【全力一棟リノベ】土木までやるバリューアップ
年頭に取得した一棟物件の【過剰】バリューアップが完了したので、
この記事に綴っていくことにする。
そう、某地銀に煮え湯を飲まされた…あの物件だ。
「決済の3日前否決」から、免許業者でないにも関わらず、PJ融資を使うというウルトラCで、決済自体は一旦事なきを得た。
されども、当該物件は競争力のある駅5分内の立地、[いつか実需の邸宅を建てても面白い]なんてことが想像されるほど、売りたくないアセットだ。
後日談として、決済から1-2ヶ月程度で他金融機関にて、PJ→長期(20年)への借り換えは目論見通りに実現した。しかしながら、約8500万円の既存PJ融資に対し、長期で引けた融資は5500万円。実に3,000万円(の全力)を突っ込んでギリギリのバランスをとった状況である。
死にそう。
とはいえ、私が取得した一棟モノは、平成初期の鉄骨造。
しかも建築当初から大きな修繕はなされていない代物だ。
全18世帯のうち、取得時点の稼働は13世帯。
最低ラインとして、5戸の空室修繕と売買契約締結契約後に判明した臨界点(あと3cmで大事故)を迎えつつある屋上防水工事、これらはやる必要がある。
始まる、バリューアップ
室内はよくある三点ユニットな1R。
居室のビフォー・アフター
これを
こう!
これを…
こう!
屋上のビフォー・アフター
これが
こう!
外構のビフォー・アフター
また、パッと見の印象を良くするためにも、
エントランス周りと道路面のブロック塀(+目隠し)もキレイにしたかった。
これが
こう!
これらの終わりが見えた頃、諸々を段取ってくれている修繕業者さんから、連絡が入った。
そんな返事をしていたところ、
全く別件の保有7-8年目な「都下木アパの売却」が見えてきた。
これは…利益が出てしまう予感がするっ!
資産管理(妻)法人の決算期は9月締めだ。
今(当時は6月頃)から段取りすれば、こっちの大規模修繕も9月に入れ込めるのでは…?という考えに至る。
いざ、大規模修繕工事。
それ(売却益)を当てにしつつ、本格的に外壁を含む大規模修繕に向けて動き出した。尚、色味については、波乗りニーノさんが健美家に掲載されていた品番をオマージュさせてもらった。(五分艶は施工業者に嫌われたので、一部だけ)
外壁塗装、準備段階のイメージつかみ
前述したとおり、品番(カラー)の組み合わせは大まかに決めていた。
とはいえ、色合いをどこで切り分けたり、配色を逆転させてみたりといったことを頭の中だけで処理するのは難儀だ。
施工業者様に伝えるにもこっちでイメージを作って共有したい。
そんなところで、iPadに入れてある「なぞってリフォーム」を活用した。
写真は現地確認時に唸るほど撮影済みだ。
それを取り込んで、「面選択」で塗り込んでいく。
もちろん、光の加減によるリアルなテカリ具合などは出てこないが、大まかなイメージをつかむには十分だろう。
そして
共用廊下のビフォー・アフター
これが…
こう!
外壁塗装のビフォー・アフター
これを
こう!
軒天井のビフォー・アフター
そして、エントランス軒天に、以前から気になっていたタカショーの「エバーアートボード」を導入してみた。
施工業者様からは
等々、言われていたものの、
(関田)「アクセントに入れたい」で主張、
(業者)「やったことある職人みつけたので、出来ます!」と着地。
これが
こう!
メールボックスのビフォー・アフター
そうなってくると、
今度は集合ポストも古さが際立ってしまったので、
これも
こう!
ちなみにこちらは、Nastaの横入前出タイプ。
表面をダイノック施工…とかしないでも、元からカラーが多彩で木目もあるシャレオツメールボックスだ。
廊下からエントランス部分の見た目は
こんな感じだ。
これが…
こう!
そんなこんなで仕上がってきたわけだが、
当該物件においては、
取得前から
「ここを改善したい」というポイントがあった。
【前面道路】
そう、タイトルに有る「私道」だ。
この令和の時代にも関わらず、
見まごうことなき「砂利道」である。
せっかく内外装を万全に整えたところで、
この前面道路で全てが劣後するように見えてしまう。
特に雨が降った後の状況は酷いもので、ここに面した全ての物件の価値を貶めている状況だ。
く…悔しい。
アスファルト舗装したい。
私道の規模と内容
前面道路の権利的な状況を整理してみる。
道路法の公道・私道で言えばもちろん私道。
建築基準法上は
幅員4m、奥行き約41-43mの
位置指定道路だ。
本地と位置指定道路の所有権の関係図を色分けしてみる。
次の画像のうち、
黄色箇所が自分の物件・及び単独持ち分のある私道箇所だ。
筆が細かく切れたパターンの私道、
不動産売買を本業での生業としているので、
こういった形態の道路自体は決して珍しくはない。
基準法上も明確となっている指定を受けた「位置指定道路」。
再建築自体も現況の幅員が満たされていれば問題ない。
ただ、今回やりたいのは道路舗装だ。
普通に考えると所有者たちの同意がいることは自明の理。
「多いな…。」
ファーストインプレッションで「面倒」のワードが浮かび上がる。
自分を含めて10物件のホルダーへ通知・同意・費用負担の交渉等…。
そして、それをやったところで物件のリーシングや売買価格への反映が、どの程度あるのかなんて読めない。
そりゃ、誰も率先して動くことはしないだろう。
ただ、自分の持っている物件をフラッグシップ状態に持っていくには、ここの改善は必須だ。
それに、どう考えても道路舗装をすることで、マイナスに作用する人たちはいないだろう。
最終的に、費用をこちらで負担すれば工事自体への反対は無いのではないだろうか…。
そんなことを考えて、方策を練る。
そもそも、いくら位の費用がかかるものなのだろうか、
それによっては全額自己負担でもやる意義がある。
ただ、過去に敷地内の一部をアスファルト舗装するレベルのことはあっても、純粋な「道路そのものの舗装」となると、経験がない。
既存の付き合いある修繕業者に2-3見積もり依頼をしてみるものの、これは完全なる土木工事。不動産と建築がはたからみると一括りに見えるように、外構と土木はやはり別物らしい。全然見積もりが上がってこない…。
工事業者選定
「もう、ネットで探そう。」
困ったときはインターネット。
Google先生に「〇〇市 道路工事 アスファルト舗装」などで検索。
等々、様々なアピールを眺めつつ、
まともそうなWebサイトの雰囲気のあるところを3つほどピックアップ。
そこから、各社をGoogleマップで眺めつつ、実態(事務所)があるか、星の評価などを最低限チェック。
「キミにきめたっ!」
フィーリングで隣接市内にある、◯◯工業を選定して
お問い合わせフォームから見積もり依頼。
43m✕4m=172平米。
外構業者さんなどが掲載しているアスファルト舗装単価だと「5000円前後から」といった情報がWeb上では見つかったので、
単純計算だと86万円。
とはいえ、これは「道路」だ。
本格的な土木工事、100万円は余裕で超えてるはず、200万円くらいだろうか…。
ファーストアプローチで依頼した見積もりは2つ。
①:約41-43m私道全体のアスファルト舗装
②:私道入口から自分の物件の前面までをアスファルト舗装
もちろん前者①のほうが、見映えも有用性も圧倒的に上だ。しかしながら、コストの差があまりに大きいのであれば、後者②の自分のところ(まで)だけで着地する可能性も考えておきたい。
しばらくして、土木業者様からお見積り付きのメールが帰ってきた。
添付されてきた見積もりは、
①:170万円 <私道全体
②:140万円 <自分の物件の前まで
そりゃ、+30万でより完璧なものになるのであれば、そうしたい。
物件の外観写真を撮影したときに、奥だけ砂利道っていうのものイマイチだろうし。
そこから、2ヶ月ほど経過し…
煮詰まったお見積り+仕様図が到着。
「役所の事前協議まで終わっている」という丁寧さ。
おうおう、なんだい、正式見積もりまでやたら時間かかるから、蔑ろにされているのかと思えば、期待を上回ってくるじゃん!いいね、いいねぇ。
そして開いた正式お見積金額、
「税抜約540万円」。
消費税含合計金額 【約600万円】
ふぁっ!?
( Д ) ゚ ゚
内訳書を見ると雨水施設工事が舗装工事と同じくらい掛かってる。
・
・
・
単価や数量を見る限りは、適正な雰囲気を感じる内容ではある。
電話で詳細をヒアリングすると、<補助金を受けるに足る仕様>にすると、こうなってくるらしい。
そもそもの舗装工事に向けた動機としても、雨天時の酷い状況の改善は切望していた部分であるため、これをベースにいくのが妥当だろう。
こいつぁ…、なんとしても補助金貰わねば。
私道舗装の補助金
土木業者様に教えてもらう以前にも、売買契約を締結したタイミングの前後で、「あ、なんか補助金的なものあったりするんじゃね?」と思いついて、検索していたため、概略は把握していた。
自治体(市)のWebサイトに発見した内容は次のとおり。
マックス300万円、かつ事業費の3分の2。
今回であれば事業費はざっくり600万円、
なら最大を得ることができれば半分か。
(消費税含むか否かは未確認)
これは流石に補助金欲しい、というか必須だ。
いざ補助金へ
いよいよ確定的な見積もりも上がってきたので、
これでようやく具体的な相談ができるっ!と、市役所へTEL。
<数日後>
役所に到着、担当様にご挨拶。
そんなやり取りをしつつ、(埒が明かないので、)
お付き合いある土地家屋調査士の先生に簡易の現況測量を依頼。
数日後、役所にTEL。
悔しい。
2センチだと、くそっ、勝手なところから測りやがって…。
そんな矢先、簡易の測量をお願いしていた土地家屋調査士様から連絡がきた。
(電話を繋いだままメールチェック)PDFの現況測量図を開くーーー
・深夜に妖精がトラックで壁壊し
もしくは、
・深夜に妖精がコンクリートのタタキ斫り(はつり)
もしくは、
・深夜に妖精がコンクリートのタタキが見えなくなるくらいまで砂利を積み増しする
そんな荒業も頭を過る。
いや、遵法精神を大切にする不動産メンとしては、とてもそんなことは出来ない。もちろん、フェアリーが降臨するだけなので、私は何も知らないのではあるのだけれども。
正攻法でいけば、当該地所有者に「補助金適用できる可能性でてくるから、ちょっと壁(もしくは逆サイドのコンクリートタタキ)削らしてくれない?」で了承を得て工事するのが最善策。
されども、それが実現できたところで、
所有者全員の署名捺印+議会承認を経て、実際適用されるのは再来年…とか言われると交渉を始めること自体が憚(はばから)れるものがある。
そして、もう一つ、厄介なことが頭に浮かんだ。
土地家屋調査士(測量)の先生から頂いた「現況測量図」は私の保有物件のブロック塀に「お化粧」をする前に測ったものだ。
そこに記載の幅員は4.0m。
貼った。うん、その後に「石貼った」。
厚みは記憶喪失で覚えていないけれども、
ちょっとはあるはずだ。
これ、もしかすると、こっちまで是正有り得…。
考えるのをやめた。
一旦冷静に
さて、堂々巡りとなる思考を一旦落ち着ける。補助(金)を受けようとするから、その無茶な制約が出てくるわけだ。
事前に「私道」を管轄する建築指導課にもヒアリングはしていたが、アスファルト舗装に向けての回答は案の定のものだった。
というのが彼らのスタンスだ。
補助金が絡むことで、その窓口が「公道」を管理する「道路管理課」となってしまい、明文化された要項以外は補助金対象外になる…というだけのことだ。
極論、全額自己負担すればいいんだろ?
とはいえ【約600万円】。
その半分くらいまでは元々負担を考えていたものの…、
やっぱり丸ごとはちょっとキツイ。
っていうか嫌すぎる。
仮に補助金をマックスもらえるなら、
残りを全額自己負担でも300万円で出来るのに…。
あ、そういえば、「以前にも相談あった」って言ってたよな。
そうだ!
そうだ!
そうだ!
その人と折半できれば結局負担一緒じゃん?
そうだよ!そもそも10人位の所有者たち、道路がキレイになって受益する人たちに、本来通り協賛してもらえばいいんだよ。
ということで、
具体的なお手紙の作成にとりかかる。
送付先は謄本からリサーチ。
転居していたパターンもチラホラあったものの、なんとか発見。
実際に発送したお手紙と、それを書くための如実な手法は肝の部分なので、後述(有料部分)にまとめるが、センテンスはこんな感じだ。
概ねこのような内容を盛り込んだ一枚のお手紙と、
これらを入れ込んだ。
もう、寝ても覚めても私道舗装。
いろいろな展開を妄想する。
位置指定道路に企業広告プリントしたりできたりしないのかな?なんて。
(知らない法律が絡んできそうな予感がしたので、妄想まで。)
そうこうしているうちに、ジャッジを迫った日付を迎えた。
反応としては予想通り。
〆切日程前後までで過半数超との連絡に成功。
反響電話具体例
ポジティブ反響TEL。
ネガティブ反響TEL。
何を考えるのかわからないが、チラホラ前向きではない発言が混ざるも、「費用負担は強制じゃない、砂利道改善しようぜ!」という話でNGは言わせない。
斜めからの反響TEL
電話口からだけでも、だいぶ鼻息が荒く、戦う気満々でコールしてきたのがヒシヒシと感じられる。
あの手紙からどうしたらそうなるのか分からないが、おそらくは正しく伝わっていないのだろう。
突然のトーンダウン。
その後はとくに消費者センターからは音沙汰なし。
ご挨拶のお手紙を送る際には、LINEグループも作成し、QRコードも同封してあったが、それには誰にも参加してもらえないまま、「電話・メール・手紙」で諸々の反響が来た。また、ほとんどがアパートということもあり、管理会社経由での連絡もあった。
質問や賛同有無(沈黙は是と取るとして)の〆切日を経過したものの、「うちは砂利道を愛している!それ以外認めない!」みたいなのは居なかったので、施工業者と契約を含め詳細な詰めに入った。
実施案内文の作成と送付
賛否、協賛意思の方向性なども見えてきたため、
各人の協賛金負担額の目途を入れた形で、
「工事ヤルゾ!」の案内文を送付した。
センテンスは下記。
工程表の送付と工事の開始
前述の案内文を送付から1週間ほどして、施工業者から工程表を頂いたため、これも共有者各位へ発送。
(ちゃんとやってる感アピール)
そして、いよいよお盆明け、工事が始まった。
しばらく日付が経過して、非通知の着信が来た。
これ、消費者センターに駆け込んだオウチ。
(今度は何を言い出すんだ。)
施工業者様にも確認し、
のお願いをしつつ…。
そんなこんなを経て
いよいよ完成
これが…
こう!
う、美しい…。
゚+。:.゚ヽ(*´∀`)ノ゚.:。+゚
従前を知っていると、もう、頬ずりしたいレベルの仕上がりだ。
完了報告・請求書案内と費用面
物理的な土木工事は9月下旬に完工した。
これは前述した「都下木アパの売却益調整」に関わる部分だが、
この道路改良工事の完了と支払いを9月までに出来れば、売却益にぶつけることができるのではないか。
ただ、手元の現金をそのまま使うのでは面白みに欠けたので、(法人所在地の)区のあっせん融資を活用することにした。
項目としては「設備投資資金」、金額500万円、金利1.2%、期間7年。
施工業者様においては、初取引にも関わらず「完成時の一括払い」としてもらえたこともあり、安心して進めることができた。
この時点では、実際問題、どこまで協賛金を受領することができるか、明確なものは存在しないが、「自己資金:約100万円+融資利用の500万円」で手元資金を抑制したまま支払う方策を立てた。
そして、期を跨いで、10月に入ってから各ステークホルダーに
完了報告書と請求書を発送。
(これで協賛金が振り込まれると、新たな期での法人での売上に。)
内容物とセンテンス
発送して数日後から振込の連絡がチラホラと入りだした。
不思議なもので、事前に「ぜひ協賛したい」「ぜひやってほしい」と声を頂いた方は入金がゆっくり目、
・「うちは別に砂利道のままでも…」
・「協賛金はあまり払いたくない」
・「仕上がり次第かなぁ」
とかぬかしておっしゃっていた人たちのほうが、
「この度はお世話になりまして…」と率先して払い込みしてくれたので、この辺りは分からないものだなぁと。
とはいえ、成果物とその有用性を体感したからには、
お金を払いたくなるレベルには仕上がったと思う。
トップ画像は
AIが考えた「道路舗装が完成して泣くほど喜んでいる人の絵」。
ここからは
尚、振込期限としてはまだ一カ月ほど猶予を持たせているため、あくまで現時点での協賛状況だが…、
っと、かなり【あっぴろげ】な内容になるため、この先は有料コーナーでございます。
ここに至るまでの発送したお手紙、
これらの超具体的なWord雛形と案内文作成手法、前面道路を含む物件のビフォーアフター全景等、ほぼ全部入りです。
共有私道の改良に本気で取り組みたい人、共有の所有物を改善したい不動産投資家様、またはそういった部分をどうしても知っておきたい大家さんだけ御覧頂ければと存じます。
ここから有料ーーーーーーーーーーーーーーー
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