超正攻法、中古木造アパートで売却益を得るまでのお手本のような全容(実話)
※風呂トイレなし旧耐震とは別の物件のお話。
※決済前のため、アレかな?と思っても飲み込んでください。
令和2年12月、二週目のこと。
アパートの専任媒介を出しているリハウスマンからTELが入った。
営業)「今度の土曜日に現地・室内案内してきます。」
媒介を預けてから約2ヶ月、初めての案内ではあるものの、近頃の投資用収益不動産、とりわけ中古の一棟物件に対する融資情勢は依然として厳しいと感じているため、「期待してはいけない」と自分に言い聞かせる。
関田)「融資は簡単じゃないとは思いますが、よろしくお願いします。」
営業)「はい、ただ比較的お近くの方で、現金と聞いています」
関田)「えっ、よろしくお願いします!」
資金計画がこちらの予想を裏切ってきたので、思わず腰が浮きそうにはなったものの、まだ慌ててはいけない。
今回の物件が所在するのは、埼玉県西部、川越よりは手まえだが、十分に郊外のエリアだ。売出価格は約3000万円、それをキャッシュで買える人はそれほど多くないはずだし、現金があったとしても、それを中古木造アパートにいきなり突っ込む人はそう多くない。
(「なんとしても決めてくれ!」と、感情が出そうになるのを精一杯抑止する)
いざ土曜日。
子守りから始まり、ふと時計を見ると15時を過ぎている。
「あぁ、今日案内が入ってるのか…」この時間で連絡が無いのであれば撃沈したか、もしくは案内の場にこないような薄いものだったのかもしれない。
心にダメージを負いたくないばかりに、そんな風に斜に構えるようになってしまったのは、過去にあらゆる物件、あらゆる場面で裏切られ続けてきたせいだろう。
同日18時50分。
リハウスマンから着信があった。ご丁寧に折り返しを求むSMS付きだ。
期待値を上げすぎず、自分を落ち着かせてからiPhoneのコールボタンを押す。
営業)「折り返しありがとうございます。」
関田)「どうでした?」
営業)「はい、買付を頂きまして、
どこかでお打ち合わせできないかと…。」
買付取得、そこからの会っての対売主交渉。
これは通常それなりの大きな指値(価格交渉)が入っているケースが多い。
わざわざ来てもらって、身も蓋もない指値幅であれば、お互いに、特に彼の時間を無駄にしてしまう…。
とは言え、この電話で根幹の価格を問いただして開示してもらったところで、営業担当者のパフォーマンスの場を皆無にしてしまうのも、慣習を分かっている身として粋に欠ける気がする。
関田)「近くに来てもらえるなら、いつでも」
結局、翌日の夕方、近くのヴィンテージカフェで折衝の運びとなった。
打合せ場所は、白金よりの恵比寿アドレスにある、築100年と言われる長屋を改装した古民家カフェ。
老齢の木造でもしばき続けることが出来る立地。こんな場所で貸せる大家さんは本当に羨ましい。
時間となり簡単な挨拶から打合せに入る。
関田)「で…どうですか?」
営業)「今回、2580万円で頂いてきました。
お伝えの通り、現金での予定です。」
販売中の価格約3000万円に対して約400万円、13%ほどの価格交渉だ。
決して小さい金額ではない…、されども若武者に事前に伝えてあったラインは超えてきた形だ。それでいてローン特約無しの現金購入。
これに対して、下手に演技をして買い上げを迫るなど、無粋だ。
関田)「いいですね。ありがとうございます。これはいい買付です。」
契約日程の段取りを終え、「契約までは気を抜けない」と、再び期待値を押し下げる自己暗示をしながらも、口角が上がってしまうことは否めない。
そして数日を経て
12月18日、無事に売買契約を締結した。
営業担当者との繋がり
彼には、今年(同年)実家の売却を手伝ってもらった。リバブルで数年売却活動をしていたものを媒介切り替え後、約1月で成約まで持っていった実績がある。とはいえ、その際は物元(ブツモト)であり、客付けは別の仲介業者経由だ。ただ、「持っている」と感じさせるパワーがあった。
今回売りに出したのは、その実家から、斜め向かいほどに位置するアパートだ。今現在、唯一個人名義で保有している収益物件で、今年の1月を超えた時点で、6度目の正月を迎えた。
「長期譲渡」の税制が適用される形となったため、本格的に売り出そうかと考えた次第だ。
(実家の成約で喜んだ後)
関田)「媒介出すので、この価格で売出してもらっていいですか?」
営業)「はい、私、収益(投資用)初めてなんですけど、頑張ります。」
そう、こんなやり取りがあったのは覚えている。
しかしながら、大手の売買仲介業者、特に営業店舗そのものの営業担当者においては、「投資用一棟収益不動産」の各金融機関の細かな融資情勢に精通し、融資をアレンジして客付けするようなことは見たことがない。(その大手仲介業者から紹介されたパワーのある顧客が勝手に融資を取り付けてくる形がほとんどだ。)
実需とは異なる部分はもちろんあるので、重要事項説明や売買契約書の作成にあたっては気をつけるべきことはあるものの、「販売」そのものについては、扱う種別が初めてであろうと、あまり関係ない。物件情報の露出を内々に進めるか、広く公開していくかの戦略の問題だけだ。
そんなことを考えながら、専任媒介を交わした結果、やはり彼は「持っていた」のだ。
言い切り調のかたちが疲れてきたので、ここからは詳細解説風に。
物件概要と取得時の流れ
<物件概要>
・取得時期:2014年7月
・所在:埼玉県南西部
・交通:東武東上線の準急停車駅から徒歩約10分
・土地:約70㎡(約21坪)
・建物延床:約75㎡(約22坪)
・構造:木造スレート葺2階建
・築年数:昭和60年代前半(築30年超:新耐震)
・総戸数:6戸(稼働中5戸)
・満室想定賃料(売却時):約250万円
・満室想定賃料(取得時):約195万円
・取得価格:1,100万円
・融資内容:埼玉の地銀 金利2% 期間20年
・路線価:平米あたり140,000~150,000円
・土地面積の路線価評価:約1,000万円
購入時の入口と融資の流れ
この物件を発見したのは、「レインズ」に掲載されていたのを見つけたところからでした。埼玉県で新着を眺めていた際に自分の実家と同じ町名のアパートを発見。Webで検索してみると、楽待やathomeにも掲載されている普通の物件です。
枝番なども記載があった為、検索してみると実家の斜め向かい、直線15メーターくらいの場所にあることが判明します。
これは立地だけでもさすがに気になる。
収益性を見てみると、
年収195万円に対して、記載されている金額は1,580万円。
満室想定表面利回り、12.3%。
今(2020年)よりも相場は安かった、とは言え、9-10%ばかりが掲載される中、やや高めの利回りです。
販売図面をPC画面に映し出しながら、親にTEL。
関田)「家の斜め向かいくらいの小さなアパート分かる?
あれ、売ってるみたいなんだけど」
父親)「あぁ、あのゴミ屋敷みたいのがあるアパートか。」
やや安い(高利回り)な理由が早速判明します。
午後になり、ようやく物件の担当者を捕まえることができました。
関田)「実は実家がその向かいにあって、
この物件めちゃくちゃ気になるんですけど、まだありますか?」
担当)「はい、まだありますけど、ちょっと
問題があるのはご存知ですか?」
関田)「ゴミ屋敷、というかゴミ部屋みたいのがあることですよね?」
担当)「そうなんです。」
関田)「ちなみに…、金額っていけますか?」
担当)「どれくらいを考えてますか?」
関田)「1,000万円で欲しいです。」
担当)「売主さんの手残りを1,000万にしてあげたいんですよね」
関田)「じゃぁ1,100万で!」
電話一本。
これでまさかの3割指値が通り、契約に動き出しました。
ゴミ部屋の程度とゴミ種別が書籍類メインということを父からヒアリングできていたため、すぐさま購入判断できたのはラッキーでした。
この物件は私の人生で購入した2棟目の投資用不動産(実家を入れて3件目)です。
1棟目の融資を「旧東京都民銀行」で引っ張っていたため、こちらもそこに相談しつつ、せっかく住民票を置く実家近くの物件なので、地元の地銀・信金を開拓できないかと、思い当たるところに電話し、感度があったところに訪問しました。
うち、1つの「埼玉の地銀」から築古木造でも評価の6割位の融資はOKというお話を頂きます。
ちょうどその頃、母親の方で祖母の相続が発生し、数百万の預金ができました。物件の相談をしているときに、その話にも触れたことで、「埼玉の地銀」から「母親の預金協力(担保)によって融資額を伸ばす」という技を聞き、実行に移します。
みずほ銀行に入れてあった数百万のウチ、500万円を母親が「埼玉の地銀」の預金証書に。
そして物件価格満額の1,100万円の融資を頂きました。
上記の通り、昭和60年代の木造にも関わらず期間は20年。
借り入れ当初は2%の金利でしたが、直近の見直しで1.85%になっています。持ち出しは諸費用等の100万円前後。
満室想定賃料が取得時と売却時で異なるのは、取得後に内外装のリノベをそれなりに入れることで、各部屋の賃料を1万円前後UPしているからです。
取得前のレントロールが↓↓↓こちら。
ざっくり、2.5万円がコアなラインかな…という印象でしたが、
↓↓↓こちらが本日現在のレントロール。
ほぼ3.4-3.5万円。(尚101は取得前から同一入居者)
そして自動販売機を設置したため、その収入が増えています。
例のゴミ部屋も退去があった為、物件全体のパフォーマンスも上がっていると認識しています。
ビフォー↓
アフター↓
お楽しみのざっくり全体収支
<売却益そのもの>
●A)売却価格:売上:2,580万円
・満室想定表面利回り:約9.6%
●B)売却諸費用合計:約120万円
ー仲介手数料:917,400円
ー契約書印紙代:10,000円
ー繰上返済手数料:約160,000円
ー抹消登記:約50,000円
●C)取得コスト:約1,170万円
ー購入価格:11,000,000円
ー仲介手数料:324,000円
ー契約書印紙代:10,000円
ー登記費用:216,000円
ー借り入れ諸費用:32,400円
ー火災保険料:94,160円
ー金消印紙代(うろ覚え)
A)-B)-C) ⇒合計1,290万円(税引前)
<売却時の手残り>
●A)売却価格(売上):2,580万円
●B)売却諸経費合計:約120万円
●C)残債:約800万円
●D)修繕費用:約450万円
(6戸中5戸リノベ+外装)戸当り70万+外装100万くらい。
●E)保有中累計CF:約600万円
(売却時年額CF約140万:取得時と異なるので、空室率とか適当に控除)
●F)譲渡益税(20%):約258万円
(減価償却無視のざっくり)
A)-B)-C)-D)+E)-F)⇒約1,500万円
概ねこのような形でしょうか。
価格帯(グロス)が小さいので、総額のインパクトは小さいかもしれませんが、<本当に使った自己資金>から見ると、トータルで10倍以上に膨らんでリターンが得られたイメージです。
長期譲渡(譲渡税が39%⇒20%)を見越しての出口の迎え方としては、極めて正攻法なモデルが実現できたのではないかと感じています。
積算評価とか関係ねぇ!っていう現金買主様がこのタイミングで出てきてくれたのはただの奇跡か、営業担当者のパワーか、神のみぞ知るセカイ。
保有物件のストーリー通りの売却は大変うれしく感慨深いものの、このまま全部売っちゃうと「大家」で無くなってしまうという危機も。
はやく次の物件が欲しい、借金したい!物件ください!
さて、本文はもうここまでですが、
うちの今度5歳の長男が「12月25日」のクリスマス生まれなんです。
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