パリのレース当日朝に届いたサプライズ動画/山本有真①
長年、目標にしてきたパリでのレース。
あれから少し時間が経った今、
山本有真選手は、その日々を思い返し、
「本当にあったのかな、ってぐらい、すごくいい経験でした。今でもあまり実感が湧いてない感じです」
と、夢のような記憶を振り返ります。
パリへ向けた日々の中で
6月末の日本選手権で、
5000m日本代表の座を掴んだ山本有真選手。
出場が決まってからはホクレンに出場するなど、
それまでの良いトレーニングの流れを引き継いで、
パリへ向けて調整を続けました。
「日本選手権までのほぼ3週間は、すごくいい練習ができて、実際に日本選手権もよく走れたので、それと全く同じ流れで行こうということになりました。メニューもほとんど同じ内容をこなして、ホクレンを走るみんなの応援やサポートをしながら、大会まで調整した形です」
7/20(土)に出場した3000m(9'07"49)、1500m(4'20"32)も
「全然調整していない状態で、直前に良いポイント練習をしてからのレースだったので、 その中だったらいいタイムだったかなと思います」
と良い感触で、日本でのレースを終えます。
その期間の中で、改めて感じたのは、
大会の影響力の大きさでした。
「本当にこんなに影響力があるんだなってぐらい、母校の小学校、中学校の子たちから応援メッセージが届いたり、日本の国旗に応援を書いてくれたり、今まで私がここまで来るにあたって関わってくれた人みんなからメッセージが来ました。世界陸上の時とは、やっぱ違うなっていうのはありましたね」
レースに向けて、だんだん調子が合っていった
日本からパリに出発したのが24日。
まずは、選手村から30分ほど離れた場所で
事前合宿を行い調整を進めます。
到着当初は時差や移動疲れもあり、
練習が重かったりなどありましたが、
コンディショニングも、現地で調整を続けていく中で、
徐々に戦う準備が整っていきました。
「最初は、うまくいかないところもあったのですが、ちゃんとレースに向けて、だんだん調子が合っていった感じです。いつもレース前に、400mのインターバルを走ってから、2日前に1000m1本やる流れは一緒なんですけど、その刺激は本当にすごく良く動いて、今までで1番いいタイムで走れたかなってぐらい良かったです」
選手村では、食事面が難しかったりもしましたが、
「私そんな気にしないタイプなので、人よりかはあまりストレスを感じずに過ごせたかなと思います」
と話す山本選手。
そして迎えた当日。
自分の中では意識しないように心がけていながら、
当然、否が応でも高まる緊張感。
その中で、届いたのが
ひとつのメッセージでした。
直前までずっと見ていた動画メッセージ
レース当日の朝、積水化学の同期
荒井優奈選手、山賀瑞穂選手、松本明莉選手から
来たLINEのメッセージ。
iPhoneでできる写真の共有機能で届いた
フォルダを見ると、そこにはひとつの
動画メッセージが送られていました。
「動画を見たら、本当に『どうやって集めるの』って感じなんですけど、自分の高校の友達だったり大学の友達だったり、本当にいろんな人から私に向けての応援メッセージをまとめた長い動画を作ってくれていたんです。それを見てもう、当日の朝なんですけど、すごい泣いちゃって。めっちゃ感動しちゃって」
自分の知らないところで、
同期が作ってくれていた動画に、
感動が止まりませんでした。
「嬉しくて、もう試合前もずっとその動画をリピートしてましたね。大会に行く時も携帯持っていったらダメなんで、直前までずっと見てました。『これ見終わってから行っていいですか』って監督に言ってずっと見ていて、その動画が一番印象に残ってるし、嬉しかったです」
レース当日という、すごいタイミングできた
サプライズの動画メッセージ。
「でも、逆に前々からくると見慣れちゃうから、当日の朝のいい緊張感の中で見られて、すごい嬉しかったです」
と話す山本選手は、心身ともに充実した状態で、
大一番のレースへと臨みます。
⇒②へ続く
文・写真:守本和宏/ナノ・アソシエーション
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