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タイの不妊治療は日本より安いんですか?答えは…
タイって日本の物価の1/10で暮らせるんですよね?
タイの物価は年々上昇しており、円安、バーツ高の影響もあり
決して安い国とは言えなくなっている昨今ですが、
先日、日本の医療関係者とお話をさせていただいた時に出てきた言葉。
「タイって日本の物価の10分の1くらいで暮らせるんですよね?
だったら不妊治療の費用もやっぱり安いんですか?」
10分の1の値段で暮らせる…?そんな訳ないじゃん!
何年前から情報アップデートできてないんだろうこの方…
まだそんな事を言ってくる人がいるんだ!?
と驚愕したのは言うまでもありません。
そういう方に限って「海外で治療するなんて危険」「何かトラブルがあった時にどう対処するんですか?」「日本の医療は世界トップレベルですよ!」
と…。
海外から日本に医療を受けに来るんだったらわかるけど…
「海外の人が日本に医療を受けに来るならわかるけど、
なんで日本人が海外に行って医療を受ける必要があるの?」
確かに日本の医療のレベルは世界でもトップレベルに入ると思いますし、
こんなに安く、レベルの高い医療にアクセスできる国は類をみません。
一方で、日本を除く多くの国は医療へのアクセスと質は金額に比例する。
なので、皆さん良い医療を求めて海外まで出向くのが当たり前!
という世界線も認識しておいて損はないのではないかしら?
タイ人の先生もびっくりするほど安い不妊治療費
そこで改めてお伝えしたいのが、日本は世界一の「不妊治療大国」
である一方で、「成功率は最下位」という不都合な真実に目を背けては
いけないという事です。
2021年、日本の体外受精や顕微授精などの生殖補助医療の件数は
約50万件で、米国や英国を上回っています。
これは、体外受精を実施する医療機関が多く、さらに保険適用などもあり、
費用負担が欧米より少ないからではないか?と言われています。
不妊治療が保険適用になったことは非常に喜ばしい事で、世界にも誇れる
制度である一方でやはり弊害はあるとも…。
保険適用になるという事は「標準化」された治療しか受けられないんです。
標準化とは何を指すかというと、年齢制限、回数制限、使用できる薬剤の制限、検査回数の制限など、とにかく「制限」された中でしか治療ができないという事。
この「制限」の範囲内で治療が可能な方なのであれば問題ありませんが、
難治性の不妊患者であれば、今まで出ていた補助金でカバーできていた
ところがカバーされず、逆に費用が高くなってしまったり、
今まで一般不妊治療を行っていた施設も、生殖補助医療を保険診療で行う施設要件として、日本産科婦人科学会へのART登録を行わないといけないという「制限」があり、地方の施設では費用負担が重くのしかかり
今までと同じように治療ができないという弊害も起きているんです。
タイが良い、日本が悪いという短絡的な発想では無い
とはいえ、不妊治療ってお金がかかるし、少しでも費用が安く済んだ方が
気持ち的にも、経済的にも安心なので、やっぱり海外に行くのは…
それはそう!
誰もかれもむやみやたらに海外に行って不妊治療を受けてください!
と言っているわけではなく、日本人も医療の「常識」をアップデートする時期がきているんですよ!という事をお伝えしたいんです。
日本が悪い、海外(タイ)が良い、という短絡的な発想ではなく、
日本の現実を正しく知り、海外の情報にもアクセスし、
自分でチョイス、アクセスできるというルートを知っておくというのも
今後の長い人生において有効な事なのではないかと思うんです…。
いっそ外の景色を楽しめる窓をつけてみては?
因みに、タイの病院で卵巣刺激、採卵、培養、PGT-A、移植のフルコースで
治療を受けると、約200万円ほどかかります。
それが高いとみるかは人によるかと思いますが、
決して安くはない金額です。
不妊治療は、まさに一人ひとりが異なる旅路です。
金額だけでなく、自分にとって何が大事なのか、
どんな未来を描きたいのかを考えることが大切。
そのために日本や海外、どちらを選ぶにせよ、
情報を正しく理解し、自分で選択する力を持つことが重要です。
タイの病院が提供するのは単に『安い選択肢』ではなく、
患者自身が自らの治療に主体的に関われる環境。
これが満足度の高さと成功率につながっていると信じています。
治療の選択肢を広げることは、自分や家族の未来への責任を持つことと同じ。
「不妊治療=長くて暗いトンネルの中」という比喩があるなら、
いっそ外の景色を楽しめる窓をつけてみては?
選択肢を知り、自分に合う道を進むことで、不妊治療という「旅」を
ただの苦しみではなく、希望に満ちた未来の一歩に変えていけるのではないでしょうか。