アディクトを待ちながら

前女の同級生 ナカムラサヤカ監督が描いた世界

依存症をテーマにした、映画を観てきました。
前橋シネマハウスで今月中は上映中のようなので、よかったらぜひ観てください。

依存症、とても、話題にしにくいテーマを選んだナカムラ監督。
最初は、同僚のカメラマンから、アディクト(依存症当事者のこと)だと打ち明けられたところから、このテーマをエンターテイメントで多くの人に知ってもらおうという企画になったとのこと。

内側と外側の世界

依存症というと、アルコール、タバコ、ドラッグ、くらいしか思いつかない人が多いと思うが、買い物依存症などもあるようだ。摂食障害や、パニック障害も、衝動性が治らないという点で、共通点も多い。
私も診療で、今までに、依存症と言われる人たちに出会ってきた。やはり重症者は、依存症専門機関を紹介することが多い。
そして、多くの人は、アドバイスだけでは立ち直れないし、分子栄養学やバイオレゾナンス医学を通じて、ケアしてきた。
それでも、その方達の闇の世界は、どうしても理解できないし、医療で対応するのは限界があり、心療内科の看板を下ろすことを決意したのはつい最近である。
一方で、外側の世界からすると、依存症の人たちだけでなく、精神障害、発達障害の人たちに対しては、「ずるい」「怠けている」「努力が足りない」など、批判もあるのを目にしてきた。「健常者は結局、努力しているのに、病気だと色々免除されるのかよ。」という風潮。病気なので、当事者からすると、努力でも愛でもどうにもできないのだが、外から見ると、そう見えるのも事実だ。

ピアサポートの大切さ

結局、依存症当事者の人たちが、心の支えになるのは、同じ境遇で、苦しんで、克服した経験を持つ者同士の集まりなのだ。映画の中で、この仲間の存在が、依存症からの回復を助けてくれたと出演者が話していた。
私が、NPO法人ぐんまHHCの活動を続ける理由も、ここにある。結局、診療では、心の問題はケアしきれない。お話会などで、「私はこうだよ。」と伝え合うことで、ありのままの自分を丸ごと表現できる場の共有が人の癒しになるのだろう。

間に立つ者の役割

最後にナカムラ監督が舞台挨拶で言っていたのは
「私は、当事者の世界も、そして、それを観ている傍観者の人たちの世界も、両方を感じて生きている。だからこそ、映画というエンターテインメントで、当事者の世界をもっと広く伝えていく役割がある。」
ということだった。
まさに、闇の世界と、光の世界、どちらも理解する人がいるからこそ、社会にインパクトをもたらすことができるんだろう。
私自身も、闇と光の世界の橋渡しが役割なんだろうと最近考えていたことだったので、あまりにリンクしてびっくりしてしまった。
いずれにしても、高校の同級生が、立派になっている姿を見るのは嬉しいことです!
世界がだんだん繋がっていくんだな〜って、希望を持つことができました。
ありがとうございました!

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