13 自然と対峙した完全芸術家のまなざし 光嶋裕介
作品集のページがボロボロになるまで見ていた建築を、実際に体験したときの感動は大きい。
鬱蒼とした森の中に垂直に立ち上がる石積みの壁と、水平に広がる上品なクリーム色のテラスのコントラストが、ひときわ端正な輝きを放つ。その圧倒的な浮遊感は、水平に連続する赤枠のガラスの広がりからよりも、川のせせらぎや風で揺れる木々の音からより強く感じられた。鳥のさえずりも心地よく響き、まわりの自然を五感で受け止めて、パッと同化する一体感が《落水荘》にはあった。
ペンシルベニア州ピッツバーグ郊外の