服飾と建築
服飾と建築 -Clothing & Architecture-
2023/3 追記
悲しい事にこの内容とかなり類似した作品が関西の大学の卒業制作展とその作品集に載ってしまったようです。僕個人としてはトレースされるほど、良いと思ってもらえて嬉しい一方で、もうちょっと捻って欲しかったと思っています。
この作品をブラッシュアップする事に関しては僕はお手伝いします。どこの誰であろうともエスキスもするし、実務を踏まえたアイデアを提供します。コピペは卒業できなくなる人が出たのでお勧めしません。
ただ服飾と建築をテーマにこれから制作を目指す方がこの卒業制作を見つけていただけたなら幸いです。この制作は未完です。ぜひ参考にし新しい服と建築のつながりを作ってください。
僕は将来、服が好きな人々が買い物を楽しめるために
また服が好きな人と一緒に建築的な立場で仕事ができることを
目指している。
ただその中で、人が服をネットで買うことや
D2Cが台頭してきたファッション業界は今、店舗の存在意義を問いている。
大量生産と大量消費によって発展してきたSPAが崩れ出し、
人々はSNSにより、服飾デザイナーとより身近になった。
それはとってもいいことだ。
ただ商業建築はインターネットに取って代わってしまうのか。僕はそれが不安だった。
その中で僕が一年生から今までの五年間で歩んできた道のりから、
ファッション業界を観察し商業建築の新しい形を見出そうと考えた。
着ることや服が好きな人との出会いの面白さ、
それは実在する空間でしか今は体験できない。
僕がもがいた中で辿り着いた一つの答え。
kenichi.2019ssのシーズン撮影の様子
1.きっかけ
ある日、服飾デザイナーの友人にシーズンのルックブックの写真を撮ってくれないかと頼まれた。
帰りに彼のスタジオに行くと服のスタディ「トワル」を見つけた。
それは建築の白模型ととても似ていた。そこで僕は建築と服飾の交差を思いついた。
2.計画
近年商業空間のあり方を変質させているD2Cをベースに、現状行われているアパレル産業の受注展示会の集積としての場を提案する。ストックスペースや会計スペースのインターネット上への移行・縮小によって、新しい体験が必要とされる。ネット販売によるモノのブラックボックス化の回避、検索だけでは得られないブランドとのパーソナライズされた提案と関係性をもたらす人と建築の連関性を目指す。ファッション業界の季節的循環と経済的移動をベースに一時的な場としてPop Up StoreをVMDという特殊な職能が成立させる。経済活動によって立ち代わり入れ替わるフレキシブルな状況を作り出すことで建築が着替えているような状況を成立させる。
dairiku 2020aw 展示受注会
従来の大型システムとD2Cの違い
既存の展示会システム
今回仮定するスキーム
3.問題提起
今回、2つの空間論を掛け合わせお互いの欠点を補い新しい建築的空間価値を模索する。建築における空間解釈には定義が多くあり、その中で建築化する上で致命的な欠点をもつ2つの空間解釈がある。アンリ・ルフェーブル/ドリーン・マッシー的な「非形質的な体験や出来事」としての空間解釈と、グレアムハーマンのオブジェクト思考的な「実在的対象と感覚的性質のアイダ」としての空間解釈である。
前者は非形質なプログラムとなる。建築的な規模が大きくなればなるほど、体験は多様化し複雑になる。時間的変化が限りなく少ない建築は体験をプログラムとして処理するには限界がある。
後者の空間は「対象に感覚的には接触しているが実在としては接触していない」モノとモノの間の空間性である。この唯物的なアプローチから設計を行うと造形としての建築は達成される。しかしプログラムを決定することができない。この思想を用いた建築手法の欠点はモノとモノの連関に人と人の関係性が組み込むことが想定されていないことである。
この2つの建築手法は全く異なるアプローチであり、異なる欠点を持ち合わせている。しかし前者を満たす器としての後者を設計することで弁証法的空間性を提案する。
服飾の型紙[実在]とマテリアル[感覚]を建築に落とし込み、ファッション業界の季節的循環と経済的移動を体験としてプログラムに組み込むことでアンリ・ルフェーブル/ドリーン・マッシー的空間解釈とオブジェクト的思考の空間解釈を兼ね備えた2つとは異なる空間性を見出す。
ここから先は
¥ 800
Amazonギフトカード5,000円分が当たる
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?