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すべて愛にまつわる


2024.8.26(月)

朝、海へいった。ウエットスーツでなく、白いTシャツに、赤い短パンをはいた初老の男性が漕ぎだしていった。ボードの上で土下座の体勢になり、背をまるめ、手だけを前後にうごかしてゆっくり、ゆっくり水を掻いた。すぐ沖は凪なのに、波打ち際だけはげしい。立っていると、枝や石が足にあたって、けっこう力がある。パンツの中まで砂まみれになった。

昨日、海と本で『優しい女』という本を買った。お風呂で、ねる前の布団で、一気に読んだ。私が書こうとして書くのをやめた言葉が、べつの言葉で、ほとんど書かれていた。こういう出会いが、半年にいちどくらいある。とてもすごいこと。




2024.8.28(水)

Yが図書館までの道で買ってきた地元のゴーヤは、眠る猫みたいに丸まっていたり、ひょうたんみたいに真ん中が窪んでいたりする。半分に切ったら、たねが真っ赤で、おどろいて包丁を落としそうになった。たねが赤いことは、たまにあるのに。

しんしんと降る雪のような文章が書きたい。地味で、多くの人は通りすぎるかもしれないが、たまにだれかが、ここに何かあるとたち止まるような文章。そういうものを書きたい。

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日記〈2024〉

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鎌倉暮らし日記、2024年版です。数日分をまとめて公開するため、更新頻度は月に4回程度です。10月に鎌倉から引っ越しました。

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