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胸を打つ走り―「絶対に逃げるようなことはしたくない」

「胸を打つ走り」というものが
あるのなら、きっとこれなのだろう。
そんなシーンがありました。

6/29、新潟での陸上日本選手権で、
5000mを走った木村友香選手。
3500m付近までは集団後方についたものの、
ペースダウンすると徐々に離されていきます。

前日、かけてきた1500mで結果を出せなかった中、
一縷の望みをかけて出場した5000m。
準備万端なわけではない状態で出たレースです。

優勝争いをしているわけではありません。
自己ベストより、よほど遅い
ペースでもあったでしょう。
でも、木村選手のその足取りは、
懸命さが伝わる、”胸を打つ走り”
のように見えたのです。

不安があっても自分を信じて

この半年間、1500mでのパリ五輪出場を目指し、
トレーニングを続けてきた木村選手。
しかし、前日の1500m決勝は8位
(4'19"77)と夢には届かず。

翌日の5000mは、距離をあわせて
トレーニングしてきたわけではないため、
他のトップ選手についていけないのは当然です。

実際に大会前の調整も、
うまく行ってはいませんでした。

「今大会が最後の勝負どころだったんですけど、言い訳になってしまいますが、1ヶ月前くらいからコンディションが急に悪くなってしまい、どうしても調子を合わせられなかった。その実力不足を感じながら、1500mのスタートになってしまいました」

ただ、その状況に負けてはいけない、
そんな強い思いのもとで、5000mの
スタートを迎えたと言います。

「そういう悪い状況の中でも、現状をしっかり出し切る想いでやってきました。この5000mも含めて、やってきた過程に本当に悔いはないと言い切れるので、 引け目を感じず、悪い中でもちゃんと5000mのスタートを切れた部分は、自分に打ち勝てたかなと思います」。

恥をかいてでも全力でやろう

結果的にレース終盤は遅れましたが、
例え、遅くなったとしても気持ちを込めて走る。
その姿勢が伝わるような走りでした。

「本当に『身体の感覚がちょっとおかしくなってしまった』。その一言に尽きるので、不安もある中でのレースでした。でも、5000mを含めて今後やっていく中でも『絶対に逃げるようなことはしたくない』『恥をかいてでも全力でやろう』と思って走りました。それを、少しでも感じ取っていただけたのなら、嬉しいです」

最終的に5000mで木村選手は、
16分19秒35の20位。結果は良くはなくても、
価値のあるレースを見せてくれました。
『五輪への挑戦』に、ひとつの区切りがつき、
思い浮かぶのは、支えてくれたみんなへの感謝の気持ち。

「この4年間の中でチームが変わったりもありましたが、本当に今のチームメイト、選手やスタッフ含め、これまで私に携わってくださった方々のおかげで、 ”パリ五輪を目指す”という心意気を持ち、今の段階まで来ることできました。今も昔も、私に関わってるくださっている皆さんに、『本当にありがとうございました』という気持ちを伝えたいです」


今大会の悔しさ。それは簡単に、
飲み込めるものでは、ないかもしれません。
それでも、歩んできた過程に悔いはないと、胸を張って。
木村選手は次のステップに進んでいきます。



文・写真:守本和宏/ナノ・アソシエーション
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