NICEHCK Himalaya レビュー 〜 5万円クラス、超ド級のフラッグシップイヤホン #PR
NICEHCKさんから2023年末頃、写真でチラ見せされていた時から気になっていたイヤホン、それが2024年3月発売されたHimalayaというイヤホンです。NICEHCKのフラッグシップ、本当に最高の製品です。
ショップブランドのイヤホンというと、日本で言えば、ヨドバシカメラとかビッグカメラのイヤホン、eイヤホンさんのイヤホン、という感じの物になってきます。
え?そんなのいいの?
と思われるかもしれませんが、NICEHCKさんの製品は基本的にどれも良いです。
KBEARさんなんかはもうちょいと統一感とかブランドの音みたいな事考えてなく、色々なタイプのイヤホンを出してます、という感じです。
では、Himalayaはヒマラヤ山脈のように凄いイヤホンなのか?
私もこの価格帯のイヤホンは初めてです。
NICEHCK Himalaya概要
NICEHCK Himalaya(ヒマラヤ)は、総チタン筐体、カーボンナノチューブ二重振動板の1DDイヤホンで、300ドルクラス(2024年3月の為替で5万円程度)のイヤホンです。
まずはチタンの筐体そのもの、素材そのものが美しいです。
このチタン筐体は加工が難しく高価な素材です。
NICEHCK Himalaya 付属物
付属品は、ケース、NICEHCK 07とNICEHCK 08イヤーピース、清掃用ブラシ、音響フィルターが3種類(うち1つは装着済み)、(銀メッキOFC)ケーブル、3.5mm、4.4mm、2.5mmのケーブルの交換式プラグでした。
付属品は豪華です。
初っ端から言葉を失う
なんというか、初っ端から言っておきますが超この音好きです。
かつてNICEHCKのこのクラスにはLoftyやTop Guyなどのイヤホンがありましたが、Himalayaは2024年の技術水準で本当にいい物を生み出しそうとしたというイヤホンです。
Loftyとかも育てるとかなりいい音がすると評判でしたが、上流もかなり良いアンプやDACを使っている人が主にSNSで褒めていた印象でした。
音がいいのは高いんだから当たり前だろ!と思いますが、イヤホンの場合、高い=イイとは1万円、2万円を超えたあたりから言えなくなってきます。
高価格イヤホンは、イヤホンの音のクセも強い傾向があるので、非常にニュートラルな音で王道に音がいいHIMALAYAのようなイヤホンはかえって珍しいかもしれません。
私などは《頭の中で音楽がリフレインしている時に想像力が想像している通りの音》って思うほどでした。
Himalaya 音質
NICEHCK Himalayaの音質と写真を見ていきましょう。
最初の時点で非常に音質が好みのもの(=イイ音)で、箱出しで3時間程度鳴らした状態で、標準で着いているNICEHCK 08イヤーピースと標準のケーブルで聴いています。
こうした最初から音が良すぎるほど好み(=イイ)と感じるイヤホンはバランスが変わってしまうのが嫌なので、むしろバーンイン(エージング)などは勇気が要りますし、しないで普通に音を聴きながら育てていきたくなるイヤホンでした。
また付属ケーブルとの相性が良いと思います。
ケーブルも含めてマッチングして来ているな、という感じです。
ケーブルの質感も高級機にたがわないうえ、取り回しなども良いものです。
このケーブルはNICEHCKさんによれば銀メッキOFCだそうです。OFCの純度がいいのか、Himalayaの素性がよいのか、単なる銀メッキOFCのケーブルでここまで音が良いなんてすごいです。
音質の評価:非常に好き(=私的に優れている)
暖色系というよりは寒色系だろうと思いますが、寒色さでいうと4000円くらいのTRN Conchの方がより寒色だと思いますし、See Auduo Braveryなどはもっと暖色な音なので、私の感覚では、寒暖はニュートラルな感じです。
非常に自然に音が聞こえます。
モニター的というか、味付けが少ない音なのにも関わらず聞き疲れもあまりなく、しかし全音域にわたって詳細度(解像度といってもいいかも)が高く、それでいて音量を上げても耳障りにはなりにくいです。
どのあたりが好みである(=いい音だと思ったか) ということですが、音の質感に“重さ”を感じます。それでいてタイトでしまりがある低音感があり、スピード感や音のキレが高く、中高音域の情報量の多さ、詳細さを感じる音である点です。
さらに響きが好きです。
チタン筐体ゆえか、音の余韻感が、タイトかつ美しく、非常に綺麗です。
真鍮筐体のように響きが多い感じでもありません。
情報量が多いにもかかわらず全域が一貫しており、自然で、タイトであり味付けが薄いかと思えば、しっかりコクもある、非常に中毒性のある(人によっては)人を虜にする音だとおもいます。
1DDではかなり良くできた音ではないでしょうか。
高音域
高音域の情報量は多く、高音域の硬い音などしっかり表現されています。金属的にならずに出ます。
しかし耳障りな音がソースに含まれているならば、それも素直に出してくるという印象です。高音域に含まれる細かい音も、ふんだんに聴き取れます。
音量を上げても私の耳には、あまり耳に刺さってこないです。
ピアノやストリングスなどが超気持ちいいですね。
おそらくここは価格帯としても良いのではないかと思いました。
また付属品のNICHEHCK 08イヤーピースが高音域の刺さりを多少抑制する方向でいい仕事しているのではないかと思います。
中音域
ボーカルは前に出すぎず両耳にいる感じです。
中音域は凹みはあまり感じず、中音域はマスクされすぎないできちんとある印象です。
男女のボーカル共に明瞭でありつつも、ボーカルの色気や温かみはきちんと感じます。
跳ねるような音で、キレのよさ、タイトさはやや、感じられます。
低音域
低音域は適正な量の低音域で、キレ、スピード感があります。
低音域の質感においては重みを感じる重たい音です(ただし、Himalayaよりズシンと重たい低音が出るイヤホンは、低価格高価格とわずあると思います。Himalayaは低音だけでなく、全音域で音に重さを感じさせる音です)
タイトかつ重くてスピードがある、フェザー級ボクサーのパンチのような低音域というか、 そのような感じです。
定位
定位とは楽曲の音のステレオ感や、音のなっている位置感覚が優れているかどうかですが、このHimalayaは左右ののマッチングがいいのか定位は非常に良いです。
モノラルの音源などは、中央部、鼻の当たりにカッチリそこだけ音がある感じで定位している感じではなく、鼻を中心に目の下や上唇のあたりまでボーカルが定位していました。音像定位に関してはかっちりしすぎではありません。
音場(サウンドステージの広さ、サウンドフィールド)
全体的に横方向に音場は広めで、チタンはきちんと響いて仕事しているのも感じられます。
高音域の方が音場が広く感じられました。
装着感
このイヤホンの装着感が気に入らないという人はほとんどいないと思われます。ただ筐体は男性の親指くらいでしょうか、それなりに大きさがあるので耳介が小さい人は装着感に影響があるかもしれないです。
アニメを見てみた時の印象
劇伴(げきばん)。作中の音や音楽、セリフといったもの。
ここも聞き取りやすく、小さい劇場などで聴いているときのような、あるいはモニタールームで聴いているときのように、非常に精緻です。
そこまでの高音質でアニメや映画を見るの?オーバーキルじゃないか?という。
アニメの中の空間表現に音響も演出としてになっていると感じますし、立体感やセリフの聴き心地もよいのでASMRとかで使っても全然いけます。
ボイスの温かみをきちんと感じられると思いますし、立体感も感じられますし、申し分ないです。
ただ、私が長時間イヤホンを装着していると、イヤホンのフィルターが耳からの水でダメになり左右のどちらかの音が小さくなってしまうなどの故障を発生させやすいです。
その点からは交換のフィルターが多めについていればなおうれしかったと思います。(交換ノズルはあるが、そのノズル用の交換フィルターは付属していないため)
私はHimalayaは音楽専用機にしようと思います。この値段のイヤホンを長時間つけすぎで壊したくないからです。
音楽を聴いてみた時の印象
テクノやEDMといった系統の楽曲も、生音系も、現代音楽も、(私は好きじゃないけど)メタルなどのギュイーンギュイバリバリというような音も気持ちよく聞こえ、やはり非常にニュートラルでオールラウンダーな音です。
高音域の硬い音などもきちんと表現しつつ、硬い音以外の音は柔らかく同時に表現できている、というのがHimalayaで音を聴いて驚いた部分です。
使用のDAC
楽曲はスマホ+Sonata BHD Proで聴いています。
音響フィルターは標準状態の「金色」フィルターです。
YOASOBI 勇者
最初のブライトなピアノのシーンは静寂感が感じられます。
00:10秒あたり低音のアタックとボーカル入ってくるが、このアタックがタイトかつ滑らか。重すぎず沈み込みすぎす。(ベースヘッド向けなイヤホンだとここが沈みすぎて中音域が聞き取りにくい場合があります)
アタックとボーカルは同一なライン上に聞こえる。ボーカルは掠れ感や電子的な補正やエフェクトやエコーややがかかっているのがきちんと聞き取れます。
01:21あたりのスネア、バックコーラスとアタックはきちんと分離している。yoasobiのボーカルとスネア似た音域にあり。生々しいクラップ音などが入ってくるが、分離感は分離しすぎていない。
2:45あたりのシャラーンという音はやや刺さるギリギリまででていて、音量が大きいとやや耳障りかもしれない。
Mili - Entertainment
ゴゴゴという唸りの音から始まり、Miliのボーカルが掠れるギリギリのところに聞こえる。
Milの歌声は中央やや下当たりに定位しつつ、楽曲のコーラスは中央なのだが、Miliより後ろや上や横にいる感じがする。(左右別々により広い空間で歌っているような)
楽曲の低音は申し分ないがMiliの歌声はやや掠れが刺さってくる
(私は少し掠れるような声の表現も意図通り込みだと思うのだが、刺さると感じる人はいそう)
歌詞がカッコイイ(イヤホンと関係ない)
悪役のためのクラシック音楽
音像が明快で楽器の位置関係などがハッキリしている。
弦楽器などは特に気持ちがいい。
ダイナミックレンジという、ダイナミクスというか、メリハリの塩梅もちょうど良いのでクラシック音楽の盛り上がってるところだけでなく静かなところとのメリハリがある。
Miliの楽曲では擦過音が気になったがこの楽曲ではストリングスが非常に気持ちよい。この感じを得るためには、実は擦過音は抑制すれば良いとは限らないのかもしれない。(=擦過音もある程度出る)
意図通りの音だと思う。
擦過音が気になるという人は、ボリュームやイヤピやリケーブルで追い込んでいくといいと思う。
とはいえ、Himalayaは、たとえばJIALAI Caratにくらべても擦過音が刺さりすぎるわけではないと感じるが、高音域が苦手な人もいるかもしれない。
Street - Mondlicht [DEEMO II]
Tanchiky - ENERGY SYNERGY MATRIX(Original Mix)
∄∄∄∄∄ - ∄ Radiance ∄
一気に三曲を聴いてみる。
Himalayaはアートコアのようなジャンルも、簡単にこなせた。
音Radianceのように音がグチャグチャに混ざっているような部分もきちんとスピード感をともなって分離して聞き取れるのですが、分離感だけでなく一体感があります。
特筆したいののは音の止まりで生じる残響感で、音が一瞬全部止まった時に、かなり美しい繊細な(ある意味些細な)残響が聞こえます。ここはチタンハウジングの効果でしょう。
MATRIXでは低音の余韻が気持ちいいいです。
音が混ざるところでもっと明瞭感が高く、スッキリしているイヤホンはあります。
たとえばND X12やTRM VX Proはもっとアタック付近の音や中高音域がスッキリしていると思います。でもそれと引き換えに空間表現や色気、残響感の余韻、コクのある感じ、色気のある感じ、が減ります。
Himalayaは寒色系と言われることが多いですが、この部分は暖色系イヤホンと同様の部分があると感じました。
総評
NICEHCK Himalayaは、個人的には、価格に見合うだけある、満足感が極めて高い、傑作イヤホンだと思います。
まさにヒマヤラのように高い山? 非常に高い基準で作られたバランスの良い音で、これがNICEHCK、ウチのフラッグシップじゃい! という気概すらも感じる音でした。
299ドル~329ドル(セール時)という価格を別にしても聴いてみて欲しいイヤホンです。
正直為替の状況的に3万円付近でしたら完全にこのHimalayaは競争力があると感じますが、5万円ですと好みの差も出てきそうです。
高音域が刺さるのに刺さらない、タイトなのに響く、みたいな普通ならやや矛盾する感想がでてくるイヤホンでもあります。
暖色系でも寒色系でもなく、非常にニュートラルなバランスで、細部まで聴こえ、また細かい音をよく拾い、明瞭感も人工的ではないながら高く、音が良いイヤホンだと思います。いわゆるモニター的でありますが、あくまでもリスニング用のイヤホンだと思います。
普段使いするイヤホンにここまでの音質を求めたいかどうか、ということになってきそうですが、普段使いしたくなる様な良バランスでもあります。
Himalayaを人に聴いてもらったところ、
「気持ちいい!官能的!」って言ってました。
でもレビューの時に官能的とか音楽的だ、と書くと誤解されそうだからあまり書かないのです。
Himalayaは、Letshuoer S12のように「ほらいい音でしょう!」という感じの音の良さではなくて、非常に自然な音です。
ライバルを考えると、やはりおそらく水月雨のKatoやTanchjim Originなどの高級1DDでしょう。
BraveryはドライバもフルBAでHimalayaとは違いがありますが、Braveryの方が印象は暖色だと記憶してます。
Himalayaはかつて聴いたKatoとの印象比較で言うと、もうすこし、より分析的に聴くことができそうな気もします。
ただ、オーディオマニアでなければ、一聴しても5万円もするのに普通の音じゃん!と感じるかもしれません。
もっと分離のいいイヤホン、解像度のいいイヤホンは1万円前後でも存在しています。たとえばNICEHCKでいえばNX7 mk4などはもっと分離感は高いのではないかと思います。
しかしHimalayaは総合力や音響、空間の一貫性(コヒーレンシー)を感じますし、音の色気や空気感、響き方などで、総合力が優れていると感じます。
Himalayaのチューニング、バランス感は様々なイヤホンやオーディオを触ってきた人であればこそ分かる部分があると思いますし、こういうのが欲しかったとか、好みの方向だと思ってから掴んだ方がいいのかもしれません。
Himalayaのチタンシェルは加工が難しいようで、生産が需要に追いついてない状況のようですし、試しに買ってみて気に入らなければ売るって感じでもいいのかも知れません。(発売当初の時点での話)
個人的には本当に激烈に気に入ったイヤホンで、激推ししたいのですが、《このバランスが好きってことはこのバランス感が気に入らない人はダメ、中途半端な製品、ということになりえる》と思いますので、やや慎重に書いています。
日本でも、eイヤホンさんや。ヨドバシカメラとかで試聴が出来るようになればめちゃめちゃ売れるイヤホンだと思います。
2024/04/29 日本のAmazonでも販売開始になりました。
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