考えるきっかけになった試合/木村友香①
春のトラックシーズンに入った陸上界。
4月から始まったグランプリシリーズ
(対象の指定大会で年間通して
獲得したポイントを争う大会)で、
結果を残しているのが、木村友香選手です。
4月中は1500m中心に3大会(4レース)をこなし、
2234ポイントで全体3位(5/8現在)につける彼女。
その背景には、「色々な種目に挑戦してきて、
今、一番面白いと感じるのが1500m」と、
改めて競技の楽しさに気づいた自分がいました。
高い壁への挑戦
昨年度に積水化学メンバーの
一員となった木村選手。
クイーンズ駅伝前後から好調だった彼女は、
まだ5000mを中心に競技に取り組んでいました。
「その頃は自分の記録会も控えていたので、すごく調子は良かったです。ターゲットにしていたのは12月2日の日体大の記録会で、その時はまだ5000mメインで考えていました。パリ五輪の参加標準記録14分52秒を目指して、駅伝を走るみんなと同じように、記録を目指す気持ちで取り組んでいました」
しかし、結果は15分21秒。
自分の実力不足と課題を、
改めて見つめなおします。
「標準記録突破を目指してトレーニングして、その心意気で挑戦したんですけど、やはりすごく高いタイムでした。練習から、3000mをどのくらいのタイムで通過すれば良いかなど考えていましたが、3000mまではうまく走れたものの、後半2000mは力が及ばなかった感覚です」
海外でのレースで掴んだきっかけ
難しいとわかっていながらも、挑戦を経て、
新しい目標設定が重要になるタイミング。
しかし、木村選手は1月の都道府県駅伝で
体のコンディションなどが合わず、
アクシデントを起こしてしまうのです。
ここで1月の練習はいったんストップ。
計画の変更を余儀なくされました。
そのまま、2月には予定していた海外遠征に出発。
その期間で自分の今後について、
考えるきっかけを掴みました。
「2月に入ってから最低限の練習はできていたので、オーストラリアでの5000mのレースは、現状100%を出したらどのくらいで走れるか、確認する意味で出場しました。やはり練習がストップしてしまった分、気持ちも少し崩れてしまったのもあり、最低限に収まる程度の走りしかできませんでした」
「それが、今シーズン何の種目に挑戦していくかなど考えるきっかけになったんです。それで2月中に今後どうするかを固めた上で、3月にもう一度海外での試合に挑戦する流れでした」
そして決めたのが、1500mへの挑戦だったのです。
自分の気持ちを固めた後、
3月に出場した海外での2レースでは、上位に入賞(3/2【2024 Chemist Warehouse Canberra Track Classic】4位:4'16"69、3/10【2024 Sir Graeme Douglas International Presented By Harcourts Cooper & Co】5位:4'17"28)。
新たな一歩を踏み出したのです。
「手応えは、まだあの時にはなかったですが、課題が見えたことの方が大きかったですね。どうしてもシーズン初戦の1500mって、うまく滑り出せないことの方が多い。そう思っていたので、 日本で4月に初戦を迎えるより、1カ月早く感覚を掴めたのは、すごく良かったかと思います」
➡②に続く
文:守本和宏/ナノ・アソシエーション
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