旧公衆衛生院 週末研究27 用途変更
週末研究27回目
旧公衆衛生院施設は保健衛生の研究、教育を目的として開設された。
現在は港区の複合施設として運営されている。旧講堂、旧院長室、旧次長室は、開設当時の空間が保存公開されているが、他の部屋は用途変更され使用されている。
復原の考え方を全ての空間に用いることが、文化財の観点からすると重要となるが、多目的に利用できる公共施設として捉えると、利用対象は限定される。そのために、開設当時の設を活かした空間と、床、壁、天井全てを新しくした空間に分けて考えられている。
コミュニティ空間としては、会合、音楽、食、運動、工作、展示、遊興、相談等で多世代が利用することが多く、時に文化財の管理と調和しづらい場合もある。
ホールで行われるイベントも雰囲気に相応しい選択が求められる。
静かな空間である郷土歴史館の来場者に配慮をしながらの開催。また、空調設備のない空間、高齢者、幼児への対応。声、音、匂い、振動、明るさ、温度、風、所用時間ほか、気を配らなければならない。
指定文化財とはいえ保存目的だけでは、多くの人に利用されない。専門性と多様性のバランスある空間に、人々は惹かれ、足を運ぶ。調和を高めるイベントは不可欠である。
(来場者からの写真提供)
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