全身麻酔して過剰歯を抜いた話
1.過剰歯とは
要は、人より歯が多く生えている人のことである。
私は過剰歯の中でも「逆生過剰歯」と呼ばれる「正常な歯と逆向きに、口の内側から遠ざかるように生えてくる過剰歯」であった。前歯の上顎に29年間歯が隠れていたのだ。
2.抜歯するきっかけ
歯科矯正を検討しており、その際の精密検査で過剰歯が見つかった。
そして、矯正を阻害するので抜歯して欲しいと矯正歯科医から告げられる。
差し出される紹介状。おそらく、入院して全身麻酔での抜歯になると。
なんだか病気宣告を受ける時もこんな感じなのかなと呑気に考える。
素人からすると、歯で全身麻酔するのかという疑問と
そこまでして矯正するのは面倒くさいなというのが正直な気持ちであった。
そもそも、過剰歯は幼少期に抜歯するケースが多いため(※)
ググっても成人の体験記があまり見つからなかった。
そのため、備忘録として本記事を書く。
私の場合は幼少期に痛みが起きたりすることがなく、通常のレントゲンでは過剰歯と前歯が被っているので、今まで発見されることがなかったと推測される。
※ 理由は、以下を参照。
3.初診~退院までのスケジュール
大学病院で診察を受けると案の定、全身麻酔での抜歯になると告げられる。
ここにきてようやく入院するんだという実感が沸く。
以下、実際の入院までのフロー。
①初診(工数:0.5日)
・大学病院でも、レントゲン撮影を実施。
② ①の診断結果説明(工数:0.5日)
・私の過剰歯は神経や血管近くに存在し局所麻酔だと困難であるため、全身麻酔で抜歯すると告げられる。入院日を調整。
③全身麻酔の適性検査(工数:0.5日)
・全身麻酔が自身に適用されるか検査する。(血液検査・肺活量・心電図等)
④ ③の適性結果説明(工数:0.5日)
・適性結果が問題なかったので、入院についての説明を受ける。
⑤PCR検査(工数:0.5日)
・入院日の2日前にコロナにかかっていないか確認。このご時世ですしね。
⑥入院~手術~退院(工数:5日)
・詳細は後述。
⑦手術で縫った箇所の抜歯(工数:0.5日)
・これにてクローズ。
4.入院~手術~退院までの詳細
■入院
手術日前日に入院。
手続きをすませ、病院着に着替え、点滴の針を刺される。
なんだかこれだけで病人感が増し、少しブルーになる。
その格好で歯科口腔外科に向かうと、通り行く人々も私を病人認定しているような視線を感じる。
■手術日
手術の開始時間は、午後呼ばれ次第とのことだったが、なかなか呼ばれない。
廊下で足音がする度、死刑執行を待つ囚人のように耳をすませる。
15時半ごろようやく呼ばれる。
手術着に着替え、自分の足で手術室に向かう。
手術室に入ると、更にいくつもの扉に分岐されており、私はそのうちの一つに入った。ベットに寝転がり、手足を拘束され、麻酔を点滴から流される。
看護師に「頭が少しづつぼんやりしますよ。」と言われてから目が覚めるとすでに手術は終了していた。痛みは特にない。
全身麻酔は素晴らしい。将来死ぬときもこんな感じで死ねたらよいと思う。
ちなみに手術内容としては、上あご歯茎をメスで切開し、過剰歯を掘り出すというシンプルなものだ。参考リンク(グロテスク注意)
自室のベッドに戻ると時刻は18時になっていた。
ここから翌日朝まではベッドで過ごさなければならない。
この時間が一番つらかった。
麻酔の副作用による発熱と頭痛。
そして、のどの痛みと息苦しさ。これは手術中に自発呼吸ができない患者に取り付けられていた気管チューブによる影響らしい。
寝て起きてを何度か繰り返し、朝を迎えると調子を取り戻してきた。
■手術後~退院
翌日から食事が出される。
予想はしていたが、極小に刻まれた食事。参考リンク(リンク先のミキサー食に近いイメージ)
なんだかおいしく感じられず半分以上残してしまった。
料理は見た目も大切なんだと再認識。
また、手術痕が傷つかないよう、上あごに入れ歯のようなカバーを装着しているので咀嚼が難しく、食べることが煩わしい。
そんな感じの日々を数日過ごし退院。
退院から一週間後、手術痕の診察と傷口を縫った箇所の抜糸を行い
これにてクローズ。普通のご飯が食べられるようになる。
咀嚼できるって素晴らしい!
5.入院費用
約10万円。
内訳を見ると、入院費と麻酔料が大半を占めていた。
手術費が意外と安かった。
【内訳】
・入院費:5万
・麻酔料:2万
・手術:3000円
・その他:上記を差し引いた額
6.その他
■コードブルーは、本当に存在する。
私が入院していた時も、2回館内放送が流れた。
「館内放送。コードブルー。コードブルー。6階~」と冷静な声。
意味を知っていたので、他人事じゃない気がして胸騒ぎがした。
■入院中持ってきた方がよかったと思ったもの
耳栓。
今回入院した病院は、近くにある心電図がアラート音を延々と鳴らしており
深夜に目を覚ますことが多かった。これは病院によって異なるケースだが、騒音はつきものなので耳栓は持っておいて方がいいと思った。
7.最後に
医療従事者の方には感謝しかない。
このご時世で余計に忙しい中でも、優しく声を掛けてくださり
励まされることが多かった。
本当にありがとうございました。
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