言葉では伝わりきらないから。目に見える結果にするのが私の感謝
3か月間、全てをかけて努力してきて、
届かなかったのは、わずか12秒。
これ以上、同じ想いはしたくない。
そう思って、1か月ぐらい立ち直れなかったり、
挑戦をやめてしまっても、仕方ないと思います。
しかし、新谷仁美選手は、
ヒューストンマラソンのたった1時間後には、
「次はベルリンマラソンで記録を狙いたい」と
頭を切り替えていました。
それは、「欠点が明確だったから。これなら
次はカバーできると感じたから」でした。
ゴール直後の悔しさ
ヒューストンマラソンで、日本歴代2位、
2時間19分24秒の記録を出した新谷選手。
目標とする日本記録更新まで、わずかに
届かなかった悔しさは、当然簡単に
消化できるものではありません。
「ゴール直後はめちゃめちゃ泣きました。でも、まずはここまで、ずっと私の味方で肯定して支えてくれた横田さん、新田コーチはいませんでしたが(ペースメーカーは時間差でゴールするため)、サポートしてくださった方々に泣きながらですが、お礼を言いました」
「その後、また泣けてきたんですけど、私は表彰式待ってたんですよね。でも、大会側は私の気持ちが落ち着くまで待ってくれていたらしいんです。そうしたら、逆に体が冷えてきて、私は悔しいし寒いし、表彰式いつ始まるんだって、だんだんイライラしてきちゃって(笑)」
お互いの認識違いで気遣う状態を解消した後、
始まった表彰式のテレビ中継では、
寒そうにしながらも、
笑顔でインタビューに対応した新谷選手。
「ご招待してもらってる身だからこそ、ゴール後は笑顔で対応しなければと思って、いったん気持ちは飲み込みました」
そのあと、また泣けてきたと言いますが、
すぐに「このレースで何が足らなかったのか」
考えたことが、切り替えにつながったといいます。
意見が一致したから落ち込む必要はない
「足りなかったものを振り返ったら、ベルリンマラソンまでにカバーできる。こういう練習をしたら間に合うというのが、すぐ入り込んできた。それを横田さんと意見交換したら、同じだったんです。だから『あ、行ける』と思った。それで逆に安心できたんです」
「あの記録でも欠点がわからない。何が失敗したのかわからないのが、一番怖い。最初ペースが少し早くなったところを自分で調整するべきだったな、新田さんとコミュニケーションを取るべきだったなとか、それならベルリンまでに間に合う。その意見が横田さんと一致したから、あまり落ち込む必要ないと思って、パッと切り替えられたんです」。
東京マラソン時には、
「マラソンはもう嫌です」と発言した彼女。
それでもすぐ次に向かえたのは、
明確な課題が見えたからでした。
「東京マラソンの時は、他種目ほど才能がないのかな、私に適正がないんだろうと思ったんです。今もマラソンをやりたいか、ハマったかと言えば、そんな気持ちにはならない。でも、私には単純に達成したいことがある。だから、前向きに取り組める、やらなければいけないと思っています」
ヒューストンマラソンでの挑戦を通して、
自分にあった戦い方、次にやるべきことを
明確化できた新谷選手。
あとはその感謝の気持ちを、
自分なりに恩返しするだけです。
「感謝の気持ちって常に持っているんですけど、どんなに私が持っていても、それを相手に伝えるのは難しい。言葉で言えばいいけど、 相手側もそれを受け取る体制じゃないとわからない。こちら側がどんなに感謝していても、一方通行の時もある。だから、私は目に見えるもの、 結果に出して表現するのが、私なりの感謝を伝える方法。結果を残したりタイトルを取るのが、私の気持ちの表現です」
「だから、常に結果を出したい」
それぞれ、自分にあった練習方法があって、
それぞれ、感謝の表現がある。
9月のベルリンマラソンで、
最高の感謝を形にするため、
新谷仁美選手はさらに前に向かって、
歩みを進めます。
文:守本和宏/ナノ・アソシエーション
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