください。笑い事ではありません。
「営業と会いたくない」とのお声がありましたが、それどころの騒ぎでなくなります。
インターネットは営業との距離があるので、気軽にできる!と思ったら大間違い。
メールや郵送で査定書が届くだけ、と思ったら大間違いです。この業界では、あなたから査定依頼が届いたら、すぐ電話。が常識です。
なぜなら、電話した方が、しかも出来るだけ他社よりも先に電話をした方が、あなたに逢える確率が高いというデーターを、一括査定会社の各社が不動産会社に出しています。
いくら「メール連絡希望」と書いても、電話がかかってくるのは必須です。一括査定会社が不動産会社に電話した方がよいとデーターで伝えているので、不動産会社の社長も「電話しろ」となるのは当然です。
あなたの周りで、「引越の一括査定をした」という話を聞いたことがありませんか。聞いてみてください。それと、同じです。
頼んだ会社だけ、接触し、断るなどの対応をしなければいけなくなります。
「一括査定は気軽ではない」と、覚えておいてください。
続いて、理由2について説明します。
査定額が高値になる
これで売れる訳がないでしょー!!!という金額を出す会社もあります。何故、一括査定サイトを介すると、高額査定になるのでしょうか。
理由は、査定金額が高いと、お客様が会ってくれるからです。
不動産営業は、お客様とあってナンボの世界。一括査定は、4〜6社くらいを一度に査定してしまう人が多いので、競合他社が多い。
「どうしたら、お客様が会ってくれるか」
「どうしたら、お客様が自分に興味を持ってくれるか」
しか、営業は考えません。それしか…です!
その中で一番単純な方法が、査定額を高くする事なんです。
あなたが思っている金額を遥かに上回る査定額が出てくる事もあるでしょう。でも、心を踊ってはいけませんし、その金額をベースに住替え計画をするのは危険です。ご注意ください。
ここで、例をお伝えします。具体的に売却したい方は、よくご覧ください。
仮に、5500万円で取引される物件があるとします。5社に一括査定すると下記のような査定額がだいたい届きます。
A社 6800万円
B社 6200万円
C社 6350万円
D社 5900万円
E社 5000万円
ここで、あなたが一社だけ会いたい!と思うのは何社でしょうか?A社が最も高いので、A社という人が多いのではないでしょうか。
実際に会ってしまった場合、次のようにA社の営業はいいます。
「物件の周辺は〇〇な感じなんですね。室内の状況は意外に〇〇で、眺望が○○だと」実際に拝見したら、査定は5500万円です。でも、チャレンジ価格で5980万円から販売はスタートしましょう!
こんな感じになり、もともとの査定額は、嘘や見せかけとなりますが、営業マンとしては、「会えば勝ち(選ばれる)」ですし、会えないなら、やっぱり「負け」です。
だから、一括査定の金額はどうしても高値になってしまうんです。
では、どういう人が一括査定向きでしょうか。また、一括査定以外で、価格を知っておきたい場合は、どうしたら良いのでしょうか。これは、後半部分でお伝えします!
一括査定の使い方
一括査定サイトを、悪く言ってきましたが、サイト自体が悪いわけではありませんし、正直に査定している営業マンもいます。
ただ、無料査定するだけでは不動産会社の報酬にはなりませんので、「査定」という情報提供だけでなく、どうしても「あなたに会って、仕事したい」という営業活動が始まってしまいます。
一括査定は一括査定なりの「使い方」がありますので、参考にしてください。ただ大前提として、営業攻撃は避けられませんので、ご了承ください。
1、一番低い査定が査定額と思えばいい。
査定額を知る目的は、金額を把握して計画を考える事ではないでしょうか。「知っておきたい」だけという人もいると思います。一番低い金額で計画すれば、あなたの計画は堅実になります。また、低い査定額を出す会社はある意味信用できるとも考えられます。
2、営業と接する「きっかけ」として利用する。
具体的に計画する段階であれば、きっかけとして利用できます。
知合いに不動産関係者がいなければ、何かしらの形で、不動産の営業マンと接触しなければいけません。営業攻撃は、あなたにとって必要な連絡となります。
3、比較物件を見て、勉強できる。
査定書の内容が参考になりますし、営業の考え方を知る為にも参考になります。
価格算出する為に、近隣の事例が数物件添付されています。何の物件と比較して、査定額を出したのか見比べておきましょう。
例えば、比較するポイントがある程度一緒でなければいけませんが、駅からの距離だけを類似させ、(あなたの物件が築40年なのに)築年が浅い物件と比較しているのであれば、査定額は上がりますし、当然、正確な査定ではありません。
大体の金額が知りたいだけなら
ただ、金額を知りたいだけの人は、一括査定をする必要はありません。
どうすれば、よいでしょうか。
簡単です。スーモや大手サイトに物件が多く出ていますので、それで把握できます。
駅からの距離、築年数、広さなどを入力すると、今販売している類似マンションが出てきます。あなたの住んでいるマンションもあるかもしれません。
条件を変えて類似しているかな、、という情報を30分も見ていれば、だいたいの感覚が分かると思います。
ただ販売価格と成約価格には差があります。
数字を固く見れば、販売している価格の平均から10%ダウン、多少楽観的に見るのであれば5%ダウンした価格で見ておけば、ある程度、売れる金額が把握できます。
下記の表はレインズが発表している首都圏の㎡単価の推移です。
緑の棒が登録されている物件(販売中)で、赤い棒が成約した物件の㎡単価ですが、2021年10月では販売中の㎡単価は約66万円で成約が約60万円。
つまり約9%違いがあり、販売中の価格から平均9%ダウンで契約しているという事になります。そうなると固く計画する場合は10%ダウンではなく、もう少し厳しくみておいた方がよさそうです。
最後に
本当に、具体的に話を進めたい方は「営業マンに会う」事です。
より正確な数字を把握する為に、2人の営業マンと会う事をお勧めします(一括査定であれば、多く選択をしないで、2社までにしておきましょう)
どうせ会うのであれば、一括査定を利用しないで、身近な不動産会社を2社選んで接触してみる事をおススメします。知人、友人、地元など、思い描いてみてください。きっとコンタクトをしてみたい会社が出てくるはずです!
文責:宅地建物取引士 関谷健