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ベラルーシとポーランドの関係
*写真は、ポーランドの首都ワルシャワ。チマノウスカヤも現在滞在中。
チマノウスカヤの亡命により、ベラルーシやポーランドへの関心が高まっています。
ベラルーシとポーランドは隣国で、どちらもスラヴ系言語を話す人が多数派の国です。とはいえ、それでも文化は異なりますし、歴史的、政治的な経緯から、決して仲の良い間柄とは言えません。
ベラルーシは、「白ロシア」と表現されることがあり、どちらかと言うとそのルーツはポーランドよりもロシアに近いです。今から1000年くらい前に現在のウクライナ辺りに存在していたキエフ・ルーシが、ウクライナ、ロシア、ベラルーシのルーツとされています。ロシアやウクライナと同じく、旧ソ連の構成国でした。一方で、中世にはベラルーシがリトアニアやポーランドとの連合国に支配されるという歴史もありました。
現在ベラルーシで話されているベラルーシ語は、ロシア語と同じ東スラヴ系言語です。しかし、ベラルーシ語は、ロシア語だけでなくポーランド語の影響も強い言語です。
ベラルーシでは、ベラルーシ語の他にロシア語も公用語になっています。これは、独裁者ルカシェンコの方針によるものです。ルカシェンコは、ロシア寄りの政策を続けてきました。
*ベラルーシについてはこちらも↓
ポーランドはというと、チェコ語やスロバキア語と同じ西スラヴ系の言語であるポーランドが公用語になっています。ポーランドはロシア帝国から支配を受け、共産主義時代はソ連の衛星国でした。政治的にロシアやソ連の影響がなくなった現在もロシアを警戒しています。
ポーランドへは、強権的な政府から逃れるためにベラルーシから亡命する人もいます。ポーランド政府もベラルーシに対して厳しい目を向けています。ベラルーシにもポーランド系の人は多いのですが、言語や文化面において迫害を受けているそうです。
ベラルーシで暮らすポーランド系住民が、ポーランド語の教育をすることや、自身のルーツを祝うことが脅かされています。
— 駐日ポーランド共和国大使館 (@PLinTokyo) March 31, 2021
様々な理由から祖国の外にいても、母国語を話したり、自国の文化を守り、伝えることに、どうか自由を。 #ベラルーシのポーランド人に自由を #FreePolesInBelarus @PLinTokyo pic.twitter.com/fC0Aqvaq5w
余談
チマノウスカヤがポーランドに亡命した理由ですが、ポーランドと結びつきの強いお家であることも関係があるのではないかと推測します。というのは、「〇〇スキー(女性形スカヤ)」という姓は、ポーランドにルーツのある姓だと考えられているからです。周囲にポーランドと何かしらの縁がある人がいるのかもしれません。
*ただし、「スキー(スカヤ)」はロシア語読み。ポーランド語読みは、「スキ(スカ)」。
参考文献
越野剛「名字と語尾ナショナリズム」(岩波書店辞典編集部編「世界の名前」岩波書店,2016,p.81-83)