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反ファシズム=善なのか?

先日、米国にて、白人警官による黒人殺害事件が起きました。米国では、黒人差別に反対するデモや抗議活動が各地で起き、一部暴徒化しています。

過激なデモや抗議活動の一部には、「アンティファ」と呼ばれる勢力も関わっていることが判明しました。アンティファとは、アンチ・ファシストの略です。ところが、この勢力は、ヨーロッパでは「極左暴力集団」としても知られています。ファシズムという差別や暴力を憎む団体であるはずなのに、なぜ過激な行動に走ることを肯定してしまうのでしょうか?それはヨーロッパの歴史を勉強すればよく分かります。

第二次世界大戦で共産主義国であったソ連は「欧州をファシズムから解放する」というスローガンの元にドイツと戦いました。今でもロシアに行くと、ロシア人達が「ソ連は欧州をファシズムから解放した」と言っていることが分かります。(以前以下のエッセイにも書きました。↓リンク参照)

https://note.com/sekiseiinko25/n/n5643aae462aa

ところが、ソ連が行ったことはドイツのことを笑えないような酷いことでした。ここで書くのも憚れるような内容です。詳しい内容については「カティンの森」「夜明けの祈り」などのポーランド映画を見るとよく分かります。「ベルリン陥落 1945」も良いでしょう。
日本人も被害に遭っています。岐阜県から大陸に渡った「黒川開拓団」の女性達の話も近年知られるようになりました。

このような話が明るみにならなかった理由として考えられるのが
1.ソ連が戦勝国であり、連合国の他の国々も戦時中、後の負の側面について冷静に分析を行わなかった
2.ソ連やその支配領域では言論が統制されていた
3.辛すぎてタブーになっていた、とりわけ性に関わる話は被害者も公表したがらない

というようなことだと思います。

反ファシズムだから問題ない、ファシズムを否定すれば大丈夫という論理がいかに危険であるかお分かりいただけたでしょうか?「反ファシズム」というスローガンは、時に共産主義国(者)達が自分達の行動を正当化する言葉として利用されてきました。日本では、第二次世界大戦が終わったのと同時にナチスが去り欧州に平和が訪れたという認識を持つ人も多いですが、ソ連により戦後も長い間沈黙を強いられた人々がいたことについて置き去りにされてしまっている印象です。歴史に学ぶのであれば、有名な話だけでなく、表沙汰になりにくい事象も知る必要があるのではないでしょうか?