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せきららなピル日記#2 ピルの副作用・デメリット回
しるさきこと、知咲です。
前回の#1を読んでいただた皆様、ありがとうございます。
1では、低用量ピル(ピル)の誤解・偏見を解くため、「副効用」を紹介。服用することで生理痛やPMS(月経前症候群)、ニキビが改善されるなどのメリットがあり、海外では「ライフスタイルをより良くする」手段の一つとして服用が進んでいます。
しかし、デメリットが存在することも事実。「薬は毒にもなる」ように、飲み方や用途を間違えると人体に悪影響を及ぼします。 そういった懸念から、誤解や偏見も生まれています。
今回は、ピルのデメリットをまとめるとともに、私なりに服用をしている中で経験した「デメリット…!」というポイントを紹介します!
1.デメリットをまとめてみた
ピルのデメリットは、大きく分けて「身体的デメリット」「経済的デメリット」「物理的にデメリット」に区分できると思います。
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特に、「血栓症のリスクが増加する」というデメリットはよく知られている印象です。この要因から「ピルって身体に良くないものなんだ」「怖い…」と感じる女性が多いのではないでしょうか?
ピルは、誤った服用や副作用で出てくる症状を放置し続けると、命の危険につながることも。主な身体的デメリットとして「血栓症リスク」と「子宮頚がんリスク」の上昇が報告されています。
では、血栓症・子宮頸がんとは何でしょうか。
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血栓症とは、血液中にできた「血栓」と呼ばれる塊が血管を塞いでしまうことで起こる疾患です。
”低用量ピルは血栓症になりやすい”と言われており、実際にピルを服用することで血栓症リスクが高まることは、医学的に証明されています。
また、HPV(ヒトパピローマウイルス)感染により発症する子宮頚がんについても、因果関係は不明とされつつも発症率が高まるという調査結果が出ています。
これらの情報により、ピル服用をためらう人は多いでしょう。
血栓症と関連して「目の前がキラキラする」といった”前兆がある”片頭痛持ちの方は服用ができません。喫煙者や持病持ちの方も要注意。
また、ピルは「生理が始まった時期から服用できる」とされていますが、早すぎる服用は骨成長に影響する可能性があり、慎重に検討する必要があると報告されています。
「身長が伸びづらくなるのでは…」と不安に思われる方に対しては、黄体ホルモン剤や漢方での治療など進められているそうです。
2.日本だと色々不便…ピルの物理的・経済的デメリット
身体的デメリットの他にも、ピルが普及しづらい理由があります。
アクセスが不便で入手しづらいことと高価であることです。
海外と比較してみましょう。まずはアクセスの違いです。
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図のように、日本では個人の判断に任せた服用を推奨しておらず、医療機関による診察・処方でないと入手できません。一方、海外では、処方箋が必要な国もありますが、日本のように毎回病院に行かずとも薬局で購入可能な国もあります。
更に、コロナ過の影響で「処方箋なし」でも購入が可能な制度も始まっています。これは、いつ、いかなる時にでも、避妊という権利を行使できるよう配慮された制度になります。
次に費用面ですが、フランス・リヨンにお住まいのkicoさんによる、ピル処方にかかった費用に関する記事を見つけました。試しに私が支払っている費用と比較してみようと思います。
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なんと、驚愕の結果が現れました…
見える化してみると、kicoさんの保険適用外の総額よりも、私の「保険適用あり」のほうがずっと高額です。更にフランスの「保険適用あり」と比較すると、日本では約30倍もの費用がかかっています…!
このことから、改めて日本のピルにかかる費用は非常に高額であることがうかがえます。未成年はおろか、社会人でも手が出しづらい印象。
一方フランスは、18歳以下の避妊における費用を全て無料としており、更に!2021年に25歳以下まで対象を引き上げると政府が発表し、大きな話題となりました。
前回でも紹介しましたが、日本のピル服用率は2.9%、同じアジア圏でも東南アジアに関しては、ベトナム10.5%、タイ19.6%、カンボジア13.7%と日本に比べて大きな数字が出ています。世界で最も内服率が高いのはフランスの33.1%で、その他の欧米圏ではイギリス26.1%、アメリカ13.7%、カナダ28.5%となっています。
日本のピル服用率の低さは、様々な要因があると思いますが、金銭的負担が大きいことや入手までの不便さも無関係でないでしょう。
以上のことから、ピル後進国である日本の現状が明確になったと思います。
3.私が思うピルのデメリット
さてここまで、ピルのデメリットを簡単に解説しました。
ところで、私自身が一番感じたデメリットは何だったのでしょうか…
ピルを服用し始めて1年以上が経ち、様々な種類のピルを試してきました。今まで悩んでいたニキビの症状が嘘のように軽くなり、PMSもほとんどないので、精神的に辛いことも少なくなりました…
しかし、産婦人科に行って処方してもらうたびに、”がっくり”してしまうことは・・・高額であること。
ピルも種類によって料金が違うのですが、現在使用している「最長120日間生理が来ない」という画期的な超低用量ピル「ヤーズフレックス錠」を3ヶ月間分購入した際は、診察代含めて8000円が財布から消えました(もちろん保険適用!!)。
そのときは、さすがに天を仰ぎ、悲しい気持ちになったのでした。
4.デメリットを知りつつなぜ服用するのか
ピルのデメリットをまとめるうち、私自身も「改めて取り扱いに気を付けないといけない薬だな」と再認識しました。
ここまで読んだ方々も「やっぱりピルって扱いが大変なんだな」とか「身体的リスクを知ってるのになぜ服用を続けるのだろう」と思われたかもしれません。
しかし、実は血栓症と子宮頸がんのリスクに関しては、解決方法があります。
①血栓症は「誰にでも起こる疾患」
実は、血栓症は元々誰にでも起こり得る疾患です。(ひまわりレディースクリニック「血栓症のリスク:低用量ピル、妊娠、産後」から引用)
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低用量ピルを服用していない場合は年間1万人に対して1~5人の確率、低用量ピルを服用した場合は1万人に対して3~9人の確率で血栓症を発症すると言われています。確かに、低用量ピルを服用しない場合と比較すると”リスクが高くなる”と言えます。
しかし、妊娠中および産後12週間の血栓症を発症する確率は、1万人当たり40~65人。つまり、低用量ピルを服用している時よりも、妊娠中や産後の方が遥かにハイリスクなのです。
身体に悪影響を及ぼすと思われがちですが、血栓症はもともと誰しも発症し得る病気なのです。
そこで重要なのが「血栓症が起こりやすい体質なのか」と「血栓症の予防法や症状は何か」を知っておくことです。そのため、私は2つの心がけをしています。
・かかりつけの産婦人科を作り、気軽に相談する
・生活習慣に気を付けて、血栓症の兆しである初期症状(むくみ、足の痛み、頭痛、胸の痛みなど)を見逃さない
この2点を心がければ、血栓症リスクを回避することができます。
② 「HPVワクチン」が子宮頚がん予防の鍵
子宮頸がんについても予防ができます。
「HPVワクチン」はご存知でしょうか。
別名「子宮頚がん予防ワクチン」と呼ばれており、その名の通り子宮頚がんを予防するワクチンを、私たちは国内で接種することができます。
子宮頚がんは、がんの中では珍しくウイルス感染が原因で発症します。年間約1万人が罹患し、約3000人が死亡する恐ろしい病気です。
性行為などで感染する確率が9割を占めていますが、ピル服用でもわずかに発症リスクが高まるとされています。これらの解決方法は「ワクチン接種をする」ことに尽きます。
日本では、高校1年生までを対象に2013年に定期接種を進めようとしたものの、体調不良などの事案が殺到し、積極的勧奨が停止していました。が、それが裏目に出てしまい、現在は海外から批判されるほど深刻な問題となっています。
2021年11月に、厚労省は、2013年次にあった体調不良や副作用は数日〜数ヶ月で改善されたものと認められたため、「積極的勧奨を再開する」と発表。2022年4月から接種啓発が再開する予定です。
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※「みんパピ!みんなで知ろうHPVプロジェクト」で紹介されているHPVワクチン説明補助フライヤー
このワクチンは、男性が発症しやすい咽頭がんの予防にもつながりますので、海外では男女関係なく公的接種として実施されています。
HPVワクチンの接種について、今一度、自身で確認してみましょう。
(男性は自費負担となります…日本では公的接種が進んでいません)
ピルには副作用(マイナートラブル)もあります。最初の1ヶ月〜3ヶ月は薬に慣れるまで副作用に悩まされる方もいますが、慣れれば副作用は改善する可能性もあります。
中には服用を断念してしまう方もいますが、こういった情報をきちんと知り、その上で「服用するかしないか」を判断するのがベストでしょう。
デメリットだと思えることも、きちんと予防策を取り「自分の身体や体調の変化に敏感になる」を心がけることで、解決することがあります。
服用について悩まれている方は、前回でご紹介したメリットと今回のデメリットを参考に、産婦人科医と相談しながら検討してみてください。
余談ですが、欧米では、初経が来た時に産婦人科デビューをするそうです。普段体調が悪くなったら病院に行くのと同じように、かかりつけの産婦人科を作る…日本でもそんな文化が芽生えたら、もっと自分の身体を大切に考えられるようになるかも。
5.最後に
自身の生活水準を高めるうえでも、ピル活用は有効な手段です。
この記事を読んでいただき、「血栓症になりやすいんでしょ?」「体に悪そう…」というイメージが少しでも払しょくできていれば嬉しいです。
それでは、第4回をお待ちください。
ご質問があればコメント欄にどうぞ!
前回のコラムはコチラ↓
ピルのメリット・デメリットを解説した動画はコチラ
①産婦人科医YouTuber高橋怜奈さん
②性教育YouTuberシオリーヌさん
③SHELLYのお風呂場
旅するおかし「フランスでピルを処方してもらうまでの流れ」
【生理を知ろう】こんなに違う、日本と海外の女性の健康施策
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