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醸造家も客も若者だらけ!日本酒の希望「若手の夜明け2024」前期・参加レポート

9月12日、イベント「若手の夜明け」二日目に参加してきました。日本酒のイベントといえば、いつも見る顔ぶれの中年男女がウロウロしているイメージ。それは私が知る限りの10年、15年前から変わっていません。でもこの「若手の夜明け」は違います。出店している酒蔵側も若いためか、お客さんがびっくりするほど若者だらけです。(私を含め中年でもいいんですけど、それだけの客層だと未来が見えないというか)

特に2022年に体制が変わってからはその傾向が顕著です。三菱地所が共催しているので、こんな都会の真ん中の地下鉄からアクセスが良い場所で、涼しいビルが隣にあって、綺麗なトイレが使えます。オープンエアで開放感があるのもいいし、雲に見立てたブースの装飾もオシャレ。

今回は、9月11日〜12日<前期:ポテンシャル枠=今後の成長が期待される若手蔵元たち>、9月13日(金) 〜15日(日)<後期:グロース枠=業界最注目の実力派蔵>という二部制でした。まずは前期のレポート(備忘)です。

若手の夜明けとは?

2007年に、日本酒文化を守り、世界に誇れる産業へと導くことを目的としてスタートしたこの日本酒イベント。酒販店・味ノマチダヤ(東京都中野区)の後押しにより、福禄寿酒造(秋田県)、髙嶋酒造(静岡県)、伴野酒造(長野県)の3酒蔵が幹事となり、2008年からは平和酒造(和歌山県)が会長を務めました。
2018年から2022年にかけては、せんきん(栃木県)をはじめとする数蔵が幹事を務めましたが、2022年9月からはcamo株式会社が企画・運営を継承し、体制を強化したことで参加酒蔵数も増加しました。このイベントでは、醸造家がお客様と直接接することで、日本酒の味わいだけでなく、酒造りへの情熱や人柄も伝えることができます。また、私たちが職人たちと会話を楽しむことで、非日常的な体験を味わえるのも魅力の一つです。

その他詳しい情報は、コチラの記事にまとめました▼

https://saketomo.tv-aichi.co.jp/enjoy/20240831_wakatenoyoakepre.html

前期に参加した感想や要注目の酒蔵について

全部の蔵を回りたかったのですが、今回は用事があったため、泣く泣く、注目の蔵をセレクトして回りました。

出品酒一覧
会場マップ

まずは、北海道「五色彩雲(ごしきのくも)」福司酒造。

左から著者、福司酒造の杜氏(製造部 製造課 課長代理)梁瀬一真さん、藤井酒造 社長 藤井義大さん

私は札幌市出身なのですが、同じ北海道内でも、福司酒造があるのは釧路市。その距離は250~300kmです。車で移動すると、所要時間は通常4~5時間程度。遠くてなかなか行く機会に恵まれないのです。梁瀬さんとは日本酒フェアぶりに会いました。

GOSHIKI NO KUMOは3種類から選べた。

通常銘柄「福司」とは別ブランドとして出された「五色彩雲(GOSHIKI NO KUMO)」の、黄色の「Ashiri(アシリ)」、白の「Jiri(ジリ)」をテイスティング。「アシリ」はアイヌ語で「新しい」という意味、「ジリ」はアイヌ語で「大地」や「世界」を意味します。ちなみに白麹使用のアシリをベースに、低アルコールにするため四段をかけたのがジリだそう。ジリ、非常にいいなぁ。

「五色彩雲(GOSHIKI NO KUMO)」シリーズは、酒屋さんなど流通する時点でなるべく負荷をかけないよう「火入れ」が基本。9号酵母、吟風を原料にしています。さらに北海道に来てもらって飲む酒でありたい、と梁瀬さんは話していました。

藤井酒造の藤井くんは「北海道の料理は、出汁を濃く出すというより、魚介など素材そのものの美味しさをに届ける、という印象。地元の料理に寄り添ったいい酒だねぇ」と話していました。旨いをガッツリ出すわけではない、程よく軽やかで、バランスが良い酒です。

木下酒造 取締役 木下光くん

次に、京都の「玉川」。
こちらでは、タイムマシーンという熟成酒を試飲。色んな酒が集まったこのイベントで改めて飲むと、「え?安納芋が入ってる?!」と思うほど甘く、コクのある味わいです。何度も飲んでいる私でも毎度びっくりします。はじめて飲む人はさらに驚くことでしょう。

ジューシー濃厚な熟成の甘い日本酒 玉川タイムマシーン
「玉川」の日本酒は3種類

近頃では、冗談でも比喩でもなく、タイムマシーンを飲んだ人から「クラフトサケですか?」「砂糖や芋が入っていますか?」と、聞かれるらしい。こちらが日本酒のベーシックの中で変わり種だったはずなのだけど、新しいジャンルの酒が誕生し、「玉川」はさらに2周くらい回って、また新しい、面白い酒となりました。

川敬商店 杜氏の川名由倫さん
黄金澤の日本酒は3種類だった。川名さんの私物の手ぬぐいが可愛い

宮城「黄金澤」のひやおろしもいただきました。杜氏の川名由倫さん。歌舞伎など古典芸能にも明るい上品な彼女。あえてここはお嬢と呼ばせていただこう。お嬢の造るさわやかで上品な味わいです。ラベルも和風だけどスタイリッシュで物語を感じさせます。
@koganesawa_sake

左 株式会社LIBROM 醸造責任者の穴見峻平さん

福岡「LIBROM」。こちらは日本酒ではなく、「その他醸造酒」=クラフトサケのカテゴリです。

ブルーベリーやレモングラスを使ってつくった酒をいただきました。原料はすべて福岡県産にこだわっています。相変わらず全てが非常にユニークな一杯でした。
@lib.rom

右が下村酒造店の社長 下村元基くん。左は冬季酒づくりをしている蔵人さん

そして、兵庫「奥播磨」。社長の下村元基くんとは久しぶりの再会。私は3月末まで彼の隣の酒蔵で働いていたので、彼の蔵に顔を出したり、最寄りの歳・姫路で飲んだり、顔を合わせていました。それが久々に大手町で会うなんて変な感じだねぇ~って言い合いました。

雨音に染まる

さて 注目したのは新しい「雨音に染まる」。低アルコールの日本酒は、甘くて酸味を効かせるものが多いですが、元基くん曰く「僕がそういう酒苦手なんです。だから低アルでもドライに仕上げました」とのこと。白麹を使った酒を1本仕込み、夏の定番「青ラベル」とブレンドしているのだそう。

ラベルデザインもオシャレで、自分用に買うのはもちろんのこと、人にプレゼントしたくなる仕様。どっしり原酒・熟成というのが奥播磨のウリですが、それ以外にも様々な可能性を模索している様子。今後の取り組みが楽しみです。
@okuharima_official

土田酒造の酒

群馬の「土田酒造」。こちらでは、日本酒とともに、変わり種でホップを使ったクラフトサケと、タイ産タイ米を使ったSAKEを飲みました。酵母無添加 蔵付き酵母で醸した生酛のタイ米の酒は、精米歩合が90%、日本酒度がマイナス25、酸度が3.1。「うおー!すごい酒つくっちゃったなぁ!」って思いながら飲んだのですが、ミルキーで、コクのあるみりんを飲んでいるみたいで、案外すんなり受け入れられる味わい。おいしかったです。クラフトサケもホップを入れすぎないことで、飲みやすく調整しているとか。さすが土田酒造。次から次へと新しい取り組みをおこなっている。

土田酒造は食用米だけで酒づくりをしている。ついに海外の食用米を使用するとは!
日本酒×ホップ=クラフトサケは、地元ビール醸造所とのコラボ

その他 会場の様子

他の酒蔵にも訪れたかったのですが、泣く泣く会場を後にしました。テイスティングできた酒蔵でも「もっと話を聞きたい!」というところが多数。この冬は、自分の足でまた全国を回って取材をしたいと思います!

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