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空想対話8〜空間デザインの基軸
旧公衆衛生院をとおして建築家・内田祥三との空想対話8〜空間デザインの基軸
「前回、ゴシック建築と内田ゴシックの根本的な違いは、思想の違いにあり、研究、教育への情熱から空間創造につながっている。ディテール云々ではないと生意気にも述べましたが、しかしながらデザインの基軸は天に広がるイメージなのでしょうか?(うらはら)」
「想像することは自由です。」
「とすると、旧公衆衛生院のデザインはドーム建築をモチーフにされていてもおかしくないですね?」
■室内空間のデザイン性
基軸にドームのデザインを据えることにより室内空間の文脈を整える。
パンテオン(ローマ)
円形を装飾するレリーフの位置
廊下の格天井は格子状の彫り込みに見立てたドーム(天)への誘いではなかろうか。
柱はコロネード(列柱)をイメージされたと思われる。しかし、公衆衛生院時代に物置スペースとなったことは想定外想像だったかもしれない。
3階吹き抜け周りの床のデザイン
(2階天井装飾レリーフの上に位置する)
この格子状からと思われるデザインは旧講堂の照明周り、演壇横扉の上部ガラリにも使われている。
「天空、ドーム。先生、やはりゴシック建築の基本を大切にされたデザインが内田ゴシックなのですね?」
「うーむ、内田ゴシックですか。」
「なぜ日本建築ぽい格天井にされたのかがわかりませんでした。そうではなくて、格子状の彫り込みに見立ててあったのですね?」
「もっともっと想像してみてください。」
つづく
(文責 関原宏昭)